見出し画像

小説「彩の無い天使」著・南口綾瀬 読書感想文

女性の多くが「武装」していることをご存知でしょうか。

もちろん、それぞれの目的に即した装いをするのは当たり前。
誰が見ても一見、女性ならではの装い。
それが実は「武装」だと気づいている人はどれくらいいることでしょう。

この小説に出てくる10代なかばの少女アヤは、既に武装しています。
ロリータ風のヘアスタイルやファッションで。
女性らしいありのままの姿では、男性たちから露骨に性的ターゲットとして手をかけられてしまう。
そのような男性たちが好まないのが、ロリータファッション。
それに気づいたアヤは髪をツインテールに結び、リボンをつけて武装しているのです。

前半では、アヤの思春期を迎えた少女特有の想いをひた隠すようなところが多くあり、もっとしたたかに生きてほしいと祈るように思っていました。
後半に差しかかった辺りから、少ししたたかになったので安心したのですが、それでも不器用な感じはなかなか改善せず、そこがまたリアルな感じがしてヤングアダルト小説のヒロインとして確立されていたような気がします。

題名に彩の無いとあるのですが、出来れば文章にもう少しハッとするような擬態語や擬人語があれば、さらに魅力的な作品になったのではないかなあと思いました。

以前、noteにも書きましたが、かつて若かった頃の私は早くおばさんになりたかった。性の標的であることから早く降りたかったから。
それほど、若い女性として生きる事は困難なのです。
この小説を読みながら、若い頃の想いを僅かですがなぞっているような気がしました。

キラキラと歩く若い女性たちの心や身体を大切に出来る社会であってほしいと願ってやみません。


彩の無い天使: もし「顔色」が見えたら (ayacombooks) https://www.amazon.co.jp/dp/B09B84765V/ref=cm_sw_r_apan_glt_YFTBKT4KMA653B0DCZ95




この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?