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詩 『糸/音』

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音にすると 少し離れる。 たけど繋がっている。
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2020年1月の記事一覧

触れなば落ちむ

         こい瀬 伊音

その肩紐はずしてみようか
もう片方も

そう言われるのを待っている被写体

レンズの奥には
どの目があるの
だれの
何個の

まだ
なにもないのに

2020.01.22

だれかにみつけてほしい
いっそほどかれたい

そんな風におもうことも自然だったと受け入れながら

自分で「今だ!」と決めていける
こわさ、自由さ。

ぜんぶてのひらにあるんだなぁ。
ほんとうの

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プログラム、プログラミング

プログラム、プログラミング

ふりかえりふりかえり駅に向かって
ふりかえりふりかえり電車に乗った

すぐに帰ってこれるよ
それは嘘だと知っている

行き先のわからない世界へ向かうんです
未来といいます
ここじゃないところへいくんです
春になったから

2020.01.13

むかし見ていた「いきもの地球紀行」で。
まだ満足に狩りもできない中ぐらいのからだのまま
季節にせかされて縄張りを去る動物たち。
ずっと一緒にいればいいのに

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その肩にのせて

その肩にのせて

100回噛んでも怒らないナウシカがほしくて
プチプチをひねる

「だいじょうぶ」 
「こわくない」

2020.01.12

臆病風に吹かれて
ほんとは何度だって試したくなる。

だから、
あきれた顔を思い浮かべて
じゅもんをとなえます。

だいじょうぶ、きっとだいじょうぶ。

糸電話をしっていますか?

糸電話をしっていますか?

ぴんとはった糸を 声がつたっていく
ぴんとはった意図が 音になっていく

細くて頼りなくて震えている
つたえるために

この糸のむこうに息をひそめて
耳をそばだててくれるひと
片割れをもってくれるひと

糸が張っているのはいま
いま

もしもし
聞こえますか

2020.01.11
細くて尖っている想い、というのは頼りなくて。
大きくてあたたかいところへ誘いたいです。
いま、外へ出るにあたって

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この音に恋して

この音に恋して

             こい瀬 伊音

わたしはもう自分を
生まれたての雛だとは言えなくなりそうです

たまごだと
まだまだ、と
そう言い張るには
時代がずいぶんと進んでしまっている

親鳥の羽のなかはあたたかくて安全
ここを、どうして出ていきたいのでしょう

こわい
足がすくみます
だれかたすけて
だれか

羽はもうすっかり生えかわり
そらを求めています

いと
それはだれかをつなぐ糸
奏でる

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