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EVメーカーテスラが引っ張る産業とサイエンス

以前に半導体競争について触れました。

ようは、
半導体開発競争が米中中心に激化し、過去最大開発国であった日本もその流れで改めて次世代半導体開発に国家的に注力している、
という話です。

上記投稿の最後に、半導体の素材についても次世代の動きが起こっているという書き方をしました。

今回は、中国含む先進国を中心に進みつつあるEVシフト(こちらによると2022年新車販売の10%を超えたようです)に関連するサイエンスについて触れてみたいと思います。

EVの動作原理はある意味シンプルで、下記の3つのリレーです。

バッテリー:動力源である電気を蓄える(以外もありますがこれが主流)
コントローラー:電気をモーターが使いやすいように変換する
モーター:電気を動力に変換する(主に電磁気力の力)

今回の話は、コントローラーとモーターについてです。

まず、話題に挙げた半導体の素材についてですが、今でも半導体製品の主流はシリコン(Si)です。

EVでの電力制御の役割を担うコントローラーは、自動車であるため他の製品よりも高電力が必要であり、こういった類を「パワー半導体」と呼ぶこともあります。(いくつかのさらに種類に分かれますが今回は割愛)

で、EVメーカ最大手のテスラ(由来は20世紀の科学者)が、このパワー半導体の素材にシリコンでなく「炭化ケイ素(SiC)」を採用して話題になりました。

これは、シリコンよりも簡素に設計出来、なによりも耐電圧性に優れているため、利用者観点で言えばよりバッテリ性能がUPして、走行距離が延びるなどのメリットがあります。

1つだけやや専門性がありますが、物性を比較したサイトを引用します。(言わずもがなサイト提供のロームもこのパワー半導体を開発する1社です)

ただ、まだほぼテスラだけが採用しているのも事実で(投稿時点)、その原因はまだシリコンよりコストが高いからです。

下記サイトだと価格が4・5倍もするそうです。

ただ、同じく上記にあるとおり、これからEVの需要が伸びていくと需給が見合って導入する企業が増える可能性を示唆しています。

それにしても、既にEVシェア一位のテスラのこのアグレッシブは、やはりテスラ、ですね。

しかもテスラは、最近もう1つのEVの基本動力「モーター」に絡むチャレンジに踏み切っています。

ようは、
テスラは次世代の永久磁石モーターに希土類を使用しないと発表した、
という話です。(タイトル画像は上記記事内。Creditt :ビクトリア・クレスティ(ロイター))

EVにも色んなモータータイプがあります。興味のある方は、下記のサイトが詳しくてお勧めです。

記事では、主流の永久希土類の元素を使わない、という方針が実体以上に株価に影響を与えている、という論旨です。

記事によれば、EVモーター全体で希土類の永久磁石消費量の12%で、その中でももテスラのシェアは高々20%程度とのことで、なのにこの対象の元素を発掘する企業の株価が発表後10%下がった、ということです。

あくまで投資家向けなので、これからテスラが次世代モータをどう開発するかはまだまだ見えないところはあります。

ただ、少なくともテスラの今までの動きを見ていると、サイエンスを熟知したエンジニア集団がその原理から新しい可能性を追求して既存産業を動かしている、とすら感じます。

これはイーロン・マスクの他事業(Twitter除く)にも見え隠れするところで、やはり彼のリーダーシップによる影響があるのでしょう。

今のサイエンスを学ぶ1つの教科書は、テスラ含むイーロン・マスクの事業なのかもしれません。

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