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合成生物学が切り開く新しい脱炭素社会

合成生物学と呼ばれる分野について以前に紹介しました。

今でも世界各地で研究は進み、最近でもこんな発表がありました。

ようは、
DNAを再プログラミングして人工的にペプチド(たんぱく質の要素)を構築させることに成功した、
というはなしです。

我々の日常生活で例えると、リサイクリングみたいなものでしょうか。
しかも、DNAを編集することでその性質までコントロールすることが出来るので、それ以上の意味を持ちます。

用途としては、衣料や医療素材などが期待されているようです。個人的には、最近はやりの「ウォッシュレス」目的で使われたら、相当省エネにも貢献しそうです。なにより日々洗濯する人が喜びそう☺

このような生物の合成技術は危険性も唱えられていますが、上記のように我々の生活を豊かにする可能性も秘めています。

それがもう少し大きなスケールで貢献できる話題もあります。

ようは、
人工的に作った細胞でCO2減少に貢献できるかもしれない、
という話です。

人工細胞の歴史として、ベンターが登場しています。過去に彼についてふれたので載せておきます。

ベンターが過去成功した人工細胞は「細菌」という核をもたない生物ですが、今回のニュースでは核を持つ「酵母」を疑似的に生成することに成功しました。(完全にゼロからではないですが)
今回の工夫は、遺伝子変異を意図的に加えたり既存の遺伝子機能を停止させたりと、なかなかトリッキーな手段をとったようです。
パイオニアであるベンターの時代よりも合成化に要するコストが数千分の一にまで抑えられているそうで、これから似たような技術競争が加速するでしょう。

で、実験室だけでなく実用性の価値として「水素酸化細菌」の合成が注目されています。

この細菌自体は以前から注目されており、日本の大企業でも量産化に取り組んでいます。

タイトルにある通り、CO2と反応できるため、気候変動対策にも貢献できます。

注目される背景は、CO2と反応する「水素」の存在です。(細菌はあくまでその反応を誘発する役割)

この水素が、思った以上に天然に存在することが分かってきました。

こういった偶然もあり、話題の合成生物学による研究成果が世界中で注目されている脱炭素産業にブレークスルーを起こすかもしれません。

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