ACESが認識する10年の不可逆的トレンド

0. はじめに

皆さんこんにちは、ACESの田村です。

2020年はCOVID-19という新たなる脅威が発生し、ビジネスにおいても今までのルールが大きく変わった年でした。「飲食や小売、旅館・ホテル業界は生き残れるのか?」、「人材、広告業界は変化するパワーバランスの中でどう成長を維持するのか?」、「スタートアップへの影響は?」、「金融市場の動向は?」、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは?」、「新しい働き方とは?オフィスは不要なのでは?」などといった、様々な議論がなされています。

確かに、COVID-19は世の中に対して大きなインパクトをもたらしましたが、事業や働き方を対症療法的に変化させるだけではなく、より長期的な目線で大きなトレンドを捉えることも重要かと思います。

これはあくまで私の意見ですが、長期スパンで事業がスケールするためには、競合差別化などといった方法論よりも、絶対にやってくる未来に対していつどこで何をするかという「ポジショニング」が重要です。

ACESは、「アルゴリズムで、社会をもっとシンプルに。」というミッションを掲げて事業を行っています。

創業から3年が経った今、COVID-19の脅威があろうとなかろうと底流に存在していた不可逆的なマクロトレンドや、私が見ている10年後の未来を整理し、ミッションを達成するためにどのような事業を行っていくのかについて説明したいと思います。


1. マクロトレンド①: 労働集約型から資本・知識集約型への社会への転換

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日本が抱える最大の問題の1つに、人口減少があります。2015年をピークに、日本の人口は減り始めていて、2050年には1億人を下回ることが予想されています。
属人的な作業・能力を前提にし、ヒトの工数に依存する労働集約的な働き方では、人口が増えなければ生産量は上がらないため、このままでは衰退を免れません。
まさに、「まったなし」の状況なのです。


「まったなし」の状況にまでなってしまいましたが、ヒトの工数に依存する労働集約的な働き方には限界があることは、ずいぶん前からわかっていたことなのではないかとも思います。

少し前に、平成元年から平成30年の世界時価総額ランキングの変遷が話題になりました。
平成元年には、世界時価総額ランキング上位50社中、日本企業が32社を占めていたのに対して、平成30年にはたったの1社になってしまったというものです。
このデータは、皆さんにとってもなかなか衝撃的なものだったのではないでしょうか。

しかし、日本企業が衰退したのかというと、実はそうでもありません。実際、ランキングにのっていた日本企業の時価総額は、平均として増加しています。つまり、成長はしているが、その成長スピードが問題で、世界の成長スピードについていけていないということです。

では、急速に成長する世界の企業と日本の企業では、何が違ったのでしょうか。

GAFAに代表される企業のスピードの源泉は、ソフトウェア化です。
広告・コマース領域でソフトウェア化を進めスケールしていったGAFAやその他のアメリカ・中国の企業に対して、属人的な作業・能力を前提にした働き方を一所懸命に続けてきた日本は、大きな遅れをとってしまったのです。

例えるなら、刀の腕を磨いた武士が結束して、優れた組織力とその規模で結果を出してきた日本が、マシンガンを発明し、銃弾数にものを言わせて闘う戦術を取る世界に圧倒されてしまったということでしょう。そして今の日本は、武士が慣れないマシンガンを手に持って、鍛えた筋力に任せて相手を殴打しているという滑稽な状況にも映ります。

それでも、別に「武士」が弱くなったわけではなく、あくまでゲームチェンジに対して変化できなかったということが現状だと理解しています。
だからこそ、日本は一刻も早く、ゲームのルールが変わっていることを理解し、労働集約型から資本・知識集約型の社会へと舵を切らなければならず、その転換は不可逆的なものであると考えています。

2. マクロトレンド②: リアル産業もデジタル化され、知能を実現するデータとアルゴリズムが価値を持つ時代へ

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私がこの前後10年の最も重要なビジネストレンドは何かと聞かれたら、「知能を実現するデータとアルゴリズムへの価値転移」と答えるでしょう。
そしてその価値の転移は、デジタル化が進むことよって加速度的に進んでいいます。

例えばYouTubeは、膨大なコンテンツの中から、データとアルゴリズムの力で個人最適化しユーザーに提供することによって、ユーザーのリテンションや滞在時間を高めて広告効果を最大化しています。
データが蓄積するとアルゴリズムは進化を続け、プラットフォームはどんどん賢くなります。YouTubeの時価総額はGoogleに買収された2006年の16.5億ドルから、15年で100倍以上の推定2,000億ドルにも達していると言われています。


