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川に流されて生き延びた話<体験談>④

流れるプールの注水口から逃れられないループに陥ってしまった僕はなんとか抜け出せないか試行錯誤していました。

浮かんではひと呼吸して水中に叩きこまれ、しかし数回に一度は呼吸をする間もなく水中に叩き落されました。
徐々に体力が削られていく中、女の子2人組が近くを通っているのが視界に入りました。
女の子はプールの底に足がついていて僕よりいくつか年上の様相でした。
僕はすがるような思いで女の子の足につかまりました。

心の中で「助けてください!」そう叫びながら…
僕は女の子の足にしがみつき、よじ登って助かろうとしました。
しかし無情にも振りほどかれ、突き放され再び注水口のループに飲み込まれてしまいます。
それはそうです。わけのわからない子供が足につかまってきたら誰だってそうします。

誰の助けも得られず、いよいよ自分の力のみで助からねばなりません。
僕は考えました。
必死になってすぐに浮き上がろうとするあまりに注水口のそばに浮き上がってしまい、結果的に逃れられなくなってしまっているのではないか?
ひらめいた答えはこうです。
すぐに浮き上がるのではなく、潜水したままその場から遠ざかればよいのでは?

運よく息を十分に吸い込めたタイミングで、すぐに浮き上がらず潜水したまま全力で泳ぎました。
最初のトライは失敗でした。
二度目のトライで成功しました。
最初と二度目の違いはこうです。
最初は流れるプールの流れを考えずただ潜水して泳いだため、その場から離れることができていませんでした。
二度目はそれに気づき、潜水しながらまず流れている方向を確認してから、流れに向かって泳ぎました。すると注水口からかなり遠い位置で浮かび上がることができたのです。
これがおぼれたときに使える、流れに沿って泳ぐ。4っつ目の解決策です。

実はこれ意外と大切で、川や離岸流に流された時にも有効です。
焦って流れに逆らって泳ぐことは体力を余計に使うだけで効果的ではありません。
横に向かって泳ぐというのも正解とは言えません。
流れから逃れるコツは流れに沿って斜めに泳ぐです。
そうすることで余計な体力を使わず、抵抗を減らし、加速しながら流れから逃れられます。

僕はこのことを知らずに、流されまいと流れと逆方向に泳いだり、岸にたどり着こうと横に泳いだりしていました。
横に泳ぐと抵抗が激しくスピードが出ずなかなか抜け出せません。
力尽きて休んでいると、気づけば流れの中央に引き寄せられます。
こういったことから流れから抜け出すためには一気に抜けるしかないのです。
やはり正解は流れに沿って斜めに泳ぐです。

溺れたときの対処法は他にもあるのですが、これは後程のエピソードでいくつか出てくることになります。
まずは話を本題に戻して、僕が滝に飲まれて抜け出せないループの続きです。

この流れるプールで起きたピンチと、いま目の前で滝に飲まれて抜け出せないピンチは重なりました。
すぐに浮き上がるのではなく、潜水して流れに沿って泳げば逃れられるのではないか?
僕はそう考えました。
そして、水中に叩き落される直前にしっかりと息を吸い、水中で脱力して上下の確認、暗い方を目指して潜水を試みました。
落ち着いて川の流れる方向を感じ取り、地を這うように川底を進みました。

十分な体力も呼吸もなく、削られた状態でした。
これでだめならもうだめだ。そう思っていました。
頑張って潜水してから浮き上がりました。
振り返ると遠くに2メートルほどでしょうか落差のある滝?が見えました。
想像していた滝より小さかったのですが、本当に苦戦しました。

「川に流されて生き延びた話」はこんなもんじゃありません。
まだまだ始まったばかり。
ぜひ最後までお付き合いください!

つづく

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