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地下鉄。

駅前のベンチに座って、ずっと待ってた。
何度も何度もメッセージを送りながら。
何度も何度も送ったら、
同情してくれると思った。
どこかで折れて、
はぁ、面倒くさいなって言いながら、
いつか、どこかのタイミングで、
それが、何分でも、何時間でも、
待ってれば、必ず、来てくれると思ってた。

でも、来なかった。

何を思って、あたしは帰宅したのか、
帰り道のことは何も覚えてない。
間違いなく電車で帰ったんだけど。


電車に乗ってからじゃ遅いよ。
もう乗っちゃったからね。
一駅ならまだしも、
二駅、
三駅、
通り過ぎるたびに、絶望感が増してくる。

何駅過ぎたって、
連絡あるなら戻れるけど、
何駅も過ぎるたびに、
ただ時間が過ぎて行くだけ。


何駅も、何駅も過ぎて行く。


もう、連絡ないんだなって、
分かり始める。
だから嫌だ。


このままにしてたら、
あたしのことも失うよ?って
言いたいけど、
あたしのことを失っても
もういいかもってくらい
もう、あたしに疲れ果てたんだよね。


喧嘩して飛び出した後に
本当は追いかけてきて欲しいとか、
裏の空気まで読んで欲しいとか、
そっちが引き止めてよって、
いつも思ってた。

それがもう面倒くさいことなんだって、
追いかけられ待ちの人間には、
絶対に分からない。


毎日、
言葉でも沢山伝えあっていたし、
体中で好きを表現していたけど、
こんな時、
こんな面倒くさい状況の時、
あたしの口から発するものは暴力となり、
鎧(よろい)もない君の体を一方的に突き刺すのに、
撃ち放った側の人間(あたし)を助けてよって、
こんな調子のいいことはない。


もう電車は降りた。

もう、改札も出た。

もう、歩いてる。

もう、今日はない。

真っ直ぐ、家に帰れワタシ。

もう、明日もないかもだけど。

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