鈴野智子

発酵食醸々主宰 藤沢市湘南台のサロンで、 日々の暮らしと麹を使った発酵調味料で作った発…

鈴野智子

発酵食醸々主宰 藤沢市湘南台のサロンで、 日々の暮らしと麹を使った発酵調味料で作った発酵ごはんをお伝えしています。

最近の記事

【鴻雁北(こうがんかえる)】

七十二候第十四候 冬を日本で過ごしていた雁が子育てをするために北のシベリアやアラスカなどに帰って行く頃です。 清少納言の「枕草子」にも 「秋は夕暮れ。ゆうひのさして、山の端いと近うなりたるに、からすの寝所へ行くとて三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへ、あはれなり。まいて、雁の列ねたるが・・・」など、その連なって飛ぶ優美な姿が描かれています。 春に飛来して秋に去る燕と対をなして、暮らしや文学の上からも親しまれて来たのですね。 今日は嵐のような大雨でしたが、ここ数日曇りの日が

    • 【玄鳥至(つばめきたる)】

      七十二候第十三候 二十四節気【清明】 「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草と知れるなり」暦便覧より 清らかで明るい春の日を受けて草木が芽吹く頃です。 春の野に出かけ、青々とした草の色を匂いを感じて、野山で青草を素足で踏んで遊ぶことを 『踏青』と言いました。 素敵な感覚ですね^ ^ 空に目を向けれは燕が渡ってくる頃です。 燕が巣を作った家は栄える。 大きな口を開けて餌を待つ雛とつがいで協力して子育てをする親鳥の様子がやがてみられると思います。 玄鳥の玄は、黒を表します

      • 【雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)】

        七十二候第十二候 一日遅れてしまいましたが、昨日三月 三十日から 【雷乃発声】になります。 夏に多い雷ですが、立春の後初めて鳴る雷を「初雷」啓蟄の頃に鳴る雷を冬籠りの虫を起こす「虫出しの雷」と呼びます。 この頃の旬の野菜「うど」 自生の山うどは3月から4月頃が旬です。 今日はうどで3品作りました。 ・うどの皮のきんぴら ・うどと菜の花の甘酒酢味噌 ・うどの梅酢漬け うどには薬膳的に風・湿・寒という体にダメージを与える3つの邪気を取り除く力があります。 体を温めて体内の余

        • 【桜始開(さくらはじめてひらく)】

          七十二候第十一候 桜前線が北上し、各地で今か今かと待ち焦がれたときがきました。 桜の蕾が膨らみ始め色づき、花が開いてくる割合から、散る様子まで追いかけるように愉しみ、人々の意識が集まり不思議な高揚感が列島を覆います。 「花時(はなどき)」という言葉がありますが、これは桜の花が美しく咲いている時期のことです。 桜が咲く前から散るまでの間、その時々に気を揉み、悦び、さまざまな思い出を刻む私たちには、「桜時間」というものがあって、桜に刻まれた思い出を桜を見るたびに、よみがえらせ

        【鴻雁北(こうがんかえる)】

          【雀始巣(すずめはじめてすくう)】

          今日は二十四節気の【春分】 「日天の中を行て昼夜等分の時なり(暦便覧)」 太陽が真東から登って真西に沈む、昼と夜の時間が等しくなる日。これは秋分も同じです。この両日は、最も極楽浄土に近づける日と考えられて「彼岸」と呼ばれるようになりました。 七十二侯第十侯 雀が巣を作り始める頃 鳥によって巣の形や素材は違いますが 巣の作り方にその鳥の性格や性質が現れます。 メジロは細かい棕櫚の繊維を使って繊細に仕上げ、蜘蛛の糸を使って枝に固定します。 鶯は笹の葉や茅の葉で大雑把に。 そして

          【雀始巣(すずめはじめてすくう)】

          【菜虫化蝶(なむしちょうとなる)】

          七十二侯第九侯 紋白蝶の幼虫が蝶になるころ。 菜虫とは大根やキャベツなどのアブラナ科の野菜を食べる青虫のことです。 年度末の忙しないこの頃、軽やかに音楽を奏でるように舞う蝶のリズムに、心の調べを寄せたくなりました^ ^ 昔の人は、蝶のことを夢虫とも夢見鳥とも呼んでいましたが、それは荘子が蝶になって自由に空を舞う夢を見たという『胡蝶の夢』の故事から生まれました。 蝶になる夢を見たけれど、本当の私は蝶で、いま人間になっている夢をみているだけではないか?という話です。 春の空

          【菜虫化蝶(なむしちょうとなる)】

          【桃始笑(ももはじめてさく)】

          七十二候第八候 桃の花が咲き始める頃。 「咲」ではなく「笑」としているのは 花が咲くことを「花笑み」と言っていたところから。 桃の花は花柄が短いので、下を向かずに枝 に添って、顔を上げて笑っているようです。 「花笑み」昔の人は花が咲くことを花笑みと言ったそうです。花のように笑うことも花笑み。 春の季語に「山笑う」という言葉もあります。花や緑の新芽に彩られ、明るくなった山が微笑んでいるように見えるからだそうです。 この頃の旬の野菜は 新玉ねぎ 玉ねぎの歴史はとても古く、

