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短編 涙

「外でも2人でゆっくり出来るところないかな。」
お互い実家暮らしの俺達は、基本は会う時は家と外の交互だった。
俺の家か、外でぶらぶらするか。
しかしたまに2人のくっつきたいが外で噛み合うとどうしたものかと2人で悩む時がある。

ホテル行ってみる?と軽く聞いたら、特別な日じゃないのに、そういうことにお金使うのはやめとこうと、彼女なりいい答えが返ってくる。

そしてふと思いついたのが、ネットカフェだった。
お互い漫画は好きだし、静かだし、何より彼女が好きなひっついて昼寝も出来るしいいかなって思った。

彼女はよく眠る子だった。四六時中眠いといい、昔から起きてる時間が少ないと言っていた。

なので2人で遊ぶ時は彼女がお昼寝できる時間を設けることが多く、それを俺は苦だとは思わなかった。強いて言うなら、ヨダレを大量に垂らして俺の服やズボンが濡れてしまうことくらいだろうか。
でも寝顔は狂わせるくらい可愛くて笑顔で許してしまう。

漫画喫茶についた。彼女と個室に入って2人くっつきながら本を読んだ。
すると彼女は突然抱き締めてきた。
眠たくなったんだろなと思っていたら彼女は泣いていた。

ここ数日、職場の環境が変わり、プレッシャーで押し潰されそうになっていた。そしてふとその我慢が決壊し、涙が漏れてしまった。

そして私は静かに頭を撫でた。

震えながら泣く彼女の顔を見て、


俺は美しいと思ってしまった。

大粒に流れる涙が真珠のように見えた、そして潤いを増した、全てを吸い込むその瞳が、私はこの子を愛してると再確認させた。
彼女は落ち着いて、ひっついて眠りだした。

その日からか、彼女は私の前で泣くようになった。
昔はこんなに人前で泣くような人間じゃなかった。弱くなったと少し残念そうだった。
でも私はずっと甘えることもできず、1人で泣き続けた、この小さな英雄を強く抱き締め賞賛した。

君はよく頑張って戦ってきたと。

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