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ずっと捨てずに持っていた詩集

先日、本の整理をしていたら書棚の奧の奧で1冊の詩集を見つけた。文庫本だ。奥書に「1985年初版発行」とある。綺麗なカバーがつけられていた。

何のことはない、それは谷川俊太郎の『朝のかたち』だった。中学の頃に購入したものだ。何度も何度も繰り返し読んだことを覚えている。とても綺麗で純粋で、優しい詩だな、というのがその頃の私の幼い感想だったと思う。おそらく『萩原朔太郎詩集』の次に手にした本格的な詩集だろう。

明日で50歳になる。35年間、ずっと同じカバーをつけたまま、ときに忘れながらも、私は詩集を捨てずに持っていた。

高校を出て上京するときに持って来たもののようだ。何度かの引越しもしたが以来、ずっと捨てずに持っていたのだろうと、なにか懐かしさというより優しい安堵を感じた。


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