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ゆめこ

いろいろ省くけど、要は警察に保護されている迷い文鳥を、引き取りたかったのです。鳥はすでにたくさん飼っている。もっと欲しいわけじゃない。でも、聞いてしまったからにはもう、鳥を知らない人の世話加減と劣悪な環境が心配で仕方ない。聞いた時点でそれは私の鳥になってしまった。
また少し省くけど、うちの鳥が飛んだ、って警察にウソをついて引き取る以外に方法がないようだった。連休を挟んで、娘たちが電話したがラチがあかず、最後に私が今朝、受話器を取った。
結局、私は、話が進まないので、飛んだなんて実はウソだと腹を割った。その鳥をただ引き取りたい。うちには完璧な環境がある。そちらの状況では心配なんです。もし飼い主が現れたらすぐに返しに来ます。大丈夫、私はちゃんとした人です。
と言った。
担当は、声からすると20から30代のとてもとても真面目な女性。私の言葉に、え!ウソだったんですか?とビックリした。そして、ちゃんとした人です、のくだりに、明らかな疑念を隠さなかった。
私も、ウソをつきながらちゃんとした人とは変だよな、とは思った。言語上は。
そう。私は娘たちにもうまくウソをつくように教え、できなきゃバカなの?くらいの勢いであった。(彼女たちもかなり前向きでしたが)

すべて省くけど、結局、その文鳥は引き取らなかった。朝用意した小さいカゴが、ベランダで熱気に晒されている。いや、もう夜か。

これは省かないけど、落とし物係の人たちは大変である。今朝の担当の彼女も、こんな私に腹も立てず、粛々と冷静なよい仕事をしていた。立派だなと思った。私より数倍ちゃんとした人だ。

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