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嫉妬から人生はじめて本気の彼氏になった。大学2年秋

帰国便で好き度が増した
あの彼とは

相変わらず
付き合うという言葉で括らないまま

日本での大学生活に戻った

それで私は
激しい嫉妬感に襲われることになる

一緒に帰ろうと呼ばれて
彼の部室(ぶしつ)のドアをあけたら

目の前に
明らかに良い雰囲気の彼と
女性がいた

2人で横並びに座って
お互いの顔をみて
しゃべって笑っている図

彼は留学先では
他の女には興味を示さなかったから

今の違いが歴然とわかって

わたしは息が止まった

「その女」とは書かず
「その女性」と一目を置いて書きたくなる子

彼から
噂には聞いていたし
写真も見せてもらっていて
何となく想像はしていたけど

本物は想像をはるかに超えて
驚くほどに
瞳がうるうるしててキレイで
上品で強くて

ステキな女性だった

ドアを閉めそうになったけど

私が開けたのは
もうばれているから

あ...としか言えないまま
突っ立っていたら

彼が

「おぅ、行こうぜ」

って

すぐ立ち上がってくれて
部室を後にした

その女性と私が
挨拶をしたのかどうかも
全く覚えていないけど

たぶん
彼女は同じ笑顔で
軽く会釈してくれたんじゃないかな...

胸の内がモヤモヤして
しょうがない

彼女が悪い子じゃないのはよくわかるし、むしろ素敵な子だと分かるから、そしたら何も言葉にならなくなっちゃって

結局
帰り道
彼には何も言えないまま

夜中になっても
モヤモヤが続くから

彼に電話をかけた

「なんか嫌な感じがする。これを嫉妬と言うのかもしれない。君は付き合うってよくわからないってずっと言ってるし、私もそれでいいと思ってたんだけど...あの子に対して前は気になってた時期あるけど、今は何の気持ちもないって言ってたけど...とにかく仲がいいんだなって思った。私への気持ちを疑ってるとかじゃないけど、なんかモヤモヤしてどうしようもない。これを好きって言うんだと思う。だから...うーん...付き合うって言葉で括りたいような、でも…うーん」

ずいぶんベラベラ喋ったな...

付き合うってよくわからないって言ってる人に言ってもわかんないよなって思いながら

伝えてみた

彼には相変わらず
わからないって言われるであろうと思いつつ
そう言われるのを避けたいけど
絶対そう言われるからテンション上がらない

そんな感じで

ぶつぶつ低い声で
話したのを覚えている

ひとしきり話終えたら

彼が

「いいんじゃない?….良かったな」

て。

は?

つまりは
付き合うって言葉の括りは
「いいんじゃない?」(良し)

そして
私が嫉妬して
彼に対する気持ちがはっきりして
付き合うって言う形を取ってもいいと思えたことが「良かったな」

という意味
(と彼が言ったわけではなく私が解釈)

その二言が

心体全体に染み渡るまで
時間がかかって

実際の時間はそんなに長くないのかもしれないけど、体感としてはずいぶん長い間、沈黙ボケッとしてた気がする

時間がかかって
「良かったな」が
体に染み渡った時

これが幸福感に包まれる
と言う意味なのかもと思った

温泉に入ったみたいに
体がポカポカしちゃって

次は
心臓が口から出そうな感じになって口が笑っちゃって閉じられない

うわー幸せだ

「じゃ!そういうことで、また明日な」

電話が切れた

私は
さっきまで
どんよりな口調で喋ってたテンションが急に変わり

ハイテンションで
いてもたってもいられなくなって
親友に電話をかけ

一部始終を報告して
電話を切ったら

さらにテンション上がっちゃって
クッションをバシバシ叩いたり
急に恥ずかしくなってきて
顔を埋めてみたり

これ監視カメラで撮影しておけばよかったと思うような動きがたくさん

と言うわけで
この日の夜中から
人生で初めて
彼に対して本気に好きな気持ちを持ってからお付き合いを始めることになった

ステータスを言葉でくくって
公にして
ある意味コミットすることの良さが勝った

何に勝ったかというと
言葉でくくらなくても安心できてる関係が
ホンモノだと感じる関係にも憧れるから

それを目指すことよりも
言葉にしたい気持ちが勝ち

一方で
言葉でくくらないで安心な関係を
目指す気持ちには負けたのだけど…

過去の2人のお試し付き合いは
ノーカウントとし

彼が私で人生はじめての
本物の彼氏

付き合っている期間も
その後に別れた期間も
ここから先20年ほど
お互い大切な存在となる

今は彼にとって
私はどうでもよくて
私だけが取り残されているというかな

最初の10年は
彼が取り残されている感じで

次の10年は
私が取り残されている感じで

そのことについては
おいおい書き足していこうと思う

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