国際結婚で相手の国に住む際の覚悟
国際結婚で子供をもうけてから離婚する場合、日本人妻(だいたい妻)が子供を日本に連れ去る事例は年々増えているそうです。
日本では、離婚すると母親が子供を単独で引き取って育てるケースが多く、
多くの場合父親からの養育費は数万円だとか、ほとんど支払われないという話も聞きます。
私の知っている中でも、離婚してからは子供を一度も元夫に会わせていない女性は多く、
また子供が生まれてすぐ離婚したためほとんど子供を知らないというケースの男性の話を聞いたこともあります。
そういうことだからしょうがないと半ば諦めているような感じです。
総じて、離婚したら夫は子供を失い、新しく家庭を作ってそこでまた子供を作って…という親子の断絶がまかり通っています。
一番身近なケースが私の祖母で、母が小学校の頃に離婚し、母はそれ以来今に至るまで一度も父親に会っていないそうです。
憎んでいるわけでも忘れているわけでもないけど、本当に関係ない人かのように。
祖母も、元夫のことを話しません。
いつだったか母に、実父のこと気にならないの?と聞いたことがありますが
一番大変な時に家族を見捨てたんだから、もう人生には関係ないような言い方でした。
私からしてみれば、祖父は二人いるはずなのに、
母方の祖父を知りません。
祖母の苗字と母の旧姓が違うことに関しても特に触れるほどのことでもなく。
私は以前から、元国民的卓球選手の方の子供連れ去りについては色々思うことがありました。
夫婦の仲がうまくいかなくて離婚するのはしょうがないことだけど、
子供は巻き込まれる側です。
離婚して両親が一緒に暮らさなくなったとしても、双方の親へのアクセスを子供が失うのはおかしいこと。
欧州では基本的に、離婚して事実上片方の家に子供が住んだとしても、ある程度決まった時間はもう片方の親と過ごさなければいけないし、
ほとんどの場合はそれが守られています。
例えば私が一時期間借りさせてもらったお宅では、月曜日から木曜日は子供たちはその家で暮らして、木曜日の学校が終わったら子供たちは父親の家(新しい彼女もいる)に行き、月曜日はそこから学校へ行き、学校が終わったら母親の家に帰るというリズムにしていました。
子供たちもそれなりに大きかったので自分たちで移動したり、父親が送り迎えしたりしていました。
なので私が住ませてもらっていた家で、家主さんの元夫に私も遭遇したこともありました。
結果的に、離婚して一馬力になった家主さんにとっては一軒家の維持は大変で、数ヶ月後に引っ越していきました。
両親それぞれの家で過ごす取り決めは、子供にとっては移動もあり大変です。
親の新しい恋人とも接しないといけないのは拷問かもしれません。
例えばその恋人の出現のせいで親が離婚したとかそういう因果関係がある場合はなおさらでしょう。
クールにならないといけない、折り合いをつけてうまくやっていかざるを得ない子供にとっては本当に気の毒です。
ただ、そういう入り組んだ家庭は多く見ましたが、まるっきり片親になって経済的に困窮している母親のもとで育っている離婚家庭はあまり見たことがありません。
日本では、基本的に母親が子供を引き取り、経済的に困窮していて子供が高等教育を諦めないといけないケースも多くあります。
交流が断然されているのに養育費だけもらうのも難しいのは当然でしょう。
さて、元国民的卓球選手の子供連れ去りの件に話を戻しますが、日本では国際結婚で相手の国に行ったものの婚姻が破綻した妻が、日本に出戻るのはしごく普通のように捉えられているのはなぜでしょう?
大半の理由は、夫の庇護なしでは相手の国では生きていけないからだと思います。
後、その国に行ったのは夫と生きるため。
ただそれだけ。
夫と生きる将来がなくなってしまえば、その国にいる理由がないと。
ある程度の社会性があれば行った先でコミュニティを築いたり、
スキルのある人は現地で仕事を見つけてしっかり自立する人もいるでしょう。
そうでない人は、相手に離婚を申し出られると路頭に迷うしかないわけです。
国際結婚をして住む国が、まったく自分の住んだことのない、言語も話せない国の場合、その人は恋愛の吸引力とは別に現実的なプランをしっかり考えるべきです。
具体的に言うと、急に夫に離婚を言い渡された際、自力で住む場所を工面し、生活を組み立てる力を身につけること。
お役所関連も、医者にかかるのも、相手の同伴なしでできるようになること。
一人の大人として自分の国で当然にできていることを、外国でも一通りできないといけません。
子供をもうけるのならなおさらです。
欧州の場合は、子供が16歳ぐらいになるまでは両親と同等に過ごすので、
離婚したからと言って日本に出戻ってしまっては子供との接触は限られてしまうし、
子供を日本へ連れて行き自分の手元で育てようとするのは言語道断です。
母親だけが親じゃないんですから。
イタリアで国際結婚していた日本人妻が、離婚したけど子供の養育のためだけにイタリアに住み続けていて、イタリアの手厚いかつ男女不平等な離婚制度により自身の住居と生活はひとまず保障されているため、週末に子供と過ごすためだけにそこにいる、という話を耳にしたことがあります。
(イタリアで離婚する際は、夫が妻にそれまで住んでいた住居を明け渡し、生活費も払わないといけないため夫は困窮し実家に戻ったり車中泊するケースもあるという話)
仕事ができるほどイタリア語もそんなにできないし(事務職に就けるほどの語学力がない)
子供は週の半分はいないんだからすることもかなり少ないです。
日本に帰って仕事したりしたいけど、子供が成人するまではできない。
国際結婚は、そういうリスクも付随してくるものだと自覚するべきです。
親の都合で子供を振り回すわけだから、子供の不利益になるようなことはダメなんです。
生まれ育った国でのチャンスや築き上げてきた社会観、家族との交流を分断し、
たまに長期休暇の時に行っていたぐらいの日本に子供が連れて行かれるとしたら。
すでに学校に通っている年齢だったら?
子供の意思や特性にもよるだろうけど、母親が囲い込んではダメです。
とてつもなく違和感を感じる、母親が子供を連れて家を出ることが常套手段とみなされている日本社会。
異常性に気づかないのはなぜですか?
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