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宇宙の憲法とゴミ(デブリ)問題

今日は、憲法記念日です。毎年ながら改憲が話題になりますが、そもそも宇宙に人類が進出しつつある中で、宇宙活動における法制度はどうなってるのでしょうか?

今回は、日本を中心とした宇宙の法律について、特に話題の宇宙デブリ(ゴミ)問題に絞って経緯と現状をお伝えしようと思います。

ちなみに宇宙の所有権とデブリ問題については過去もふれたので、引用しておきます。

まず、宇宙空間での活動に関するルール作りは、国連の国際連合宇宙空間平和利用委員会(United Nations Committee on the Peaceful Uses of Outer Space、略称COPUOS)が主に担ってきました。(1959年に設置。2022年1月時点で日本含む約100か国が加盟)

はじめの大きな動きとして、1966年に宇宙条約(別名「宇宙憲章」)として、宇宙空間における探査と利用の自由、領有の禁止、宇宙平和利用の原則、国家への責任集中原則などが採択されました。(発令は翌年)

現時点では消去法としてこれが宇宙での憲法に一番近いものです。結構古い時期に発令されたことに意外な印象を持つかもしれません。

ただ、主要国が批准して法的拘束力はあったものの、宇宙デブリについては言及がなく、また細かい法的な抜け穴を利用した各国独自の法制度化も行われています。

例えばアメリカは、2015年に宇宙法を定めて、そのなかでは天体での「資源の所有」を認めています。
宇宙条約ではあくまで「天体の領有」を禁止しているという理屈です。

さて、放置されていた宇宙デブリ問題ですが、実は国際的に真っ先に声を上げたのは日本のJAXA(当時の名称NASDA)でした。

まずは上記国連機関COPUOSにその国際的なルール化を打診したのですが、アメリカをはじめ反対にあってしまいます。

それならと、1990年代から法的拘束力のない団体でガイドラインを作る方針に切り替えました。
その過程で今度はアメリカを上手く説得してIADC(国際機関間スペースデブリ調整委員会)に一緒に働きかけて合意形成に至りました。
初の国際的なスペースデブリ低減ガイドラインの誕生です。(2002年)

内容は、JAXAと米国政府基準をベースにつくりあげられており、うまくアメリカの利害も踏まえて立ち振る舞った形跡がうかがえます。
なんとなく国際標準ルールに日本は常に後手を踏む印象がありますが、この活動は素晴らしいと思います。

しかも、面白いことに、当時反対していたアメリカが、今度は逆に自らが主導してCOPUOSへの働きかけを行うことになります。

遂に2007年、COPUOSによるスペースデブリ低減ガイドラインが正式に発表されました。内容は基本的にIADC提案に沿ったものです。

ただ、若干簡素化された項目もあり、例えばIADCでは衛星寿命を25年に定めていたのに対して、その数値まではCOPUOSでは言及していません。
そして残念ながら、法的拘束力までは設けられておらず、あくまでガイドラインです。

それを受けて、2010年代から宇宙デブリについてワーキンググループが立ち上がり、ついに2019年に「宇宙活動の長期持続可能性ガイドライン」が採択されます。

あくまでガイドラインの域は出てませんが、宇宙デブリ低減や宇宙物体の安全を含む宇宙活動の長期持続可能な利用を目的とした,加盟国が自主的に実施すべきプラクティスとして合意したものです。

現時点では、このプラクティスを踏まえて各国が法制度化を具体化する、という段階です。

まだ法的拘束力はないものの、着実にすすみつつあり、何よりも最後のガイドラインも日本も主導して形にしたものです。

膠着化した改憲問題とはやや対照的ですが、ただし日本内では憲法の元で各種法律も設計されますので、無縁ではありません。

少なくとも当時と今では宇宙進出という大きな違いがあり、新しい価値観・倫理が求められている点だけは忘れずに、感情論ではない建設的な議論を行いたいと思います。

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