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【読書感想:超深掘り】「おいしいごはんが食べられますように」を味わう その1

こんにちは。しゅんたろうです。

2022年芥川賞受賞作品
「おいしいごはんが食べられますように」
(著:高瀬 隼子)を読みました。

現代社会に渦巻く心の闇を、すごく上手に切り取った作品です。

読み終わったあと、心にモヤモヤが残るんですが、
それを丁寧に解いて言語化していくと、様々な気付きが得られました。

本って、読む人によって、感じることが全然違うし、それが面白い!

ここでは、私がこの本を味わった感想を書き残したいと思います。
「現代社会に渦巻く心の闇」にご興味のある方、ぜひご一読あれ!

※※※ 以下、ネタバレあり。 ※※※
(NGな人は、本を読んでから見てね。)

内容を簡単におさらい

ネタバレOKだけど本を読んでない状態で、
この記事を読んでくださってる方や
かなり前に読んだけど、内容を忘れた方向けに、
本の内容について、簡単にまとめておきます。

どんな本?

以下、本の紹介文です。

第167回芥川賞受賞!
「二谷さん、わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」
心をざわつかせる、仕事+食べもの+恋愛小説。

職場でそこそこうまくやっている二谷と、
皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、
仕事ができてがんばり屋の押尾。

ままならない微妙な人間関係を「食べること」を通して描く傑作。

おいしいごはんが食べられますように 紹介文

ほんわかした表紙とは裏腹に、内容はかなりドロドロしてます。
あまりハッピーエンドにもなりません。

でも、メッセージ性はかなり強いです。
「読み終わったあとに考えさせられる本」だと思っています。

ちなみに「食べること」を通して、様々な心理描写がされているので、
例えば、振る舞われたケーキを、嫌々ながら食べるシーンとか、
『もったり、甘ったるい、ニチャニチャ』などの表現が出てきます。

めちゃくちゃ嫌なことが伝わってくるので、
文学表現として「流石だなぁ~」と感じたりもしました。

3人の登場人物

登場人物は、同じ職場の「男性1人」と「女性2人」です。

二谷(男性):職場でそこそこうまくやっている
芦川(女性):皆が守りたくなる存在で料理上手
押尾(女性):仕事ができてがんばり屋

ざっくり言うなら、こんな関係。

・芦川も押尾も、二谷に好意を抱いている。

・二谷にとって芦川は、好きなタイプ。実際に付き合う。
 でも、食事に対する価値観が大きく異なる。

・二谷にとって押尾は、仕事上の分かり合える同志。
 食事の価値観は似てるが、恋愛対象ではない。

本書で起こっていた問題は、大きく2つ

そんな三角関係の中、職場では様々な問題が起こります。
その中でも、大きなものは2つだと思います。

【問題1】
 芦川がメンタル不調で休みがち。
 二谷・押尾の仕事負担増。
 →俺たちだって、しんどいけど頑張ってる。芦川ずるくない?

【問題2】
 芦川が良かれと思って持ってきた手作りお菓子。
 ぐちゃぐちゃにされたり、芦川の机の上に置かれる事件が発生。
 →押尾が犯人扱いされて、退職する。

読んでみての感想

読み終わって最初に感じたのは、
「何がいけなかったんだろう?」ということ。

押尾も退職するし、
芦川と二谷が結婚したら、絶対に上手くいかないのは目に見えてる。

「誰の何が問題で、
このストーリーのどこをどう変えたら、
ハッピーエンドにすることが出来るんだろう?」

と考えました。

でも、色んな要素が複雑に絡み合っていて、
頭の中がぐちゃぐちゃになりました(笑)

紙に書き出して、言語化してみた結果、
私が導き出した結論は、こうです。

『3人それぞれが問題を抱えていたし、
 現代社会の歪んだ価値観にも原因がある。』

そして、それらが絡み合った結果、
ハッピーエンドにならなかったんだと感じました。

なにが問題だったのか

一見、良さそうに見えることでも、
違う方向から見たら良くないことは、世の中に沢山あります。
その逆も然り。

何が問題だったのか。
具体的に、以下の5つに分けてみました。

○登場人物の問題
 ①押尾(バリキャリ)
 ②芦川(献身的)
 ③二谷(うまくやる)

○現代社会の歪み
 ④正しいかではなく、弱いほうが勝つ世の中
 ⑤なんのために食べるのか

この「一見良さそうに見える」というのがポイントで、それが支持・蔓延することで、どういった弊害が起こるのがを、鮮やかに切り取っているのが、この本の非常に秀逸なところだと、私は感じています。

…ということで、
次回エントリから、1つずつ言語化していきたいと思います!

今日のまとめ

○「おいしいごはんが食べられますように」(著:高瀬 隼子)が超味わい深かった!!

○学びが多すぎて言語化したいけど、文字量がヤバいことになりそう。

○今回は「作品内容のおさらい」と「私の気付き(目次)の列挙」まで。

ではまた。

しゅんたろう

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