自動車業界も、ハードウェアからソフトウェアへの価値転移が始まっています。
自動車の価値・利用目的は、FUN TO DRIVEを除くと基本的にはヒト・モノを動かすことにあるはずですが、実際の自動車の稼働率は全体の5%ほどであるとも言われており、ほとんどの時間は駐車場に止まったままです。
そのため95%にはまだまだ最適化の余地があり、最適化するソフトウェアの価値が高まる分、自動車のハードウェア価値が失われていく可能性があります。私は、MaaS(Mobility as a Service)とは、失われていくハードウェアの価値が、移動するサービスとしての価値へと転移するトレンドの中で生まれた概念であるとみています。
カーシェアや自動運転が普及すれば、ヒト・モノの動きを最適化する、知能を実現するデータとアルゴリズムが高い価値を持つはずです。
実際、Uberは自社で自動車を1台も持っていませんが、既に時価総額は30億ドルほどあります。

他にも、支店を一つも持たずに金融サービスを提供するAnt Groupや、ホテルを持たないAirbnbも、データとアルゴリズムによって価値提供をする企業だと言えるでしょう。

今までは、広告やECなどスマートフォンの普及によってデジタル化が進んだ領域においてその傾向がより顕著でしたが、「知能を実現するデータとアルゴリズムへの価値転移」は、デジタル化に伴って遅かれ早かれ全ての業界において起こる不可逆的マクロトレンドだと予想しています。

そして今後は、今までデジタル化されていなかった「リアル」の産業領域でも、デジタル化とともに知能を実現するデータとアルゴリズムが価値を持つ時代がやってくるでしょう。

ACESは、こうしたマクロトレンドの中で、リアル産業のデジタル化と、データとアルゴリズムによる知能化をDX(デジタル・トランスフォーメーション)事業として行っていきます。

3. リアル産業のDXとその課題

リアル産業のDXにおける課題は、知能化する以前に、そもそも業務がデジタル化、構造化されていないことです。

リアルの現場で行われる業務をデジタル化するには、今まではヒトがコンピューターに直接入力しなくてはならず、特定の用途に特化したセンサを導入する必要がありました。

また、例えデータがあったとしてもほとんど構造的ではないというのが実態です。
サプライ/バリューチェーンの機能ごとに部署が分かれており、連携が取れているケースは稀で、データ統合はほとんど進んでいません。
さらには、事業とは直接関係なかった(なくても事業は回っていた)IT/デジタル関連への取り組みは、終身雇用制によって専門職を雇うリスクが大きいという背景もあって、IT開発は外部に丸投げという状態でした。

今のリアル産業を本気でDXしたければ、特定の「機能」に対して、SaaSを導入したり、SIerに開発を発注するやり方ではなく、「業界」軸でサプライ/バリューチェーンのデジタル経営戦略から逆算して、デジタル化を始める場所を見極める必要があります。

4. Deep Learningはリアル産業をデジタル化する機械の眼

Deep Learningのブレイクスルーは、機械が「眼」を獲得したとも表現されます。
今までヒトの眼を通して認識し、ヒトがコンピューターに入力する必要があった情報を、機械の「眼」を通して、自動でかつ汎用的にデジタル化することが可能になってきているのです。
およそ5億4000万年前におきた生物形態の多様化「カンブリア爆発」は、「眼」の誕生によるものだとも言われていますが、機械・ソフトウェアが「眼」を持つことは、リアル産業に大きな革新をもたらすものであると考えています。

ACESは、アカデミアに立脚した高い画像・映像認識技術を用いて、機械の「眼」をリアル産業に社会実装することで、生活や業務に眠っているリアルの情報をデジタル化し、資産化することから取り掛かっています。

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6. 最後に

AI/DXが一部バズワードとなっていますが、それらは手段の一つであると同時に、大きなゲームチェンジを象徴するワードでもあります。

ACESは、「創業以来PoCで終了したクライアント様が0件」という実績にも表されている通り、価値を生むことを大切にし、リアル産業のDXに本気で取り組んでいます。

それでもまだまだ道半ばではあり、パートナー企業や一緒に闘うメンバーがもっと必要です。本気でDX/AI活用に取り組みたい企業の方、転職をお考えの方、是非ACESにお問い合わせください。


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