          【桃始笑(ももはじめてさく)】

          【蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)】

          七十二候第七候 二十四節気【啓蟄】 「陽気地中に動き、ちぢまる虫、穴をひらき出ればなり」暦便覧より 厳しい冬は土中も冷たく、虫も身体をちぢめて寒さに耐えていたんでしょうね。ここ数日暖かい日が続きます。 重いコートを軽やかなスプリングコートに変え、まちも軽やかになってきました。 土の中にもあたたかい気配が届いて、虫たちが閉じていた戸を開いて出てくる頃。 そっと開いた戸からひょっこりと顔を出して、差し込む光が目に眩しそうです。 春韮でたっぷりのニラだれをつくりました 「醤」

          【蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)】

          【草木萌動(そうぼくもえいずる)】

          今日から七十二候第六候になります。 新しい命が春の訪れを感じて土の中や枝々から一斉に芽生え始めるころ ずっと眠りについていた山々が目を覚まして、まるで世界が動き出していくかのようです。 『ひなまつり』 日本では旧暦の三月に、人形(ひとがた)に穢れを移して水に流す風習があります。それが「流し雛」の原型です。 中国の「上巳の節句(じょうしのせっく)」は曲水に杯を浮かべ、上流から流れてくる杯が通り過ぎるまでに詩を作って杯を干します。 これが日本に伝わって流し雛や曲水の宴となりまし

          【草木萌動(そうぼくもえいずる)】

          霞始靆(かすみはじめてたなびく)

          七十二候第五候 今日から七十二候の「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」になります。 冬の張りつめた空気がゆるみ始め、大気の中に水分が増え、 それが水蒸気になり,霧や靄の為に山野にたちこめて 景色がぼやけて見えることがあります。 朝霞、夕霞、薄霞、八重霞、遠霞、 空にたなびく「霞」をその時間や状態によって 美しい言葉であらわしてきました。 『靄』(もや) 今の気象用語では「霞」は使いませんが、「靄」は使います。 物を見分けることができる1km以下の時は霧、1km以上10km

          霞始靆(かすみはじめてたなびく)

          【土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)】

          七十二候第四候 二十四節気 『雨水(うすい)』 暦便覧には、「陽気地上に発し、雪水とけて雨水となればなり」 地上にもいよいよ陽気が発生し、雪や水はとけて、雨や水になります。 土が湿り気を含みだす時期。「脉」は「脈」の俗字です。 土が脈打って大地がゆるみ、潤い始める頃だということです。 まだまだ気温は低く、乾燥していてお肌がうるおうのには まだまだ先ですが、一歩づつ春の、土の息吹が感じられるようになってきました♪ 「雪間草」 雪がとけて消えたところから萌え出た草。特定の草花の

          【土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)】

          魚上氷(うおこおりをいずる)

          【魚上氷(うおこおりをいずる)】 七十二候第三候 氷の下で冬の間じっとしていた魚たちが、春を感じて溶け始めた氷の表面に躍り上がる頃。 暖かさと寒さの揺り戻しが激しくて、 ふく風も冷たくて、春はまだまだ遠いかなと感じますが、 陽の光はキラキラしていて春そのものです。 この時期をあらわす言葉に『光の春』があります。寒さの厳しいロシアで生まれた言葉。 光をたくさん取り込めば部屋の中はいち早く春を感じられますね。 もう少し暖かくなると「気温の春」 雪解けの音やせせらぎ、鳥の囀り

          魚上氷(うおこおりをいずる)

          「黄鶯睍睆(うぐいすなく)」七十二候第二候

          今日から立春の次候の「黄鶯睍睆(うぐいすなく)」になります。 春になって初めて聞く鶯の囀りを「初音」といいます。 春を告げる声として、昔から心待ちにされていたのですね。 鶯は冬の寒い時期は「チャッチャッ」と地鳴きをするだけ。 笹薮の中から聞こえてくるので、「笹鳴き」とも呼ばれるそうです。 その笹鳴きが、春になると囀りに変わるのです。 飛びながら、「ケキョケキョ」と鳴く声は、「谷渡り」とも呼ばれてきました。 鶯の「初音」は暖かい地方から順々に、北上していきます。 「春疾風(は

          「黄鶯睍睆(うぐいすなく)」七十二候第二候

          【東風解凍(はるかぜこおりをとく)】

          今日は二十四節気の「立春」 七十二侯は立春の初侯「東風解凍(はるかぜこおりとく)」になります。 東風が氷を溶かし始める頃 春は東からやってくると思われていたのですね。 旧暦の1月のことを 「早緑月(さみどりつき)」と呼びます。 木や草たちに緑が蘇りつつある月 まだまだ厳しい寒さの中に少しでも春の兆しを探している頃。 東風を待って咲く梅を「風待草」とも呼びます。 窓からのぞくおひさまの光は暖かいけれど、外に出ればまだまだ風も冷たくて寒さも厳しいけれど、 旧暦では今日が新年の

          【東風解凍(はるかぜこおりをとく)】