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「 クールに死にたい 」 実現するために、起業という道を選んだ。

2022年5月2日、at FORESTという会社を立ち上げた小池友紀です。
40歳を目前に、なぜ新しい会社を始めたのか。コピーライターという仕事をしながら、なぜエンディングの世界に挑戦するのか。数年後、道に迷いそうになった時、原点に立ち返れるように書き留めておこうと思います。


エンディングの選択肢、変わらない問題。

30代に入ると、身近な人の死を何度か経験し、私はその度に何かモヤモヤとした感情になっていました。お葬式、火葬、埋葬、お墓。お決まりの流れに“乗せられる感”に、違和感を感じていました。
小さな頃から「自分で考えなさい」と育てられた私は、“自分で選択すること”が当たり前であり「就活スーツが着たくない」という理由から一度アパレル業界に入り、その後ずっと憧れていた広告クリエイティブ業界に。25歳でフリーランスという道を選びました。一度結婚しましたが、離婚。そして今は事実婚で、子どもを持たない選択をしています。

昭和の私

昭和から平成、令和となり「生き方の選択肢」は確実に増え、誰もが生きやすい世の中に向かっていると思います。(まだまだ法的整備含め、補えていないところはたくさんありますが) しかし、人生のエンディングとなると、どうでしょうか。その人らしい、幕の閉じ方や眠り方が選べるようになっているでしょうか。昭和から変わっているでしょうか。

もっと自由な、エンディングの形があってもいい。

数年前の話。とても尊敬していた広告業界の先輩が亡くなり、お葬式ではなくパーティが開催されるとお知らせが届きました。そこには「お香典もお花も辞退。喪服ではなく生前のAと会っていた時と同じ、いつもと変わらない服装でお越しください」と書かれていました。 なんか、泣けた。 
いつも明るくてパワフルなAさんのスタイルを尊重した、こんなクールなエンディングがあるんだと心が震えた。と同時に、こんな自由なエンディングは、まだまだ“珍しいケース”なんだろうなぁと思っていました。

サングラスがAさんのトレードマークでした

「木が枯れるように、死ねたらいいのに」

Aさんは今、どんなお墓で眠っているのだろう。
Aさんの死から数年後、私は両親の改葬(お墓の引っ越し)で、もうひとつのエンディング、お墓と向き合っていました。父は長男で本家のお墓を継いでいましたが、家から遠く管理できないという理由で改葬することとなり、父はこの改葬先の寺院で眠ることを希望しています。一方母は、お墓の話になると明言を避けていて、ある時ポロっとこんなことをつぶやきました。「人も木が枯れるように、もっと自然に死ねたらいいのに」
昔からお庭づくりが大好きで、畑を借りて野菜をつくったり、ハイキングや山菜採りに行ったり。自然をこよなく愛する母の言葉に、ハッとしました。

六甲山での1枚

土に還る、循環葬。

私も、死んだら「自然に還りたい」。家制度や宗教、ジェンダー、何にもとらわれず、クールに死にたい。シンプルにそう思いました。しかし、そんなお墓はあるのだろうか。最近よく耳にする、樹木葬の現場に足を運んでも、なんだかしっくりこない。コロナ禍生活ですっかり自然派になってしまった私にとって、画一的な樹木葬は今までのお墓と同じ。どこにも収まらず、ただ土に還る、自然の一部となって命を循環させるようなスタイルのお墓はないのだろうか、、、。
行き着いた先は「散骨」という選択肢でした。しかし、海洋散骨はメジャーになりつつありますが、山への散骨はなぜか広まっていません。(後々、様々なハードルがあることに気づくのですが) 山登りやキャンプ好きの人は、世の中にたくさんいるはずなのに。 ないのならば、作るしかない。

須磨アルプス登山での1枚

「敬遠される墓」から、「訪れたくなる森」に。

私はコピーライターという仕事で、今までたくさんの企業の課題やお悩みと向き合ってきました。表層的な問題ではなく、根幹となる部分に切り込み、新たな価値を発見することやイノベーションを実現することが広告クリエイターの役目です。そんなこれまでの経験を活かし、事業としてスタートするからには、ただ山に散骨できるサービスではなく、今までのお墓をアップデートするようなサービスにしていきたい。
継承から循環へ。過去志向から未来志向へ。お墓から森へ。

自然に還ることで未来にも貢献できる、次世代型のお墓を作ろうと思います。ネーミングはシンプルに「RETURN TO NATURE(自然回帰)」。
死者と遺族だけが訪れるお墓から、誰もが訪れたくなる森へ。私が人生の幕を降ろす頃、各地に豊かな森「RETURN TO NATURE」があることを願って。 サービスローンチまでの道のり、またnoteに綴ります。














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