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働くことに意味を感じること、あるいは自分の仕事に意味を感じること

10月も本日終わり、で11月へバトンタッチ。

エンゲージメント

「エンゲージメント(engagement)」とは、「婚約、誓約、約束、契約」を意味する言葉です。ここから派生して、人事領域におけるエンゲージメントでは「個人と組織の成長の方向性が連動していて、互いに貢献し合える関係」という意味合いで使われています。(日本の人事部HRより)

このテーマを選んだ理由は、ネットや新聞各メディアで「在宅ワーク」「テレワーク」について、どちらかと言えば「ストレスが増加した」という記事がウエイトを占める中に「マイペースで仕事ができる」というポジティブな記事も目にするので、組織のネットワークを通してポジティブ思考になるにはどうしたものか?と思っています。

つまり、エンゲージメントを感じにくく、いや感じなくなっているかもしれないからです。経団連の中西宏明会長は2019年から、働き手がやりがいをもって仕事に打ち込める「エンゲージメント」を高めることが重要との考えを示していました。

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無意味感

人間にとって一番きついのは、毎日の生活に意味が感じられないことです。無意味なことの繰り返し。そのような毎日では気分は滅入るし、活力が湧いてきません。でも、現実には、そんな感じで仕事生活を続けている人が結構いるのではないでしょうか。

無意味感から脱する必要があります。

うっかり立ち止まり、自分を振り返る余裕ができると、無意味感に襲われ、虚しさにとらわれてしまう。それを怖れてひたすら動き続ける。心の奥底に無意味感が潜んでいるため、無意識のうちにそうした行動パターンを取ってしまうのです。

仕事に無理してのめり込むことで自己意識を麻痺(まひ)させようとしているのです。

そのまま自分に直面することをしないでいたら、ほんとうの意味で無意味感から脱することができません。忙しさで自分をごまかしているだけでは、意味ある生活は手に入りません。そう考えると、無意味感に苛まれ、虚しさを感じる方が、健康な心のあり方と言えるのではないでしょうか。

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エンゲージメント成功事例

「働きがいのある会社」ランキング(従業員100~999人部門)で3年連続1位を獲得している出張・経費管理クラウドサービスを手掛けるコンカー(東京・中央)。がその成功事例です。

コンカーは新型コロナウイルスの感染拡大が始まった頃から在宅勤務を推奨し、東京都への緊急事態宣言に合わせてオフィスへの出社を禁止、客先への訪問も含めて業務上の外出を禁止しました。

同社がアンケートを実施し社員147人(社員数275人)から回答を得た調査では、在宅勤務の実施で、
新型コロナ以前よりもモチベーションが「大きく上がった」「上がった」と回答した社員が28%、
「変わらない」と答えた社員が67%と、9割超の社員が同等かそれ以上のモチベーションを感じていることが分かりました。

生産性についても、「大きく上がった」「上がった」と回答した社員は35%、
「変わらない」と回答した社員が45%で、8割の社員がリモートワーク開始前と同程度以上の生産性を維持していたのです。

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在宅勤務へのスムーズな移行

社長の三村真宗氏は「これまで、働きがいを意識的につくってきた。その貯金があったから、社員それぞれが新型コロナの影響を受ける中でも、何ができるかをクリエイティブに考えてくれる」と話してくれた。

「ランチやお茶の時間も、社員同士がオンライン会議ツールのZoomでつながり盛り上がっている。社員はリモート営業に使うためのコンテンツ作成などに自主的に力を入れている」と語って頂きました。

四半期に1度の全社員ミーティングで経営状況や戦略、課題を共有。その上で徹底した権限委譲をしてきた。

「権限委譲をするため、自らが工夫をして仕事をする。失敗も含め、仕事の成果を通じて成長することで働きがいを感じられる」(三村氏)のだという。

社長も含め、社員同士がフィードバックし合う仕組みも文化として根付かせてきたのです。

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コロナ禍でエンゲージメントがより重要に

さらに、翌朝から、週1度のペースで全社員を集めたオンラインの「絆ミーティング」を開催し、会社の状況から社会情勢まで社員に説明しています。

三村氏は、30分のミーティングのため、準備に3時間費やすのです。出張費や交際費の減少分で、自宅の在宅勤務の環境整備のために1人当たり2万円の支給やベビーシッター代の補助費増額にも乗り出しました。

