超ひも理論の進展と課題:CERNでのString Theory 2024国際会議
先日、素粒子加速器の最高峰CERNで"String Thoery2024"と呼ばれる国際会議が行われ(公式HP)、大栗博司氏が行ったClosing講演が公開されています。(良い時代☺)
今までに、String Theory、日本語で「超ひも理論」については何度か触れてきました。
以前は「万物の理論」とも聞いた事がありますが、近年は量子論と相対性理論を融合する「量子重力理論」と呼称されます。その候補の1つです。
超ひも理論とは、
点でなく「ひも」(かそれ以上の次元)を単位として既存の物理理論を統合できるかもしれない、
という壮大なものです。
「超」とついている通り、元々「ひも理論」を発展させたもので、日本の南部陽一郎氏が発案者とされています。この方自身ノーベル賞受賞者で、「魔術者」の異名を持つ天才肌(魔法使い肌?)を持つ方です。
上記動画では、この理論の過去と未来について総括しています。そのなかで、これから取り組むべき課題について、生成AIの力も借りて紹介したいと思います。
取り組むべき課題
非摂動的弦理論の定式化:
課題:弦理論を完全な非摂動的かつ量子レベルで定式化できるかどうか。
補足:「摂動的」とは、局所的な乱れを近似的に表現してそれを軸に大きく展開する手法で、そうではなく全体的な視点から記述できないか?
弦場理論の応用:
課題:Dインスタントン効果や時間依存解、RRフラックス背景などへの応用。
補足:Dインスタントンとは、「高次元の膜(Dブレーン)が存在すると仮定したときに量子がどのように存在するのかを説明した概念」で、「RRフラックス背景」はそれに影響を与える力を伝える理論。
レフシェッツサドルと非摂動的定義:
課題:レフシェッツサドルを用いて非摂動的な弦理論を定義できるかどうか。
補足:「レフシェッツサドル」とは計算を楽にする技法で、これによって非摂動的な弦理論の定義が可能かを検討する。
非単位的共形場理論 (CFT):
課題:非単位的な2次元CFTやその周辺のRGフローが弦理論の非摂動的定義においてレフシェッツサドルを表現できるかどうか。
補足:CFTとは対称性の1種。非単位的とは、エネルギーが負になることも含むケースを指しており、それが物理系が変わっても(RGフロー)成立するかどうかを検討する。
トポロジカルストリングの進展:
課題:トポロジカルストリングの観測可能な現象や相関関数の計算。
補足:トポロジカル(微分幾何)とは空間の形状だけで表現する手法の総称。
理論空間の分類:
課題:ホログラフィックCFTや弱結合の重力理論、SQFT(超対称量子場理論)、S-行列の分類。
補足:ホログラフィ原理(空間を境界で説明可能とする理論)を使ってとある対称性を持った理論を説明することを検討。
スワンプランド予想:
課題:スワンプランド境界における有効場の理論が崩壊する条件の厳密な測定。
補足:スワンプランド予想とは、量子重力理論の整合性をチェックするリスト。
de Sitter空間の構築:
課題:超ひも理論におけるde Sitter空間の具体的な構築。
補足:de Sitter宇宙とは、膨張する宇宙モデル。スワンプランド予想ではこれに従うde Sitter空間は存在しないと考えられているようです。
これを一瞬でも構築出来る方法を見つけることで、その特性を理解することを検討。
専門用語の理解で精いっぱいですが、なんとなく最先端で何が議論されているか雰囲気を味わうだけでも、科学愛好家としてはありがたいです。
またどこかでゆったりと、1つ1つについて学んでより深く楽しんでみたいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?