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忘れられなかったバラの花束

1度、お花屋さんでみたバラを忘れられず
再び足を運んだ。

さわったらきっと
表皮がくずれてしまいそうな
繊細なベルベットの布のよう。

色も深く、目立たない色であるのに
店のすみで放つ存在感。

すべてのとりこになった。

まだ売れずにいるかと
そわそわしながら扉をひらく。

すこしあたりを見回すと、あった。

ほっとしながら会計をしていると
そのバラの大群が
2セット分
脇に寄せられていた。

1セット50本はありそうだ。

気になって店員さんに尋ねてみると
クリスマスのために
オーダーがあったそうだ。

でも、これはクリスマスというよりは
人生の大きな、大切な賭けに
でてくる代物じゃないかと思う。

店員さんと「どうなんですかね~」と
語らいながら、さよならをした。

ほんとのところはわからないけど、
クリスマスに幸せな瞬間をむかえる人が
2人、もしくは1人いることはわかった。

そう考えると、いい気持ちになった。

とてもよろこびます!!