三村氏は「社員間の絆が強いことが安心感につながり、仕事がやりやすく、業績の向上にもつながる。社員もそれを理解している」のだといいます。

 例えば、他部門との交流を維持するため、4月下旬、社内イベントなどを企画する有志の「文化部」が、「ネタ飲み」と称したZoomでのイベントを開催。メークやファッションなどのテーマを決めて、業務後に部門を超えてオンラインで交流する機会を設けました。

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社員からは「リモートワークでミーティング開催などのハードルがむしろ下がったようにも感じている」といった歓迎の声が上がります。

コンカーの例からは、仕事や組織に対する社員のエンゲージメントが高ければ、在宅勤務がむしろモチベーションや生産性の向上を図る好機になるとも言えそうです。

従業員エンゲージメントと、ワークエンゲージメント

エンゲージメントが注目され始めたのは、2017年、日経新聞が米ギャラップ社のエンゲージメント調査結果を取り上げたことからです。

その調査結果では、「熱意あふれる社員」の割合が、米国32%に対して、日本はわずか6%。実に、日本のエンゲージメントは世界139カ国中132位でした。

エンゲージメントは、もともとボストン大学のウィリアム・カーンが着想したもので、人間が特定の役割に没入するなど、熱中して行動する状態のことです。そこから従業員エンゲージメントという概念が生まれました。

これは会社や組織へ愛着を持つという職務満足や組織コミットメントに類似した概念として、近年注目されるワードとなりました。

一方で、「ワーク・エンゲージメント」という概念もあります。これは会社というよりは、仕事そのものに没頭している状態を示します。

先ほど紹介したギャラップ社の調査は、どちらかというと従業員エンゲージメントに対するものでしたが、別の調査ではワーク・エンゲージメントに対する国際的な調査も行っています。

それによると、欧米では平均得点が4点前後に対して、日本人は2.8~2.9点前後と低い結果が出ています。

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エンゲージメント向上のポイント「キャリア自律」

ギャラップ社の分析によれば、日本のエンゲージメントが特に低い理由は、部下に口答えさせないコマンド&コントロール型の体制や、部下の個々の強みを考えず行動に対するフィードバックも行わない上司マネジメントの問題だとされています。

こうしたことから、エンゲージメントを高める1つのポイントは、個人の強みを最大限に活かすマネジメントへ切り替えていくことだと、私は考えます。

今、さまざまな企業でキャリア自律が重要だといわれています。キャリア自律とは、自分の価値観や強みを認識して、環境変化に適応しながら主体的にキャリア開発に取り組むことです。

そこで大事になってくるのが、自分の価値観をいかにして認識するか。マーク・L・サビカスというキャリアの学者は、好きな雑誌や番組、本、映画、憧れる人を考えながらキャリアカウンセラーと相談すると自分の価値観がわかると言っています。

会社の中でも、いかに個人の価値観や強みと、業務を結びつけて考えられるかが、エンゲージメント向上のための重要なポイントです。

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エンゲージメントは、人事の革命児

エンゲージメント向上のための事例とアプローチを紹介して頂くのは三井住友銀行人事部 人材戦略グループ 樋口 知比呂氏です。

私は、通信会社、コンサルティングファーム、銀行などさまざまな業界を経験しながら、25年間人事領域に携わってきました。現在は三井住友銀行で、人材育成などを担当しています。

エンゲージメントについて、私は人事業界における革命児だと捉えています。これまで人事の中で「人員数」や「人件費」は数字で計測ができ、他社比較・部門比較・経年比較が可能な経営指標でした。

エンゲージメントも、同じような性質を持っており、これからは人員数や人件費と同様に、経営計画に組み込まれるメジャーな指標に成長すると期待しています。

また、データに基づく科学的人事戦略とも相性が良く、その観点からも着目しています。

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従業員エンゲージメントを高めるために、その要因であるEXに着目

