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星めぐりの旅 2022/12/4(写真と文)
あかいめだまの さそり
ひろげた鷲の つばさ
あをいめだまの 小いぬ、
ひかりのへびの とぐろ。
オリオンは高く うたひ
つゆとしもとを おとす・・・。
岩手県、花巻市。
鉛温泉の露天風呂で、湯煙に見え隠れするぎょしゃ座のカペラや、カシオペヤ座を眺めながら口ずさむ。
ザァァァーーーーーーーーーーーー。
ザァァァー。
豊沢川の流れが、果てしなく深い闇へ誘う。
最後に、ここに来たのは2018年か。
もう、4年も経ってしまった。
やっと、ここまで連れてくることができた。
やっと、だ。
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2022年12月4日。
ぼくは4人の生徒を引率して、再び花巻に立った。
生徒たちは、札幌新陽高校の「宮沢賢治文学を研究する会」メンバー。
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彼らとは高校1年生のときに、担任の先生を通じて出会った。
「若者の文学離れをなんとかしたいんです」
コロナ禍の難しい局面の中、純粋な思いが結実し、3年生になった春にサツドラ本社ビルにて、そして夏に札幌市役所で「高校生が考える宮沢賢治展」を企画、開催した。
おかげさまで、多くの来場者に恵まれた。
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その過程で、メンバー生徒のルーツに花巻があることが判明した。
祖母の父が花巻出身で、札幌農学校卒という。
宮澤賢治が修学旅行の引率で北海道帝国大学(札幌農学校、現在の北大)を訪れたのは1924年。
その時、歓待してくれたのが花巻出身の佐藤昌介北大総長。
北大と花巻は縁深い。
”孫が、父の故郷の偉人である宮沢賢治の展示会を企画してくれた。”
来場した、生徒のおばあちゃんは泣いて喜んでいた。
展示会で、宮沢賢治への想いを強くした生徒たちは、花巻行きを決めた。
特別な課外活動を支援する学校の制度に応募し、見事受理され、今回来ることができた。
出発は12月4日。
旅程は全て生徒たちで計画。
凍てつく新千歳空港を後にした。
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仙台からは、新幹線で新花巻へ移動した。
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新幹線で新花巻駅に到着。
花巻の空気を思い切り吸い込んだ生徒。
「うん、空気がおいしいです!」
めちゃくちゃいいコメントをくれた。
本当はバスで花巻駅まで行く予定だったが、ここでスケジュール管理の生徒が休日と平日のダイヤを間違えた。
急遽JRで花巻へ行くことに。
新花巻駅のホームに着くと、なぜか人だかり。
何事かと思いきや、なんと10分後にSL銀河が到着するという!
しかも、今年ラストラン。
ワクワクしながら待っていると・・・。
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来た!
彼方から、灰色の蒸気を吐き、もの凄い迫力で黒い塊が迫ってくる。
ずっと見たかったSL銀河。
生徒のプランミスで、まさか拝むことができるとは。
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ボォボォォーーーーーーーー!!!
力強く汽笛を鳴らし、SL銀河はゆっくりとホームを後にした。
賢治さんから、頑張った生徒たちへのご褒美。
ホームに鳴り響く、「星めぐりの歌」が儚く夢のようだった。
ふぅ。
それにしても、この鉛温泉。
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いつ訪れても、湯が滑らかで、しっとりと肌になじむ。
いい湯だ。
気分が良くなった僕は、湯船でもう一度「星めぐりの歌」を口ずさんだ。
賢治さんが遺した、星をめぐる旅がはじまった。
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