オオカミ少女_001

オオカミ少女はどこへ行く  其の三 ファイナル


―あれから約半年後―

わたしは通院のために病院にいました。

通院仲間のYさんと一緒に、診察の順番待ちをしていました。

彼女もミュンヒの子とは知り合いだったので、

「もうミュンヒの子とは絶対に会いたくない」

と以前から宣言していたんです。

それなのに…


Yさんがトイレに行っている間にわたしは中庭のベンチででぼーっとしていると、


しばらくしてYさんが帰ってきて、

「ミュンヒの子ロビーにいたよぉ。ユニコさんがいるって言っといたー」

と、のたまうではないですかっ。


案の定ミュンヒの少女がやって来て、

「久しぶりー。なんか老けたね!」

「散々迷ったけど、来ちゃった」

(老けたってなに?失礼な!)

(ていうか、お前アメリカ行った設定どうなったんだよ!)

(妊娠はどうした!?)

(迷ったけど、全部なかったことにしたのか?)

と、わたしは心の中で独りでつっこんで毒づいていたんですが、

あまりにも彼女に再び会うのが急だったので、

心の準備ができていなくてとても動揺してしまい、

更に薬の副作用も手伝って,手がぶるぶると震えてきていて、

わたしがすごく困っていたら、

彼女から

「そんなに、怯えなくてもいいじゃない」

などと上から目線の物言いで言われてしまい、

(お前どのツラさげてわたしの前にいるんだよう!)

とだんだんと泣きたくなってきました。

そして、それと同時に、さすが空気の読めない、人の話を聞いていないYさんにも、

(Yさん、やってくれたな!)

と怒り心頭でした。

*Yさんの空気の読めなさは彼女自身の病気と全く関係がありません。


ミュンヒの子が

「私太ったでしょ?」

というので、本当にその通りだったので、

「うん」

と言ったら、

「気づいてたなら言ってよもー」

と言われ、

わたしは何を話していいかわからず、無言でいたら、

「私、新しく彼氏ができたんだー」

とまさかの爆弾発言が。

いや、もう突っ込むまい。

それから

「じゃあねー。」

と彼女は軽やかに去っていきました。


ソシテヤッパリアメリカニイッタハナシハスベテナカッタコトニ


Yさんには、彼女が去った後に、

「もう会いたくないって言ってたじゃん!」

と強く非難したものの、Yさんは意味が解らないといった風に「きょとん」としていました。

《以前から彼女に会いたくないって、その理由もちゃんと説明していたのに…》


それから数日後、ミュンヒの少女からわたしの携帯に謎のメールがきました。

「メールするって言ってて、なかなかしなくてごめんね」

《え?聞いてないよ?メールするなんて》

その時、わたしのガラスでできている心は臨界点突破して粉々に砕け散りました。

そうして、やっとわたしは彼女と決別することを自分に誓いました。

もちろん、メールはスルーそしてブロック。

その後わたしは転院しました。


いまもどこかで彼女は「嘘の世界の住人」なのでしょうか。

しかしもう彼女と会うことは二度とありませんし、

わたしには関係のないことです。

さようなら「オオカミ少女」






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