酒向浩二「アジアビジネス研究所長の教科書」(元メガBKシンクタンク主席エコノミスト,Ph.D.)

メガバンクシンクタンクを経て、2022年春にアカデミック界に転じたのを機にアジアビジネ…

酒向浩二「アジアビジネス研究所長の教科書」(元メガBKシンクタンク主席エコノミスト,Ph.D.)

メガバンクシンクタンクを経て、2022年春にアカデミック界に転じたのを機にアジアビジネス研究所を立ち上げました。 アジアの政治経済動向とそれを踏まえた企業対応を長年研究してきましたが、引き続き国際情勢をフォローします。 ビジネス実務とアカデミックの結節役を担えましたら幸いです。

最近の記事

等身大のインドを見極める

インドに関しては、ポジティブな報道が非常に多くなっている昨今です。 それでも、総選挙で、与党が議席を減らしたことで、ヒヤッとされた方も少なくないでしょう。実際、人気のインデックス型のインド株投信をみると、選挙直後に、一気に下がりました。 https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/06/2f12cbedd985865b.html 選挙直後に急落した株式市場が、回復に転じたのは、与党が議席を減らしたことが、モディ1強への改革圧力になるという見方

    • 平成世代があえて、令和世代へのメッセージを伝えるならば

      次世代へのメッセージ、なんて偉そうなことを言える立場ではありませんが、自身が平成世代であることは確かであり、一応大学で教壇に立っているので、令和世代にメッセージらしきものを伝えることが、意図する場面も、意図せざる場面も、ままあります。 そこで、経済学の視点を少しだけ交えて、少し明るいメッセ―ジを考えてみたいと思います。 1.都市でみれば、日本は世界屈指 日本は駄目だ・・・日本はやばい・・・そういう論調が多いのは事実ですが、都市レベルでみるとそんなことはないという事実です

      • 円安を止める策はあるのか

        1.日銀の利上げはどうか 円安を止めるには、短期的には、日銀が利上げを地道に重ねる以外にはないでしょう。しかし、実施できても、あくまで小幅であると見込まれており、米国のインフレが落ちついて、米国の利下げが想定以上に進まないと円安を止めるまでには至らないとの見方が一般的です。 2.もしトラでは是正されないのか それではもしトラはどうか、トランプ氏は、ドル高には、否定的な発言が多く、円安に対しても是正を求めるべく声を挙げそうです。 ところが、逆に、円安が加速するという見方が出

        • ○○関連銘柄、中国の次はインドなのか

          中国関連銘柄、コマツ、日産自動車、資生堂などは、かつてはそのように言われてきたように思えますし、現在もそれが当てはまる企業もあるでしょう。 中国関連銘柄を具現化する指数もありましたが、実際には、日本経済新聞社は、中国関連株50指数の発表をもうやめてしまっています。 一時期の中国は飛び鳥を落とす勢いで、中国で稼いだ日本企業は、注目を集めてきました。ブームは去ったということなのでしょう。現在は、中国関連銘柄≒中国の景気減速の影響の大きい企業という負のイメージがありますし、実際

          最後の1強エヌビディア株が調整されるとどうなるのか

          新NISAが始まりオルカンブームは定着した感があります。 また、金融リテラシーについて、確実に底上げは進んでおり、これまで全く国際経済や新興国経済とは縁のなかった方も、新NISAという投資を経由して、縁ができてきている方のすそ野は広がっています。 さて、そうは言っても、オルカンの6割は米国株、さらに、米国株はマグニフィセント7がけん引役と言われてきましたが、テスラは調整に入りました。 実はその他の5社(Google、Apple、Meta、Amazon、Microsoft)

          購買力平価でみれば円高進展のはずだが、物価高での為替調整が進みそうな気配

          この2カ月ほど、ゼミでは国際経済を理解する一助として為替についてのお考察を重ねてきました。紙面も、報道も、マーケットも、為替に絡んだ話ばかりですので。 為替では、業界でも最も有名な佐々木融氏のお話もありがたく拝聴いたしました。非常にロジカルかつ明快な素晴らしい解説でした。 購買力平価でみると、1ドル=100円といったところでしょう。ビッグマック指数なら、1ドル=80円が適正。今の160円を一回割って、介入で若干もどすも、だらだら160円にまた迫っている円安は、異常というこ

          購買力平価でみれば円高進展のはずだが、物価高での為替調整が進みそうな気配

          もしトラのアジアのリスクとチャンスを考える(2)?

          徐々に、トランプ2.0の警戒論が高まってきています。 真っ先のそのニーズに応える役回りがくるのは、民間シンクタンクのエコノミストにコンサルタントであると相場は決まっています。 一足早く、トラ番エコノミストに名乗りを上げたのはみずほRTの松浦さんです。網羅的に、的確に整理されています。 https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/report/2024/pdf/report240227.pdf 個人的には、「国際秩序の漂流」と「脱炭素化の

          もしトラのアジアのリスクとチャンスを考える(1)?

