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今週、参加した識者会合の中で、話題となったのは、やはりあの人には勢いがあり、11月に勝ってしまうのではないか・・・ということでした。米国通も、あの人が有利では・・・という感じでした。

私の元上司のジェトロ元理事で、関西学院大学の前教授をされていた鷲尾先生は、より深い洞察をされています。


実際、当選してしまったら、足元絶好調の日本株は暴落するのか・・・
それとも、FRBに強い圧力をかけて、利下げを急ぎ、米国株は高騰、むしろ、日本株絶好調に追い風か・・・

他方で、ゴルフで懐に入り込んだ日本の長期政権を担った元首相は、もういらっしゃらず、英語が堪能な閣僚はいらっしゃいますが、誰が、懐に入るのか・・・ばたばたが続くのでしょう。

さらに懸念されるのは、
せっかく、この4年間で米国が回復してきた同盟国の信任が、大きく毀損してしまう可能性が高いことでしょう。

アジア諸国は、当たり前ですが、アンチMAGAですので。

実際は、11月までわかりませんが、
あの人の復活は、リスクシナリオではなくなり、十分あり得るシナリオになってきたことは確かでしょう。
アジア諸国は、米中のバランスを大変重視しており、いざという場合は、中国の存在感が高まることになるのでしょう。

それでは、中国は、パワーを発揮できるのか?
中国経済、そのトリガーとなっている不動産の不調は、政策不況という面が強いも、全般的に絶不調です。
海外マネーが、中国を回避していることが、地味に効いているように思えます。
マネーの中国離れが急速に進んでいることは、香港株をみれば明らかでしょう。

マネーは非常に憶病です。
もはや、中国にはほぼ入ってこなくなっています。

その分、米国はもとより、日本やインドに向かっていることは明らかです。


この流れ自体は、あの人の台頭で変わるとは思えません。

中国としては、米国および欧州との距離感は遠く、マネーも入らず、どっちに転んでもアジア、とりわけASEAN重視の姿勢になるように思えます。中国はASEANに対しては、胸襟を開き、高速鉄道などのハードの一帯一路は続くでしょうが、デジタル、EVなど、新分野での、存在感を高めつつ、ASEANに対しては輸入を増やす度量を示す展開が想定されます。

あの人の再登板があってもなくても、中国は、経済不振の打開先をASEANに求める可能性は高く、日本企業は留意が必要になるでしょう。

また、会合ではロシア情勢も少なからず話題になりました。
現在、ロシアの庶民は、国際制裁の下で、海外に資金を持ち出すことができません。

しかし、第三国に行けば、ある程度、その情勢は緩和されるようです。その立ち位置で有名なのは、中東のドバイでしょう。もう一つ、注目されているのが、ASEANのタイです。

観光大国でもあるタイは、ロシアに対して、戦略的に寛容な姿勢をみせています。


背景には、タクシン氏の意向が働いているとみるべきでしょうが、セター首相は、なかなかにしたたかです。


あの人の再登板も視野に、
分断の中で、白黒つけることを迫られそうな日本政府や日本企業、
他方で、白黒つけない・・・・ことをここぞとばかりに訴求するASEAN、
そのようなあいまいさや、リスクを嫌う臆病なマネー、

それぞれの分野や立場毎に一旦分けて考えながら、それを二重、三重に重ねることで、
重層的に理解を深めて参りたいと存じます。

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