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プリン欲に支配された私は、銀皿を探す旅に出た

突然、特定のものが
食べたい欲に支配されること
はないだろうか。

牛丼、ラーメン、マックが代表的だろう。

私の場合はプリンだった。

プリンが食べたい!!

どこからともなく、
プリン食べたい欲がわいてきた。

ここまでは、よくあることだ。
コンビニでプリンを買えば済む話だ。

しかし、今回はそこまで簡単ではなかった。

……かわいいプリンを
作って食べたい!!

ただのプリンではなく、かわいいプリン。
そして買うのではなく、作るという
指定付きの欲望ははじめてだ。

イメージがぼんやりとしていれば、
なんとなくかわいい風にすることで
自分をごまかせる。

「そうだよねっ!
たまにはサクランボとかホイップ
のせちゃいたくなるよね!
目でも味わいたいなんてぇ~
もうグルメなんだからぁ~」と。

でも、今回はそうはいかなかった。

超具体的なイメージができあがっていたのだ。

銀皿にのせたい!!

わりと売ってそうだけど、
いざ探すと
なかなか見つからないアレである。

アレがないとダメだ。

そうして、
私のプリンと銀皿を求める旅は
はじまった―――

まず、
信頼を寄せている100均に行ってみた。
ここなら絶対あるだろう。
まだ存在を確認していないのに、
自分を納得させるのに充分な確信があった。

食器コーナー、台所コーナー、
お菓子作りコーナーを
ぼんやりと探す。

2周しても見つけられなかった。
3周目は隈なく探そう。

……

……

……

なかった。

ここは品揃えの調子が
良くなかったのだろうと
フォローをしながら、
2軒目をはしごする。

なんとなく期待できそうだ。
もう「絶対」などと言って
期待を裏切られるといやなので、
期待は「なんとなく」程度に
とどめておいた。

さっそく探す。

……ない。

そんなはずはない。
私が見つけられないだけだ!
自分を奮い立たせて周回を繰り返す。

しかし、その努力もむなしく、
ないものはない。

鉄製ではないものの、
デザートカップは見つけた。
……ガラス製

「妥協するのか!?」

私の中で声を荒げる反対派もいる。

まぁまぁかわいいけど、
この欲望を
これでは満足させることはできない。

あきらめて、何も買わずに
今回のところは帰ろう。

足を帰り道に向けた。

しかし、すぐにひるがえり、
その手には例のガラスカップが
握られていた。

ここまで頑張って探した私を
手ぶらで帰らせるわけにはいかない。

私にはなにかかしらの成果が必要だった―――

かっこよく語ったつもりになったが、
結局、妥協しただけだなと反省しながら、
早速プリンを作る。

プリンエルの粉と牛乳300mlを鍋に入れて
沸騰させる。

これで1分煮込み、
型に入れば完成だ。

冷やせばもう、食べれる。
プリンエル様様である。

プリンエルに尊敬のまなざしを向けてから
くまちゃんカップに原液を注ぎ入れる。

これは文字通り、プリンやゼリーを
くまちゃんの型にできるカップで
先ほどの100均で出会った。


くまちゃんカップを見た刹那、
すぐにカゴに入れていた。

決してかわいい成分を
これで補おうとしているわけではない。
決して。

1時間待ってから
くまちゃんを
例のガラスカップにプッチンして
完成させる。

くまちゃんカップが
しっかりプッチンできるように
プッチンの突起があって感動した。

さすがくまちゃん。

なぜか逆向きに着地したけど、
スプーンでカラメル側を上に直し、
無事に欲望は満たされましたとさ。



めでたしめでたし。

調べたら、私が欲しあがいた銀皿は
「ステンレスアイスカップ」と言うらしい。

「プリン」なのに「アイス」なんだなぁ。

「プリン 銀皿」で
ちゃんと正式名を当てるグーグル先生。
すごい。

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