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なぜだか愛を、くれるひと

「世も捨てたもんじゃないなと思う」
それは言い過ぎだろ~なんて、全然思わない。
ただただ、うれしい。

ふられた男の子をおもいやることができるやさしい女の子の恋人である、彼はそう書いた。
ぼくは彼と一度しか会ったことがないし、それは会ったとはいえないくらい短い時間だったし、正直顔もよく思いだせない。

これはいつか会ったときに言いたいことなんだけど、
ぼくは彼の恋人や、彼のことを考えると、
やさしいひとはやさしいひとに出会えるんだなと思い、運命をまた信じてみたくなる。

このひとは、ひさしぶりの……

「ほんとうの心は ほんとうの心へと 届く」
小沢健二の音楽が聴きたくなる夜だった。


ぼくの人生で、たまに現れる
「なぜだかぼくに愛をくれるひと」。
研ナオコ、採用してくれたひと、ロフトのお姉さん、アイドルの先輩や恩師……、あげていったらキリがない。

誰かから好かれるということは、難しい。
特に女の子が相手だったらさ。好きだから、好きになってもらいたいからがんばっても、たいていの女の子はぼくのがんばりをほしくないし、悲しいけど、逆手に取られることも多かった。

ぼくがなにをしたわけでもないのに、なぜだか愛を、くれるひとたち。
いいことがなかった日の帰り道、空にはまんまるの月が輝いていて、安心したときのような、ぼくをそんな気持ちにさせてくれる。
そしてそんなひとたちをみていると、
たとえいつもどおりのお話だったとしても、うまくいかなかったとしても、やっぱり、
ぼくも誰かに、なぜだかの愛を、渡したいと思うよ。


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