          トランプ大統領、体調不安説が出ていますが大丈夫でしょうか? 11月になるまで全くわかりませんが、復活の可能性は現時点では五分五分であり、もう2年持ちこたえている米国の景気がさらに1年持ちこたえれば、現職には有利であり、厳しくなると、もしトラに有利になるように思えます。 率直に言えば、リスクしかない・・・・ようやくバイデン政権の4年間で取り戻した米国の信任は、またしても地に落ちる・・・、アジア太平洋経済協力枠組(IPEF)は、形骸化し、パル協定再離脱で、アジアにおける新規産業

          2040年ゼロエミッションがもたらす悲喜こもごも

          日本では、まだ中国製EVが走っているのは目にしていない・・・と思った矢先、BYD車を公道で初めて目にしてしまいました。東京モビリティショーでも耳目を集めて、その際んは私も乗り込んでみたのですが、長澤まさみさんのCM効果なのかどうかは?ですが、来るべくものが来たのだな・・・そう思ってしまいました。 この状況が一足飛びに進んでいるのが、タイやインドネシア。中国製EVのシェアは、タイでは1割に迫る勢いです。 ただし、中国国内では、BYDの販売の半分程度はPHVであり、中国以外で

          ドル高についていけなくなってきたアジア諸国・・・どうなる?

          円安フォーカスが続きますが、周辺国を見回すと、短期金利は、米国の5%近傍よりも低い国が目立ちます。つまり、放置すれば、通貨安になる国が増えてきています。 利上げに踏み切ったインドネシアは、例外的と言えるでしょう。 その他の多くの国・地域は、利上げせずに通貨が適正水準で耐えられるか正念場といえます。 円安に続き、アジア通貨全面安、人民元にもプレッシャー、通貨戦争という論調も、大げさではなく、否定できない状況です。 アジアを俯瞰的にみると、円独歩安という構図は続くも、周辺国

          円安は続くのか?中国減速でも、アジア経済は底堅いのか?

          GW明けましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。 おかげさまで、学会の査読論文は掲載許可となり、ほっとしております。また、複数学会に入っておりますので、査読者としての責務も全うし、こちらもほっとしております。 他方、入門用の「アジアビジネス研究所長の教科書」の書籍化は、円安で紙代が上がり、インフレで人件費も上がる中で、諸条件が合致せずに難航しておりまして、ここ3年度なんとか掲載許可されてきた査読論文をベースにした、プロビジネス用で、経済安保×サプライチェーンを別の企画を

          書籍化作業のためにしばらくの間更新度低めになりますが、ご容赦ください。

          桜満開に季節、素晴らしいですね! ようやく、新学期が始まります。 おかげさまで、なんとか査読論文が掲載可となりましたので、少しだけ安堵した気分で、新学期を迎えらえます。 続いて、本NOTEで足掛け2年間書き溜めてきた内容を、テキストとして出版する計画を進めています。機関の出版助成が得られるかどうかはわかりませんので、受けらない場合は、kindleで自主出版のつもりです(表紙はあくまでイメージです)。 当面その作業に時間がかかるため、本NOTEの本格再開は、しばらくの間お待

          書籍化作業のためにしばらくの間更新度低めになりますが、ご容赦ください。

          新NISAは、国際・アジア経済を学ぶ機会になりそう

          さて、ようやく後期授業が着地しました。 都内は昨日大雪でしたが、予めリモートに切り替えられた方はよかったとして、かなり物流網が遮断されましたので、対面必須の方や、急増中の外国人観光客、はたまた受験生のみなさんなど、本当にお疲れ様でした。今月中は、しばしお気をつけください。 都内での雪の中での昨晩の雷は自分には記憶がなく、よく北陸は、冬の雷が多いと聞いていましたが、なるほど、これなのか・・・という感慨と、なんだかんだで、子供たちが作った雪だるまは各所にあって、やっぱり、雪も必

          やっぱり、あの人なのか

          今週、参加した識者会合の中で、話題となったのは、やはりあの人には勢いがあり、11月に勝ってしまうのではないか・・・ということでした。米国通も、あの人が有利では・・・という感じでした。 私の元上司のジェトロ元理事で、関西学院大学の前教授をされていた鷲尾先生は、より深い洞察をされています。 実際、当選してしまったら、足元絶好調の日本株は暴落するのか・・・ それとも、FRBに強い圧力をかけて、利下げを急ぎ、米国株は高騰、むしろ、日本株絶好調に追い風か・・・ 他方で、ゴルフで懐

          台湾選挙について思う事

          概ね予想通りと言えるのでしょう。 民進党の頼清徳氏が激戦だった総統選を制しました。 これまで8年で政権交代となっていましたが、今回は、野党が候補の一本化すると一旦合意するも結局合意できず、国民党が民衆党を取り込めなかったことが、敗因でしょう。実際に台湾の大手紙、聯合報のアンケートでは80%超が、野党が統一候補に失敗したことを挙げています。 いずれにろ、今後4年間、民進党の総統の時代が続きます。 頼清徳氏は、中国が、蔡英文氏以上に、独立色が強いと警戒しているとされており、習

          アメリカ株はどうなる?

          新年が始まりましたが、被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。地震は日本に住む限り避けられず、二次災害という見方もできる羽田の事故も本当に心苦しく、とにかく三次災害を回避すべく、自身の持ち場を認識してやるべきことをやって、何かしらの支援をしていければと存じます。 そして、元旦に、資産運用ではご高名な山崎元さんが、亡くなられました。新NISAが始まったばかりでまだまだご活躍されると思っていましたが、残念です。合掌。 その山崎さんの遺言となったのが、オルカン一択・・・