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アレが私には小さすぎた経験、大学4年生春

いつものように
みんなでカラオケや居酒屋へ

私は風邪気味だけど
楽しくて夜かなり遅くまで

自宅に電車で帰るのがダルいし
春の夜風が気持ちよくて
駅から歩ける彼の部屋へ

何回目かな
キスすらせずに泊まりに行けたのは
彼と付き合うことを保留にしてたから

小柄
栗毛のクルクルヘア

デザインものが好きで
シンプルで
よく見たらわかる
かっこいい作りの
白かグレーのTシャツ

シンプルとはいえ
上半身が素敵なラインになる
黒ジャケットを羽織り

胸には
おしゃれな小さな皮のがま口財布

ボトムスも
小柄な自分を上手に魅せる形
ジーンズか黒

全て高級ブランド

裕福な家庭

最初は心配になったけど

部屋を見たら
ありとあらゆるモノが無い

そういえば服も
制服のようにいつも同じ
数着を着回してる姿に安堵

住まいは
家賃が安そうな
シンプルなアパート

日当たり素晴らしく
光がきれいな朝食ができる
殺風景な部屋が好きだった

窓を開けたら
畑の土が続く

隣の家が見えていた記憶がない
かなり遠かったのだろう

小さすぎる冷蔵庫も

少なすぎる食器も

テーブルがない食事も
薄っぺらい布団も
まるでアジアを旅しているようで

心地が良かった

で、風邪を引いた夜

彼が珍しく求めてきた

というか

私が抵抗する気力が無かった

いつもなら切り替えせるのだけどダルくて無防備

「...ダル...風邪うつるよ」

「いいよ」

小柄な彼の指や体が細いのがわかる

がっしりしていた元彼との違いを感じる

さすがに待たせすぎだよな

やってみよう

というより

頭ポワポワするまま
やれるなら、やれたらいい、

気持ち良くなれたなら
彼女になれるのかも、とか、
うっすら頭の隅に浮かんだかも

...早々と挿入

「え...」

答えが出た

びっくりするほど
私には小さすぎた

熱があるから、
締まらない?

にしても...

どうしよう

白いものが出せたとはいえ
(どう出せたか覚えてない、とにかくダルくて、人生初のまぐろ)

さらに傷つけることになる

と困ったのもつかの間

私が緩いと言われた

元カノはタイトだったと

私に問題ありな口調で
全く落ち込む様子が無いのをみて

ああ...良かった...
私は胸を撫で下ろした

君に合う人が
他にいるよ、私ではない...

それから
どうやって保留してた恋人になることを断ったのか覚えてない

たぶん
元彼が忘れられない、とか、
あながち嘘ではないことを言った

それでも

急に
はじめて

私のバイトが終わって
店から出たら

彼が外で待っていて

びっくりした

ガードレールに腰かけ
ポケットに手を突っ込んで
悲しそうな顔

「顔見たかったからさ...
ごめんね、帰るね。」

これが続いたらストーカーだけど1回きりだった

元彼とかぶらなくて良かった

「断ったよ」

元彼に話した

「かわいそうだな...」

問題はアレの相性ではない

君だよ…

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