うつ脱出の秘訣は「人の力」だ~うつ病脱出のヒント~
私がうつからどうにかこうにか脱出できた理由、そして今、支援者として仕事をしている立場から、「うつ脱出の秘訣」をお話しします。
それは、「人の力を借りて安心感を得ること」です。
うつ病というのは、他者との関係が原因を占めることが多々あります。パワハラなどのハラスメント、他者とのコミュニケーションエラーから起こる対人的なストレス、昇進昇格による対人的な役割の変化など。
もしくは、自分の思考の中で、他者の目が怖い、他者にどう思われるか気になって仕方ないといったこと。
他者という「人」が原因であるにも関わらず、なぜうつから回復するために「人の力」が必要なのか。
これを私の体験から紐解いていきます。
①自分ひとりではないと感じる
私はうつになり、休職しました。過重な業務負荷もあったと思いますが、厳しい上司との関係や、結果を残さないといけないという責任感と他者との比較、そういったいわゆる人間関係によるストレスが大きかったと思います。
休職してしばらく経ったのちに、リワークプログラムに通うことになります。リワークプログラムは、ご存じの方も多いと思いますが、「休職した方
が復職に向けてリハビリをする場所」と書くとわかりやすいでしょうか。仕事の勉強をしたり、PC作業をしたり、自分自身の病気の原因を振り返るような作業を行います。
内容自体も当然リハビリになるのですが、私にとって貴重だったのは「そこに仲間がいる」、「同じ立場の人がいる」ということでした。
うつ病で休職している自分は負け組だ、自分だけがこんなにつらい思いをしている、他の人は休むことなく働いている。はじめは、そんな思いで休職期間を過ごしていました。しかし、リワークプログラムに行くと、「自分だけではないんだ」という世界をみることができました。そして、先にプログラムを通っている人から、アドバイスをもらったり、他愛もない話をしたりすることで、人のやさしさを感じることができるようになりました。
休職中は「孤独」を感じることが多いのではないかと思います。なぜ自分だけ働けないのだろう・・・といったように。でも、「自分ひとりではない」と感じることができるのは、回復への大きな大きな力づけになります。そして、人によって傷ついたこころをいやしてくれるのは、人のやさしさだと実感できるわけです。
②人のやさしさを感じる
先ほど書いたように、うつ病というのは、他者との関係が原因を占めることが多々あります。
しかし、それが原因として心の中に残っていたままであれば、人と接すること自体が怖くなっていたり、また何か起きるのではないかと不安になったりと、私たちの心は警戒心から解き放たれません。それもまた、「人の力」によって回復していく必要があります。
私であればリワークプログラムが、その役割を果たしてくれました。支援者としても、他者の力を借りて回復する人を多く見ています。
うつ病の原因が人である場合、人を信じたり安心できるようになるには、どれだけ本で学んでも、変わりません。実際に人と接することが必要です。
かといって、いきなり職場に乗り込んでいって、ストレスを受けていた人と接することはできません。
まずは「自分が安心して、自分自身を出せる場所」を探す必要があります。
病院、カウンセリング、リワークプログラム、会社のならし勤務プログラム、ピアサポート(当事者)の集まりなど、なんでも構いません。自分が自分を出しても、受け入れてもらえる場所、認めてもらえる場所、自分らしくあることができる場所を探してみてください。
そして、「自分は他者といても安心できる、自分のことを話しても大丈夫、自分を出しても大丈夫」という安心感を築いていきましょう。そうすることで、他者に対する警戒心が少しずつ軽減されるはずです。
③自分だけでなんとかするのはおすすめできない
「人」によって受けた傷をいやしてくれるのもまた「人」です。
おすすめできないのは、「自分だでなんとかしよう」とすること。これはよくなりません。
私も最初のほうは、通院はしていたものの、それ以外の時間は一人で図書館に通って、読書やPC作業をしていました。それは決して無駄だったとまでは思いません。自分の病気のことを振り返ったり、うつ病の知識を得る時間としては有効でした。
ですが、うつ病は一人で何とかなるものではありませんでした。どれだけ一人でがんばっても、なぜか回復が頭打ちになる、空回りし続けました。
支援者となり、やはり同じように思うことは「自分だけでなんとかしようとする人ほど長引く」。
「病気を治そう」と思う気持ちは大事です。ですがそれを「一人で治そう」としても治りにくいのです。
一人で治す、とは。
少し厳しく思うかもしれませんが・・・
①自分の殻に閉じこもって、ああでもない、こうでもないと考えを巡らせること。
②自分がいいと思うことに固執すること。
③自分の考えや行動をなかなか変えようとしないこと。
裏を返せば
①自分の殻に閉じこもらずに
②他人がいいよということに耳を傾け
③自分の考えや行動を変えてみようと取り組むこと
をすればよくなっています。
あなたが一人で苦しむ必要はありません。
そして、一人で治そうとしても苦しいばかりです。
人の力を使って、こころのカギを開け、こころにまとった鎧を少しずつ脱いで、治していきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
あなたのうつがよくなる日が来ることを願っています。