NPアカデミア講演会レポ D.アトキンソン氏✖️佐々木編集長
(株)マザーハウス✖️NewsPicks主催
「これからの日本と日本人」
2017年11月24日(金)
登壇者
・デービッド・アトキンソン氏
(小西美術工藝社 社長)
・佐々木紀彦氏
(NewsPicks編集長)
・山崎大佑氏
((株)マザーハウス代表取締役副社長)
日本の生産性は世界的に見て低いと言われているが、私たちはその事実をどう直視し、何をすべきなのか?これからの日本を考えるセッション。(以上、案内文より抜粋)
以下、私が印象的だった部分のみ抜粋,
※個人的な解釈もやや入っています。
■日本経済の停滞と生産性の因果関係
・経済は人口✖️生産性でできている
[人口について]
・世界的に見て先進国は人口増加率は
ピークアウト。
ロシアは既に減少。中国も勢いは低下。
・人口増が見込めない場合において、
解決策としてオプションは3つ。
1.減った分出生率を上げる
→単純計算で一世帯当たり5〜10人以上の
出産ペースとなるため、非現実的。
2.移民受入
→働き口がコンビニバイトなど、
限定的であり、有能な人材の大量流入は
見込めない。低賃金の労働力を大量に
受入、年金や医療制度を無理矢理維持
させるのは、実質的な奴隷制度に近く、
道徳的観点からも避けるべき
3.観光事業の活性化
→一時的に日本を訪れ、
消費が行われるマーケットを増やす。
世界のGDPの内、観光事業が締める割合は
約10%。日本は最近増えたが、それでも
まだ5%弱。
[生産性について]
・日本は世界第3位の消費国でありながら、
一人当たり生産性は、世界28位。
・イタリア、スペインより低く、
ギリシアとほぼ同水準。
・教育水準が高く失業率も低いにも関わらず
生産性がここまで低いのは、
経営者、経営戦略の問題に他ならない。
■そもそも生産性とは?
・付加価値の総額を国民で割ったもの。
・窓際族をリストラしても、
それは企業のコストカットに過ぎず、
リストラされた人間が新たな付加価値を
生み出さねば生産性が上がったとは
言えない。
・不良品を1日100個から
1日1,000個生産出来たとしても、
生産性が向上したとは言えない
→経営の効率化は、
付加価値向上に繋がらねば単なる数値遊び
[付加価値の考え方について]
・日本は、付加価値の付け方が下手
・本来5万円で売れる物を3万円で売ったら
それは生産性の低下。
・外食の値段も、諸外国と比較して
日本は異常に安い。イタリアなどは、
ランチでも2,000円位かかる。
・アパレルにおいても、
日本発の世界的な高級ブランドが
生まれていない
・労働力=給与の問題に帰結するのでは。
労働に対する正統な報酬をもらう、
というブランディングがしにくい環境。
・これまで日本は、人口増に合わせて、
「同じものを大量に作る」という点に
価値を見出してきた為、クリエィティブ
なモノを評価することへの理解が低い。
■日本に求められる価値観の転換
・日本の経営層に共通する問題は、
根拠を持たない会話が蔓延していること
[データの利活用]
・ビッグデータが経営に生かされていない
・物事の分解を繰り返して、
どこにその要因があるのかを明らかに
する、といったアプローチが全く無い
・「日本人はお金儲けを美徳としない」、
「農耕民族としての国民性が〜」、
「日本観光の魅力は、
日本人の手先の器用さ」
→全く根拠がない。
この類の会話が経営層の間で平然と
なされていることが大問題
[需要の創出]
・人口増が止まった過去25年の間、
企業は労働分配率を上げることを重視し
利益を増やしてきた
→国の設備投資が減り、個人消費も減り、
結果、需要はさらに減った。
本来、国は最低賃金を厳格化し、
需要を増やして行くべきだった
■今後の日本とリーダーに求められること
[現状]
・既得権益の壁が分厚い
・世代間の価値観ギャップが大きく、
パラダイムシフトが起きづらい
[若いうちにリーダーの経験を]
・上の世代が詰まっていて、
リーダーを経験する機会が限られる。
→40歳ではじめて課長になる、という話も
ザラにある。
・産休に入る前にマネージャー経験を
積むことで、復帰後圧倒的に活躍できる
・少なくとも30代の内に小さくても、
なんらかのリーダー経験は必要
[女性の活躍]
・日本のGDPの71%は男性によるもの。
・人口減少の世界においては、
間違いなく女性の活躍が求められる。
・女性の雇用や給与に対する評価などが
大きく変わっていかねば経済が
成り立たない。
[付加価値の多様性]
・これまでの日本は低価格マス市場。
・高品質を安く提供は、生産性の低下
・例えばホテルならAPAホテルは山程あるが
日本の五つ星ホテルの数はベトナム並み。
バリ島にある五つ星ホテルの数より
少ない
→商品に多様性を持たせることが必要
[これからのリーダー像とは]
・お金をトコトン追求する人
・いかに「これは価値がある」と主張しても
お金にならねば価値は無い。
・お金が全てではない、と言うならば
これから増える高齢者をら支えられない
→3,700万人の高齢者を支えるためには、
お金が必要
[これからの企業の在り方]
・稼げること
・稼ぎに応じて給料をきちんと払えること
・(特に若い)世代が働きたいと思う会社
→人が辞めないようにきちんと教育に
コストをかけること
・調査分析に基づいた経営判断を成すこと
■参加者へのエール
[佐々木氏]
・大企業が必ずしも悪いわけではないが
魅力がなくなってきているのも事実。
・スタートアップで働く濃密さは、
大企業とは全く異なる。
是非若い内にヒリヒリするような
環境に身を置くチャレンジしてほしい。
→仮にうまくいかなくても
次にその経験が生きる
[アトキンソン氏]
・低価格低満足から、付加価値を高める時代
・既存企業は、固定観念が強すぎて、
自称「すごい」おじいさんが権力を
握っている限り、変えられない。
→若い世代に教えを請うことができない
・若い人たちがそういった企業に行かず、
全員が、付加価値の高い企業で
働くようになれば、生産性の低い働き方や
企業は必ず淘汰されて行く
・これからは、有能な人材の奪い合い。
だから、労働者としては
これからの日本はとても明るい。
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