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星めぐりの旅 2022/12/5(写真と文)
キンキンに冷えた鉛温泉の朝。
寒気でいっきに目が覚めた。
バスを待つ吐息が白い。
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通学する児童を乗せたバスに乗車、花巻駅へ向かう。
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そこから、この旅一番の目的である宮沢賢治記念館へ。
バス停からは心臓破りの階段。
なんと、367段!
「乳酸がぁ〜〜〜〜〜」
生徒たちは悲鳴を上げる。
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やっとの思いで登り切った。
4年前と変わらぬ景色に、ホッと胸をなでおろす。
ここが宮沢賢治記念館だ。
興奮する生徒・・・と、僕(笑)。
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当館学芸員の宮澤明裕さんが迎えてくれた。
宮澤さんは、賢治の実弟清六さんのお孫さん。
副読本『青の旅路』出版時や、今回の札幌市役所での展示にも随分と尽力していただいた。
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生徒から、展示会へ資料を提供していただいたお礼と報告。
対話を重視した生徒たちの展示会の内容を、宮澤さんは特に喜んでくれた。
今後の活動にも、有意義なアドバイスをもらった生徒たち。
みんな嬉しそうだったな。
ひとしきり報告した後は、館内をじっくり鑑賞。
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続いて、宮沢賢治イーハトーブ館、宮沢賢治童話村と巡る。
童話村の手前、「なめとこ山の熊」というお蕎麦屋さんで舌鼓。
温かい蕎麦が染み渡る。
童話村で、きゃっきゃとはしゃぐ生徒たち。
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どっどど どどうど どどうど どどう
青いくるみも吹きとばせ
すっぱいかりんも吹きとばせ
どっどど どどうど どどうど どどう
(風の又三郎より)
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賢治さんの世界観が視覚的に表現された童話村。
メルヘンと見るか、心象世界と見るかはその人次第。
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白鳥の停車場から、次の目的地へ。
向かったのは、桜町にある「雨ニモマケズ詩碑」。
個人的に花巻で一番好きな場所で、この4人をどうしても連れてきたかった。
賢治さんが教員を辞めた後に過ごした宮澤家の別荘、「羅須地人協会」跡地に建つ詩碑。
ここには賢治さんの遺骨も分骨されている。
碑の文字は、高村光太郎の書によるものだ。
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静かで、気配を感じる不思議な空間。
僕個人の感覚としては、「雨ニモマケズ」という作品を感じる場所ではなく、なにかこう、賢治さんの世界観そのものの深淵に少しだけ触れることができるような特別な空間である。
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詩碑から少し降りたところに、賢治さんの”下ノ畑”跡地がある。
畑に続く一本道で、生徒を撮影しようと構えていたら、逆に撮影された。
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冬風がビュンビュン吹き荒ぶ河川敷、寒さで凍えそう。
早く、宿に行こう。
本日の宿は、賢治さんもよく来ていたという大沢温泉の湯治宿。
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この旅は、2日とも湯治宿なので、もちろん自炊だ。
生徒たちが2日間、夕食を作ってくれた。
「先生は、お風呂にでも浸かって待っていてくださいね」
なんという心遣い。
昨日は、仙台の青セリ鍋。
これが絶品だった。
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今日はお好み焼き。
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これも、間違いない美味さ。
ありがとう、ごちそうさまでした。
そして、今。
ようやく露天風呂の湯煙に身を包む。
冷え切った身体にお湯が染み込み、皮膚がジンジンする。
おぼろげな月明かりに浮かび上がった、木々のシルエットが美しい。
湯気で真っ白なお湯に顔を沈める。
うーん。
沁みる。
賢治さんも、こうして浸かっていたのだろうか。
瞼を閉じて湯に浸かっていると、ここが令和ではなく大正時代なのかもしれないという錯覚に陥った。
もしかしたら、湯煙の向こうに賢治さんがいるかもしれない。
そう考え、そっと瞼を開いてみた。
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