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新卒からはじめるNPO運営!ミタイ・ミタクニャイ子ども基金 鈴木泰輔さん

みなさんこんにちは!国際協力サロンです。今回のゲストは、新卒でNPO法人ミタイ・ミタクニャイ子ども基金(以下、ミタイ基金)を運営する鈴木泰輔さんです!

鈴木プロフィール

鈴木泰輔(すずき たいすけ)
横浜国立大学教育人間科学部卒業。在学中は、JICA青年海外協力隊短期派遣でトンガに家政・生活改善隊員として派遣。その後は、パラグアイにてミタイ・ミタクニャイ子ども基金と現地大学の国際課でインターンを経験。帰国後はREADYFORにて伴走支援補佐のインターンを務め、准認定ファンドレイザーの資格も取得。現在は特定非営利活動法人ミタイ・ミタクニャイ基金事務局員・JICA草の根技術協力事業「パラグアイ農村女性生活改善プロジェクト」の事務補佐員を務める。

鈴木さんからは、パラグアイ現地事業のお話をしていただきました。また、コロナ禍で現地に飛べない今、鈴木さんは何をしているのかを「新卒でNPOを運営する」という斬新な切り口から紹介していただきました。

ミタイ基金の現地事業とは?また、代表を除く唯一の正職員としての業務とは?どんなものかをぜひご覧ください。

ミタイ・ミタクニャイ子ども基金とは?

ミタイ基金は、1995年に横浜国立大学の藤掛洋子先生が南米の国・パラグアイで学校建設や奨学金支援を行うために設立した団体です。事業対象地はパラグアイで、以下の3つの事業を行なっています。

①学校建設/教育支援事業
②伝統工芸品フェアトレード事業
③スラム地域支援事業

もともと事業の中心だった学校建設事業では、パラグアイ農村部に幼稚園舎を1つ、小学校校舎を3つ建設支援しました。また、経済的に学校に行くことが困難な子どもたちのために奨学金支援も行なっています。

ミタイ基金_建設した学校

ミタイ基金によって建設された校舎

また事業は学校建設のような教育支援にとどまらず、②や③のような他分野・他地域にも活動を開始していきました。ここでは主に、③のスラム地域支援事業について紹介していきます。

スラム地域支援事業

ミタイ基金の活動の主な拠点は農村部でしたが、スラム地域支援事業では一転してパラグアイの首都アスンシオンから車で15分ほどの「バニャードスール」という地域で活動しています。ミタイ基金は、この地域で巡回診療・健康診断などのプロジェクトを行いました。

バニャードスールは洪水が雨季に頻繁に起こるため、人の居住は国から禁じられています。しかし、農村部から都市部へ職を求めてきた人たちが都市部で住居を見つけられずに溢れ出した結果、居住の禁止されたバニャードスールに家を建るようになり、スラムが形成されました。

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雨季に浸水するバニャードスールの家屋

そのためこの地域の住民は、毎年のように起こる洪水の危機と隣り合わせで生活を送っています。ある程度の所得があれば高床式の家に住むことができますが、そうでない人は写真右側のようにトタン屋根の家に住まざるを得ません。

図1

鈴木さんは実際に現地に行ったリアルな体験を元にお話ししてくれました。

「こうした家では、住民がベニヤ板でプレハブのようなものをを建てて雨季が過ぎるのを待っています。僕も中に入ったことがありますが、臭いや熱が中にすごくこもっていて住環境としては非常に劣悪だったなと感じました。外国や市からの支援も届き、トイレや水道も一応整備されてはいるんですが、本当に最低限のものでした。」

こうした環境を改善するために、ミタイ基金は現地の若者が運営する団体「フベンスール」との協力のもと、保健・教育・職業訓練を軸に事業を行なっています。ミタイ基金は活動資金の提供や業務調整などのバックサポートに携わっています。

2018-2019年にかけて行われた「生活改善プロジェクト」では、現地大学の医学部学生との協力のもと地域への巡回診療や健康診断を行うなどのプロジェクトが実施されました。ミタイ基金はこの活動費をクラウドファンディングでおよそ200万円調達し、鈴木さん自身も現地で記事の執筆など、クラウドファンディング広報に携わりました。

新卒でNPOを運営する!?
大変だけど、パラグアイに行ける日が来るのを信じて。

すでに紹介しましたが、鈴木さんはミタイ基金で代表の藤掛先生を除く唯一の正職員です。また、先生は大学で教授を務め二足のわらじを履いていることから、鈴木さんはNPOを運営する上で欠かせない多くの業務に携わっています。例えば…

・ホームページ改修(プロボノと協働)
・ニュースレター発行(夏・冬号、学生と協働)
・経理関連の業務
・法務関連の書類作成
・寄付者管理ソフト・会計ソフトの導入
・助成金申請
・オンラインイベント運営
・学生インターンのマネジメント
など…

経理から法務から広報まで目白押しです。新卒で働き始めてここまで幅広い業務をする人はなかなかいないのではないでしょうか…

サロンメンバーからは「辛いとか、大変だとか思うときはどうやって乗り切っているんですか?」という質問も。鈴木さんは、

パラグアイに行きたいっていう想いが強いモチベーションになってますね。コロナで延期にはなったんですけど、いつか行けるまでは頑張りたいなと。活動に深く関わるにつれて、もっと現地を知りたい、現地の人たちと話したいという気持ちが湧いてきたので、とにかくパラグアイに行きたい気持ちをモチベーションにこの1年頑張りました。」
「あと、支えてくれる周りの人たちの存在も大きいです。管轄の横浜市にNPOの定款変更の書類を提出したんですが、赤字まみれで返ってきて(笑)後日電話がかかってきて、「怒られるのかな…」とか思ったんですけど、何が間違ってるのかとても丁寧に教えていただいて。自分はまだ未熟だなと痛感させられたのと同時に、周りの人に本当に支えられてるなって感じた瞬間でした。」

鈴木さんは来年以降もミタイ基金で働きます。今はコロナという大きな壁が国境を隔てているけれど、いつかこの1年で膨らんだ想いを現地に連れて行けるように。「今できることをやる」ことの大切さを教わった回でした。

*写真提供:ミタイ・ミタクニャイ子ども基金

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