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2023年7月31日 小松庵銀座 森の時間|画家・矢成光生さんトーク&ライブ

7月31日(月)銀座ギャラリータイム「森の時間」は、銀座ギャラリーで個展を開催した画家の矢成光生さんの、ギター弾き語りLIVEです!
事の発端は、以前やっていたバンド活動を再開させたことをSNSにあげたところ、ディレクターの風戸さんが「聴いてみたい」といったのがきっかけでした。作品について、制作活動について、お話を交えながらギターと歌を披露していただきました。

小松庵101周年をお祝いしていただきました

まず最初は、小松庵総本家の100年の歴史にかけて「大きな古時計」を披露。100年と言えばこの歌が思い浮かんだそうです。
2曲目は矢成さんが昔からファンであるという忌野清志郎と坂本龍一による70年代のヒット曲「いけないルージュマジック」。当時小学生だった矢成さんは、この曲の2人の奇抜なファッションとメイクに魅了されたそうです。確かにおっしゃる通りあれはあの時代にはなかなか刺激的でした。
また、忌野清志郎と坂本龍一といえば、二人とも生前、反核、反原発を唱えていて、矢成さんと思いが通じるところのあるアーティストです。

思春期真っ盛りの教え子が駆けつけ、一番前で先生の歌と演奏を熱心に聴いています。矢成さんの日ごろの先生ぶりがうかがえますね。
司会進行を務めたアートディレクターの風戸さんも微笑ましく見ています。

中学生の教え子も駆けつけて応援

3曲目は忌野清志郎がRCサクセションとして1988年8月15日に発表した「サマータイム・ブルース」。
歌詞が原発反対の内容のため、発表された当時は、スポンサー企業に配慮したラジオ局が放送禁止にすることもあったというエピソードのある曲です。発表から30年以上経って、今また注目を集めています。
矢成さんも環境やエネルギー問題、社会問題を作品のテーマにしています。

照れながらも大好きな忌野清志郎の楽曲を披露

矢成さんの作品といえば、自然が作り出すクラック、ひび割れが特徴です。
自然に生まれるクラックがあまりに感動的で、初期の頃から何十年も、クラックとグラデーションだけで抽象的な表現をしてきました。
クラックとグラデーションだけで、それ自体景色に見えることもあります。
それが「3・11」以降、絵をぼーっと見ていたら「プルーム、放射線物質が見えたらこんな感じかなぁ」とふと思い、それから原発や土壌汚染を表現したり、黒い絵の具を垂らして原爆の黒い雨を描いたりと、絵に社会的テーマを込めるようになり、今のクラックのなかに絵を描きこんでいくスタイルになっていったそうです。昔の自分からしたらまさかクラックに絵を描きこむなんて思いもしなかったと笑いながらおっしゃっていました。
絵を描きこむようになってからは、「描きたい」と強く思うようになり、今も戦争をテーマにした絵を描いているそうです。
矢成さんの代表作「Wonder Future」には日本の原発が全て描かれています。この作品は幅が5mぐらいある大作で、2018年に岡本太郎現代芸術賞展で入選し、金沢21世紀美術館などで展示されました。
これからも矢成さんの「描きたい」テーマに注目していきたいですね。

反原発の思いを込めた作品「城核004(仙台)」

矢成さんの学生時代は、世はバンドブームで、「いかすバンド天国」通称「いか天」がテレビで放送されていました。毎週土曜の深夜1~3時という時間帯に放送されていたにもかかわらず、最高視聴率7.8%という驚異的な数字をもつ伝説の番組です。
そんな時代に乗って矢成さんも学生時代にやっていたバンド活動を、今年数十年ぶりに再開したそうです。Smile Like Dogというロックバンドでベースを担当し、インディーズレーベルからCDも出しました。そのアルバム「Apple Juice Tv」から2曲を披露していただきました。

そして小松庵銀座ギャラリーの展示作品の中で特に目立つ「Step Across the Border」は紛争している地域の建物を描いたものです。「国境を超えて仲良くしよう、その間の雲が境界線を曖昧にして地球がひとつに」との思いを込めたそうです。

「Step Across the Border」

この作品のテーマを言い表していると思う曲で最後を締め括りました。ジョン・レノンの名曲「イマジン」を忌野清志郎がカバーしたバージョンです。

無事に終わってホッとする矢成さん、お疲れ様でした!

銀座 森の時間では、様々なアーティストの方とのコラボレーションがありましたが、ロックバンド演奏は初めてでした。環境汚染問題や反原発、反戦に強い思いを持って活動されている矢成光生さん、その思いは絵画作品だけでなく音楽活動にも通じていたんですね。今後は再結成したバンドのライブも予定しているそうです。

Profile
矢成光生(やなりみつお)
1969 愛知県生まれ 千葉県出身 東京在住
1997 多摩美術大学大学院博士前期課程美術研究科絵画専攻修了

-個 展-
1996・2000・2020 ギャラリーQ(銀座)、1997・1999 西瓜糖(東京)
1999・2014・2023 OギャラリーUP・S(東京)
2001 マキイマサルファインアーツ(東京)、2013 Steps Gallery(東京)
2017 藍画廊「Something in The Air」(東京)
2017・2018  昭和大学病院(東京)
2023 小松庵総本家 銀座「Cracked View」(銀座)

-グループ展-
1997・2000 コレクターへのすすめ展(Oギャラリー/東京)
2000 Chiba Art Flash 2000「現在形の海へ」(千葉市民ギャラリー・いなげ)
2018 第21回 岡本太郎現代芸術賞展(川崎市岡本太郎美術館/神奈川)
多摩美術大学学友会神奈川支部展「BIRTHPLACE ART 2018・2020 」(FEI ART MUSEUM YOKOHAMA/神奈川)
2019 もやい展-金沢(金沢21世紀美術館 1階ギャラリーA/石川)
2021 もやい展 東京(タワーホール船堀展示ホール/江戸川区船堀)「夏」キュレーター菊地武彦(CHANGTING GALLERY/日本橋)「あなたのためのカレンダー展Ⅵ・Ⅶ」(うしお画廊/銀座)
2022 木更津みなとぐちアートプロジェクト2022 ミナート(木更津/千葉)

―受 賞―
2018 第21回 岡本太郎現代芸術賞展 入選

小松庵総本家 銀座 森の時間(平日16:00〜17:00)は展示してある作品をじっくりご鑑賞いただける、ギャラリー・タイムです。(この時間はお食事の提供はしておりません。)
今後も不定期でワークショップやトークショーなど様々なイベントを企画していきます。お気軽にご参加ください。
小松庵総本家 銀座(Tel. 03-6264-5109)

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