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:妄想歳時記:御堂筋のギンナン、何(なん)なん。

もうすぐイチョウ並木も黄金色に色づき、
いよいよ本格的な秋が始まる。
今まだ青いイチョウに成るのは、ギンナン。
食べると旨いが、かなん匂いは、何なん。

久しぶりに御堂筋、歩くのは、よい提案。
真っすぐ下って左折する、行き先は東南。
やっと終った仕事を納め、乗り越えた苦難。
信号待ち、一服しようとした時、眼前の取締官。
すっかり忘れた路上喫煙禁止、あかん我慢。
日暮れ前、行き交う人を避けながら歩く困難。
それでも後ろに自転車、ギリギリ当たり、去る悪漢。
靴は脱げ、かかとはヒリヒリああ災難。

まだ明るい空、負い目と共にビールの店に、もう避難。
何でもありそな居酒屋で、小銭と相談、まあ無難。
注文したのは秋を感じる、ほろ苦いギンナン。
で、ギンナン焼いたん、なんぼなん?
え、そんなに高いのん、ほんまなん?
一難去ってまた一難。ただただ苦い今日は、何なん。

月刊誌「大阪人」/2009年10月号 掲載
おおさか絵暦
イラストレーション&文⚫︎中田弘司

発行:大阪都市工学情報センター

2009年の事、その頃は仕事の納品に出向く事も多かった。禁煙に失敗していたし、外で一人で呑む事も多かった。今はメールでデータ納品が多くなり、禁煙にも成功し、コロナをはさんで滅多に外では呑まない。

2023年現在、最近の読売新聞オンラインの記事では、「御堂筋のイチョウ並木では、9月頃にギンナンが色づき始め、11月頃には葉っぱが黄金色に染まる。御堂筋のシンボルとなり、2000年には市指定文化財になった。
 現在、雌株は全体の約4分の1の約250本。植栽を始めた時には雌株は約半数だったとされ、年を追うごとに減っている。」とのことだ。

ギンナンがなるのは雌株だけで、市緑化課の担当者は「明文化されたルールがあるわけではないが、植え替えの際はなるべく雄株にしている」と話しているらしい。何年か後には、あの独特のにおいや、潰れた実を踏むことも無くなるのだろう。そんな風にいろんな物事が、きれいになると「何なん?」と文句を言って、呑む理由も無くなってしまう。



御堂筋銀杏並木:


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