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ノーベル賞ロジャー・ペンローズのチャレンジャー精神1

昨日8月8日は、物理学の大御所「ロジャー・ペンローズ」氏の91歳(!)の誕生日です。

ちょうどその日に合わせて、ノーベル財団が過去(2021/3)に行った彼へのインタビュー記事を載せています。

※タイトル画像は上記サイトより引用。

上記内容も含めて、ペンローズ氏の偉大な業績を中心に振り返ってみたいと思います。
1つにまとめるのは困難なぐらい多方面に活躍しているので、今回はその前半です。

デビュー戦は「ブラックホール」

上記のインタビューでは、幼少のころに家族(父親は遺伝学教授で母親は医者)から科学の知識を与えられたことを振り返っており、好奇心をくすぐられた環境だったようです。

幼少期に医者を継ごうと思ったのですが、化学・数学・物理に強い関心を寄せ、科学の世界にのめりこみ、ケンブリッジ大学院で博士課程を卒業します。(この時点で21歳)

2020年のノーベル物理学賞受賞時では、彼の業績についてこのようにふれていました。

ペンローズ氏は、ブラック ホール形成がアインシュタインの一般相対性理論から導かれることを、独創的な数学的方法で証明しました。
ちなみに、ペンローズ氏はもしあえて分類するならば「数理学者」で、特に数学的才能は高く評価されていました。

そもそもブラックホールの存在は、1916年にシュバルツシルト氏が解いた一般相対性理論の厳密解で示唆されていました。
ところが、意外に思うかもしれませんが、アインシュタインはその存在(もう少し言うと時空を大きく歪める特異点)を否定していました。

このあたりは以前に投稿したので引用にとどめておきます。

ペンローズ氏が科学界にその名をとどろかせたのは、シュバルツシルト氏が仮定として置いた「球の形状」にとどまらず、
一定以上の重さを持つ(重力崩壊を起こす)物体は「どんな形状でも」いつか必ず特異点になる
ことを、微分幾何学という数学的手法を駆使して導いた特異点定理です。

しかも彼は研究の過程で、今ではSF小説としても使われている「時空の地平線(イベントホライズン)」という概念(ざっくりいえば、いくらかかっても到達できない領域)を初めて提出し、特異点はその内側になければいけない、という「宇宙検閲官仮説」理論も提出しています。
はじめ聞いたときはSFの話かと勘違いしましたが、れっきとした科学理論です。
ただ、こちらは後世になって、いやいやその外側にもあるのではないか?(裸の特異点といわれます)という論文も出ています。

実は特異点定理にはいくつかのバージョンがあり、初期のものは博士課程を卒業した数年後の1965年(当時24歳!)に提出されました。

そこに、同じくケンブリッジ大学の研究院生だった後輩が、彼の研究に加わります。

車いすの天才「スティーブン・ホーキング」です。

ホーキング氏は、ペンローズの定理をなんと宇宙の構造全体に押し広げ、
宇宙の始まりには特異点が存在する
という「宇宙の特異点定理」を共同で発表することになります。
※このこともあり、しばしば、特異点定理を「ペンローズ・ホーキングの特異点定理」と丸めて表現されることもあります。

このことが、ホーキング氏が科学界に華々しくデビューするきっかけとなりました。今回は話が脱線するので、彼の話はいったんここまでにしておきます。

ペンローズ氏に話を戻します。

彼の偉大な点の1つは、難解な理論を視覚的に表現する図も考案したことです。

例えば、いくらかかっても到達できない無限の先「事象の地平線」といわれても、困りますよね?(想像出来る方は天才です)

そこで彼は、時空を直観的に表現できる「ペンローズ図」を導入します。

出所:上記Wiki「ミンコフスキー空間のペンローズ図」

彼は、ある意味芸術家の要素もあり、「ペンローズタイル」や「ペンローズの階段」など独創的な絵を発表しています。(タイルは特許もとって不正利用で裁判沙汰にもなったことも)

関連ですが、同じく不思議な絵を描く芸術家のエッシャー氏とも親交が深かったようです。

今回は彼がノーベル物理学賞を取るきっかけとなった初期の研究を中心に紹介しました。

そのあとに、彼の関心は宇宙にとどまらず、思いもよらぬ分野にも広がっていきます。(続く)

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