日本の海底に眠る未来エネルギー:メタンハイドレートとレアメタルの発見
日本はエネルギー自給率が低い国です。1つデータを挙げておきます。
天然資源なので努力で何とかなるものではないのですが、そんな日本に今年は嬉しいトピックが続いています。
まずはこちらです。
燃える氷とも評される「メタンハイドレート」が初めて燃料として使用されました。
この物質は、メタンガスと水が低温・高圧の特定条件下で氷状の固体として形成されます。主に極地(永久凍土地帯)の地層中や大水深エリアの海底面下の比較的浅い層などに存在しています。
この実験は日本のエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が実施したのですが、残念ながら発掘場所は日本でなく米国アラスカ州です。
日本でなければ意味が・・・、と思うかもしれませんが、実は以前から日本周辺海域にも深海の海底面下に広くメタンハイドレートの存在が確認されています。エネルギー庁のサイトでも、次世代エネルギー候補として紹介されています。
上記のJOGMECもメンバー一員の下記団体サイトで、メタンハイドレートについて詳細に解説しているので、興味ある方にはおすすめ。
そしてもう1つのニュースが、「日本近海でレアメタルの発見」です。
場所は、日本最東端の「南鳥島(みなみとりしま)」付近で、2億トン以上のマンガン団塊が密集していることが分かりました。(あとはコバルト・ニッケルも数十万トン規模)
なぜこの場所にあったのかは調べる限りはよくわかりませんでした。ただ、その由来は、海底に沈んだ魚の骨に数百万年以上かけて金属が引っ付いて出来たようです。
どのようにこの資源を発掘するかはまだ未定ですが、上記のJOGMECなどが手を挙げているようです。
こう書くと、南鳥島以外でも同じような期待はできるのですが、1つだけタイムリーで意外な問題点があります。
それは、そこが日本でなくなるリスクです。
ざっくりいえば、気候変動による水位上昇で、島でなくなってしまう可能性があります。
その中で以前から注目されているのが、今度は日本最南端の島「沖ノ鳥(おきのとりしま)」です。
この島が、なんと水没の危機にあります。
まず、この島のおかげで、40万平方km(>日本国土面積)もの排他的経済水域(つまり資源権利)を持つことができ、今回の資源採掘に大きく関わってきます。
この島が、年々地球温暖化の影響で水没しているようで、上記記事のとおり、その護岸活動が行われています。
なお、「島」の定義は国際法上では、
「自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるもの」(下記参考)
で、その大きさの定義はないとのこと。意外におおざっぱな・・・。
護岸活動でも重要なのは、サンゴなど生態系の把握と保護で、環境DNAという手法も導入して近海の生態系を調査し、維持するための施策を講じているようです。
「環境DNA」については以前に紹介した記事を載せておきます。
今回話題にした国内エネルギー資源というテーマは、生態系・気候という日本の自然全てを総合的に取り扱う必要性を感じました。
ぜひ色んな知恵を結集して、エネルギーが自活できるような未来が来るのを待ち望んでいます。
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