【読書感想:超深掘り】「おいしいごはんが食べられますように」を味わう その1
こんにちは。しゅんたろうです。
2022年芥川賞受賞作品
「おいしいごはんが食べられますように」
(著:高瀬 隼子)を読みました。
現代社会に渦巻く心の闇を、すごく上手に切り取った作品です。
読み終わったあと、心にモヤモヤが残るんですが、
それを丁寧に解いて言語化していくと、様々な気付きが得られました。
本って、読む人によって、感じることが全然違うし、それが面白い!
ここでは、私がこの本を味わった感想を書き残したいと思います。
「現代社会に渦巻く心の闇」にご興味のある方、ぜひご一読あれ!
※※※ 以下、ネタバレあり。 ※※※
(NGな人は、本を読んでから見てね。)
内容を簡単におさらい
ネタバレOKだけど本を読んでない状態で、
この記事を読んでくださってる方や
かなり前に読んだけど、内容を忘れた方向けに、
本の内容について、簡単にまとめておきます。
どんな本?
以下、本の紹介文です。
ほんわかした表紙とは裏腹に、内容はかなりドロドロしてます。
あまりハッピーエンドにもなりません。
でも、メッセージ性はかなり強いです。
「読み終わったあとに考えさせられる本」だと思っています。
ちなみに「食べること」を通して、様々な心理描写がされているので、
例えば、振る舞われたケーキを、嫌々ながら食べるシーンとか、
『もったり、甘ったるい、ニチャニチャ』などの表現が出てきます。
めちゃくちゃ嫌なことが伝わってくるので、
文学表現として「流石だなぁ~」と感じたりもしました。
3人の登場人物
登場人物は、同じ職場の「男性1人」と「女性2人」です。
ざっくり言うなら、こんな関係。
本書で起こっていた問題は、大きく2つ
そんな三角関係の中、職場では様々な問題が起こります。
その中でも、大きなものは2つだと思います。
読んでみての感想
読み終わって最初に感じたのは、
「何がいけなかったんだろう?」ということ。
押尾も退職するし、
芦川と二谷が結婚したら、絶対に上手くいかないのは目に見えてる。
「誰の何が問題で、
このストーリーのどこをどう変えたら、
ハッピーエンドにすることが出来るんだろう?」
と考えました。
でも、色んな要素が複雑に絡み合っていて、
頭の中がぐちゃぐちゃになりました(笑)
紙に書き出して、言語化してみた結果、
私が導き出した結論は、こうです。
『3人それぞれが問題を抱えていたし、
現代社会の歪んだ価値観にも原因がある。』
そして、それらが絡み合った結果、
ハッピーエンドにならなかったんだと感じました。
なにが問題だったのか
一見、良さそうに見えることでも、
違う方向から見たら良くないことは、世の中に沢山あります。
その逆も然り。
何が問題だったのか。
具体的に、以下の5つに分けてみました。
○登場人物の問題
①押尾(バリキャリ)
②芦川(献身的)
③二谷(うまくやる)
○現代社会の歪み
④正しいかではなく、弱いほうが勝つ世の中
⑤なんのために食べるのか
この「一見良さそうに見える」というのがポイントで、それが支持・蔓延することで、どういった弊害が起こるのがを、鮮やかに切り取っているのが、この本の非常に秀逸なところだと、私は感じています。
…ということで、
次回エントリから、1つずつ言語化していきたいと思います!
今日のまとめ
ではまた。
しゅんたろう