見出し画像

噴火で黒焦げになった古代の文書をAIがサルベージ

AIが古代文書を解読する、という話は以前にも触れました。

今回は、言語解読でなく、物理的に解読不可能だったものを生成AIで解読に成功した、という話です。記事を紹介します。

ようは、
噴火で黒焦げに巻かれた古文書をスキャン+生成AIで解読に成功した、
という話です。

解読前の状態はこんな感じです。・・・一見絶望的ですね。むしろよくここに文字が書かれているということに気づいたもんだと思います。

上記記事内の図

元はパピルスと呼ばれる紙で当時の文字で書かれています。西暦79年のイタリアのナポリ東にあるヴェスヴィオ火山噴火の結果黒焦げ状態になりました。同火山による遺跡で有名なのが、世界遺産にもなっているポンペイだですね。

史上最も多くの死者を出した噴火ともいわれています。

さて、完全に黒焦げになったこの巻物ですが、解読のきっかけとなったのは2023年3月に年末期限で設定された賞金付きコンテストです。

ヴェスヴィオチャレンジと題して、この状態から解読に成功したら数千万円の賞金を獲得できます。(最高の成果を出したら1億円以上!)
企画したのは元GitHub(コードライブラリ管理サイト)CEOで現在は投資家のナット・フリードマン氏です。

まず、黒焦げ状態なので下手に巻物をほどこうとすると崩れかねません。そこで1つめの壁はこの状態でスキャンすることです。

これは我々の健康診断でおなじみのX線を使ったレントゲンみたいな技術だと思ってください。

輪切りにしたものをつなぎ合わせることで仮想的に巻物をほどくことに成功しました。ただ、それがインクかどうかの検知がまず難しく、そこからAIを活用していくわけです。(実際賞金も小分類でスキャンやインク検知などもあります)

結果として、2023年全体でグランプリを受賞したチームが復元したのがこちらの図です。

上記記事内の図

完璧ですね、改めて技術のすごさを思い知らされます。

今回優勝したチームは3つありますが、初めに文字解読に成功したのはなんとSpaceXでインターンをしていた21歳の大学生でした。
「πορφυραc(ポルフィラス:紫)」という単語を初めて解読することに成功しています。

結果として分かったのは、この巻物にはエピクロス主義における最高の善である「喜びの源」について論じていたそうです。
そこから、著者はエピクロス派の哲学者・ピロデモスではないかと推測されています。

ただ、今回解読できたのは全体の数%程度とのこと。

ということで、このチャレンジは2024年も改めて開催し、今度は全体の85%を目指すそうです。

AIなど最先端の科学技術が最古代の謎を解明していく様子は素直に感動しますね。今年の結果が今から楽しみです☺

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?