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宇宙産業のDTC:Starlink、Omnispace、そして元祖Amazon

DTC(Direct To Consumer)は、消費者向け製品を取り扱う産業では重要なキーワードです。

宇宙産業も徐々にその波が押し寄せているという話です。まずはこちらの記事。

Starlinkとは、衛星経由でインターネットサービスを提供するSpaceXの事業です。その地上側アンテナがついにA3サイズでかつ月額50ドルという価格まで低下した、というはなしです。

これでアンテナの持ち運びが楽になったので、離島や山の中でもネット環境には苦労しない、でしょう。(まだ重さは6.7kgありますが)

そんな大躍進中のStarlinkの成長とその阻害要因を書いた記事が投稿されているので紹介します。

まずは、現在のStarlink契約者数ですが、現在300万で年末には400万ユーザと見積もっています。

今同社が実験中なのが、上記で話題にしたアンテナがいらない、直接スマートフォンと通信できる環境です。

ところがその実験の結果、従来見えなかった衛星間の衝突が生じています。

問題となった衛星は、2001 年 に ICO Global Communications によって静止軌道(高度約1万km)へ打ち上げられた(Starlinkと同じ)通信衛星です。
ICOは打ち上げの後破産し、この衛星は今Omnispaceという企業が買収して引き取っています。

この衛星がStarlinkと同じ電波周波数を提供していたため、Starlinkが今行っている衛星テストによって彼らの通信が阻害されたと主張しています。

今回はまだクレームレベルですが、今OmnispaceはまさにDTCサービスを計画中です。2026年に300基の低軌道衛星で初期サービスを提供する予定です。主要顧客候補としてアフリカのMTNグループ(「19カ国に2億9000万人の顧客」)との業務提携も発表しています。

そしてもう1つの脅威となるのが、Amazonの衛星サービス「カイパー」プロジェクトです。以前の過去投稿を載せておきます。

カイパーもStarlink同様のサービスを計画しています。
FCCへの申請内容によると、同社は2026年7月までに全3232機の衛星のうち少なくとも半分を打ち上げます。(できるかはともかく申請した以上守る必要があります)

現状サービス内容は下記3つを予定しているようで、もし実現すると地上の光ファイバーすら凌駕する可能性を秘めています。
 小型:(ダウンロード速度)最大100Mbps
 標準:最大400Mbps
 大型:1Gbps

既に初期テストは完了し、衛星の量産体制に入ったようで、なにより超巨大な資本力を持つAmazonの事業であるため(同時にドライに事業性を判断することもありますが)期待は出来ますね。

ということで、今はダントツに先頭を走っているStarlinkですが、これから宇宙のDTC競争が激しくなってくることは間違いないでしょう。

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