エンプロイー・エクスペリエンス(EX)という概念を紹介しましょう。

EXは、従業員が社内で経験する戦略、方針、施策、業務、人間関係など、さまざまな要素を幅広く含んでいます。

従業員エンゲージメントが結果だとすると、EXはその結果を導く要因といえます。

企業の事例紹介をすると、みなさま一様に事例そのものに飛びつきがちです。

しかし私が申し上げたいのは、各社で施策を企画実行するにあたっては、各社それぞれの事業戦略や、人事戦略、カルチャーなども十分勘案しながら、自社にとっての適合を図っていく必要があるということです。

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エンゲージメント向上の実践的なアプローチ

1.分析の視点
まず分析の視点として、「鳥の目」「虫の目」「魚の目」ということを聞いたことがあると思います。

これをエンゲージメントの視点で活用すると、「鳥の目」は、全体俯瞰やカテゴリー別。しかし経営会議に報告する全社の切り口だけで見ていくと本当の意味での判断を見誤ることがあります。

部門別・部署別・年齢別など、「虫の目」でさまざまな切り口から分析していくことが大切です。さらに「魚の目」で、経年比較を見ていくことで変化に気がつきます。

2.分析の深掘り
分析の深掘りというところでは、「聴く」「聞く」「効く」という、3つの「きく」力が重要です。

エンゲージメント向上施策に当てはめると、「聴く」は傾聴力。スモールグループディスカッションで、匿名性を担保しながら従業員の意見を聴き出していきます。

次の「聞く」は質問力。所属長からの質問の投げ返しで深掘りをしていきます。このときの目的は前進するためであり、後ろ向きの質問はしません。

そして、「効く」は、効果力。効果が出てくるかどうかというところでは、やはり有言実行が大事です。実際にアクションを起こし、変化を実感して初めて「効く」といえるでしょう。

まず経営者のコミットメントが何よりも大事です。特に「リーダーリップ」「戦略・方向性」といったカテゴリーをはじめ、全社的なオーナーシップを持つことが必要です。

人事部は、「報酬・福利厚生」「成長の機会」といった、人事の担当責任分野でしっかりとオーナーシップを持つことが求められます。また、所属長のアクションの支援という重要な役割もあります。

所属長は、チームの改善にオーナーシップを持ち、PDCAを高速回転させていかねばなりません。

これまで当行では、職場アンケートの結果が所属長までタイムリーに伝わっておらず、なかなか改善につながっていませんでした。

今後、パルスサーベイでタイムリーに結果を見ることができるようにしていきます。

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いくつかの事例を聞いて

ようはマネジメントにおける「人員掌握力」だと感じました。ただ、これは元々企業自身が持っている理念の上に成り立つものであります。

日常からどれだけ人員をよく観察して、例えば10通り程度のちょっとしたランク付けをして置き、1~5は新人から自律的に仕事がもう少しで出来る人、6~10は仕事を自律的にできる人です。

10人とも各々に具体的に仕事を数値化し、目標と結果を共有する。大事なことは仕事の過程を数値化することです。これが出来ないとマネジメントはできません。数値化するのも一緒に向かい合って決めていくのです。

1~5の人は結果が出なくても怒りません。過程の検証をして結果につながったかどうかを考えさせる。出来ている過程があれば称賛し、できていない過程があれば考えさせ2回チャンスを与える。それでもできなければ具体的な指導をしてできるまで指導を続ける。いつか答えは出ます。

6~10の人は、結果が出なければまずは怒ります。仕事ができる人間は結果が出ます。出ない人が過程を怠っていますか?仕事ができる人は過程を怠りません。殆どの原因は「気持ち」です。だから怒るのです。万が一過程が原因であれば本人が一番よくわかっている筈です。

だからと言って怒りっぱなしではなく、何が原因か共有することが必要です。褒めるところはどこでしょうか?一度考えてみて下さい。(^_-)-☆

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最後に

エンゲージメントは地味で下ごしらえが大事です。
十人十色、だからマネジメントは面白い。

(瑚心すくい)コメント待ってまーす。サポートも待ってまーす。

是非、サポートよろしくお願いいたします。日々自己研鑽し学びの本の購入と色んな団体「盲導犬協会」「国境なき医師団」等への寄付の資金にもしたいと思っています。お礼は更なる良質な記事を書きますのでよろしくお願いいたします。