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メディカル英語<視診・触診>Objective#6(股関節)

今回の可動域確認フレーズは、肩関節と同じボールアンドソケット関節の股関節に関するものです。
特に難しいものはないですが、選手がどのような体勢でいるのかで使えるフレーズが変わることもあるので、ぜひどのポジションの時にどのフレーズが使えるか注意して読んでみてください。


股関節

屈曲

pick up your leg
lift your whole leg up with your knee straight
lift your knee towards your chest
bring your knee to the chest
hug your knee

pick upは「持ち上げる」という意味なので、文字通り脚を持ち上げて股関節屈曲を達成できる体勢で主に使われます。立位や座位ですね。
対して、liftもpick upと同じように「上げる」という意味なのですが、これは仰向けの姿勢の人にも使われます。pick upも仰向けになっている人に絶対に使わないかと聞かれれば、そんなことはないのですが、あまり聞かないことは事実で、基本的には立位や座位の人に使われます。
2つ目のフレーズは、シンプルにSLRをしてほしいと伝えています。仰臥位の患者さんに「脚全体を膝を伸ばした状態で持ち上げてください」と伝えるフレーズになります。
立位では股関節の完全屈曲は自動では難しいですよね。なので、bring your knee to the chest「膝を胸の辺りに持ってきてください」とかhug your knee「膝を抱えてください」と言って股関節の完全屈曲をする時は大体が仰向けか座位の体勢になります。と言っても、立位で絶対やらないわけではないので、立位の人に膝を抱える形で股関節を完全屈曲してほしい時にも最後の2つのフレーズを使うことができます。

伸展

lift your whole leg up (behind you).
bring your leg up towards the ceiling from your hip.
extend your hip
swing your leg back
kick your whole leg back

最初の2つはうつ伏せになっている患者さんに使うフレーズになります。
wholeは「全て」という意味の単語です。なので、最初のフレーズは脚全部を持ち上げてくださいという意味です。1つ目のフレーズで、behind you「あなたの後ろに」を括弧に括ったのは、うつ伏せの状態で脚を持ち上げるように指示すると必ず体の後ろになるので、特に付け足す必要がないからです。あっても問題ない程度なので、括弧にして表記しました。
ceilingは天井という意味の単語なので、2つ目のフレーズは「股関節から動かして、脚を天井に向かって動かしてください」という意味です。
下3つのフレーズはどの姿勢でも使うことができます。
kickは文字通り、「蹴る」という意味です。「脚全体を後ろに蹴ってください」=「股関節を伸展してください」となります。

外転

bring your leg out.
lift your leg up to the side.
open your hip to the side.
swing your leg out.
abduct your hip.

最初のフレーズは、bringをmoveにしても同じ意味になります。outは「外へ」という意味なので、「脚を外に持ってきてください」と伝えることで外転を指示することができます。
2つ目のフレーズは、側臥位の時に使います。側臥位であれば伸展で紹介した1つ目と2つ目のフレーズでも外転を指示することができます。
abductは「外転する」という意味の動詞です。なので、 最後のフレーズはシンプルに「股関節を外転してください」と指示しているフレーズになります。

内転

bring your leg in.
lift your bottom leg up.
put your legs together.
move your leg back in the middle.

2つ目のフレーズは、側臥位の時に、「下の脚を持ち上げてください」と指示することで内転させたい時に使えるフレーズです。
3つ目は、「両脚をくっつけてください」と指示することで内転させるときに使えます。厳密には、ただ可動域を見たいだけであれば、あまり使わないフレーズだと思います。どちらかというと、内転筋の徒手筋力検査の際に、このように指示した上で、squeeze「挟んで力入れて」と伝える時が使い時かなと思います。ただ、単純に脚をくっつけることでそもそも内転ができるかどうかを見る時にも使うことはできますね。ちなみに、立った状態でこのように脚をピタッとくっつけさせたい時は、put your feet together「両足をくっつけてください」と言います。legsを使う時は、患者さんが寝ている状態か座っている状態です。
最後のフレーズは、外転した状態の脚を真ん中に戻してもらうことで内転を見るときに使うフレーズになります。

外旋

rotate your whole leg out.
rotate your hip outward.
bring your lower leg in. (座位)
move your knee out.
open your knees.

最初のフレーズは立位、もしくは仰臥位で使う股関節外旋のフレーズです。この時、「脚全てを外に回旋させてください」と伝えているので、脚が伸びている状態であることを確認してください。
膝が屈曲している状態で使えるフレーズは2つ目と3つ目です。2つ目のフレーズは仰臥位でも座位でも、立位でもなんでも使えます。ただし、患者さんが「股関節を外旋する」という動き自体を理解して出来ている事を確認してください。
3つ目のフレーズは、「下腿を内側に持ってきてください」と伝えることで股関節外旋をさせています。座位と書いていますが、股関節90度屈曲、膝関節90度屈曲であれば、仰臥位でも使えます。しかし、患者さんを仰臥位にして自動の外旋可動域を確認することはあまりないように思ったので(座位)と付け足しました。
最後2つのフレーズは、仰臥位か側臥位で膝が曲がっている状態の時に使えます。仰臥位で両股関節を外旋してほしいとき(脚を開くような動作)は、kneesと複数形にすることを忘れないようにしましょう。

内旋

rotate the whole leg in. 
rotate your hip inward.
bring your lower leg out.
put your knees together and bring your right foot up.
knees together and move your feet out. (伏臥位)

外旋の反対ですね。それぞれのフレーズを使えるタイミングも外旋と同じです。
1つ目が、立位もしくは仰臥位で使えるフレーズです。2つ目のフレーズはどんな体勢でも使え、膝が曲がっていても伸びていても使えます。
3つ目のフレーズは、膝が曲がっていることが前提です。体勢は基本的に座位で使うことが多くなると思いますが、場合によっては仰臥位でも使うことができます。
4つ目のフレーズは、可動域確認というよりはエクササイズで使うことが多いかもしれませんが、側臥位の時に「膝をくっつけて、右足を上にあげてください」と伝えることで右の股関節の自動内旋を促すフレーズです。
最後のフレーズは、書いてある通り、伏臥位で、膝を曲げた状態から、「両膝をくっつけて、両足をそれぞれ外に動かしてください」と伝え、伏臥位での股関節内旋を促しています。この肢位も自動での可動域確認にはあまり使いませんが、例えば他動の可動域チェックの際には、knees together. I'm going to move your feet out.と伝えれば大丈夫です。

前回の更新からだいぶ時間が経ってしまいました。
股関節は肩関節と同じで、関節の自由度が高い分、可動域確認の仕方にも工夫が必要になることが多いですが、今日紹介した基本的な動きの可動域確認を参考にそれぞれの患者さんに必要な可動域確認フレーズを考えて使ってみてください。
「この動きはどう伝えたらいいか?」などの質問がありましたら、この記事のコメント欄か、youtubeapple podcast, spotifyなどもやっていますので、そちらでコメントを頂けたら嬉しいです!

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