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(5)「投票」機能と場づくり

 ここでは、オンラインワークショップの導入に活躍すると思われる「投票」について説明します。投票とはどんなものか、なぜ投票機能を取り上げるのかを説明していきます。

【7】-1 投票で緊張をほぐす

 投票といえば、学級会などで「どの案がいいですか?」「誰が良いと思いますか?」みたいに聞いて、手を上げてもらうということを思い浮かべると思います。実際、ZOOMの投票でも

投票01

というような感じで、例えばプランAが多かったので、多数決でプランAにしましょう、みたいなことになるわけです。
 でも、この投票機能、いわゆる「多数決」だけに使う必要は全くありません。私はワークショップなどで、例えば「どの季節が一番好きですか?春夏秋冬で、四隅に分かれてみましょう」みたいなことをよくやります。特に理由があるわけではないですが、最初に集まったばかりの時、自己紹介を1対1でおこなうのは、緊張します。何となく全体で「あ、夏が好きな多いんだな」とか「あの人も冬が好きなんだ」というように、雰囲気で、他の人との距離が近づくことがあります。

投票02(季節)

 なんだか急に、堅苦しさがなくなった気がしませんか?こうやって参加者、特に初対面の方たちが、匿名で(自分に他の人の意識が集中しないで)意見を表明できるというのは、オンラインワークショップの導入ではとても大事だと考えました。

 また、「私のワークショップに参加したことがありますか?」というようなことも良く聞きます。参加したことがある方が多かったら、違うことをやろうかな、という私の問題もありますが、「自分以外にも、初めての参加者がいる」というような安心感が広がる時もあるからです。
 気持ちを聞いちゃうのもありだと思います。「緊張してます!」ということで緊張がほぐれる時が私はあります。なので、緊張してるという自己表明をしてもらう場を提供するのも悪くないでしょう。そしてその中に、少し笑いの要素を入れると(やり過ぎ注意!)場がほぐれます。

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【7】-2 投票でクイズ

 投票は、自分の意見や気持ちを反映するだけではなく、ちょっとしたクイズなどにも使えます。

投票03作品

 例えばこんな感じです。お気付きかもしれませんが、上の問題は、複数選択が出来ます。それまでの投票はあえて1つしか選択できないようにしていたのですが、こうやって複数選ぶ出題の仕方もできます。
 授業の最初に、前回の復習として、「漢字の読み方」「歴史の年号」「計算の答え」などを、投票機能を使ってやると、ゲーム感覚で楽しいかもしれません。また、初めての人同士でも、自分が間違ったかどうかは他の人には分からないので、恥ずかしさも少ないでしょう。

【7】-3 投票でジャンケン

 「多い勝ちジャンケン」をやった経験はありますか?どんな時にやったのかあまり覚えていないのですが、とにかくグーチョキパーの中で、一番多かったものを出した人が残るというジャンケンです。

投票04ジャンケン

 選んでもらって、結果は

投票05ジャンケン結果

 ジャンケンではチョキが勝ち明日が、「多い勝ち」なので、パーを選んだ人が勝ちになります。というようなゲームです。もちろん、ホストと勝負して、ホストが出すものに勝たなくてはいけないという様にするなど、ルールをどんどん決めていければ良いでしょう。

【7】-4 対面との感じ方の違い … 投票の活用

 いくつか投票機能を使ったゲームを紹介しましたが、なぜこんなことをやっているのでしょう。途中でも少し触れましたが、授業の始めや初めてあった人同士のワークショップなどでは、参加者は緊張していますので、それを和らげる必要があります。それに投票が少しだけ役立てると考えているからです(もちろん投票以外の方法もあります)。

 対面の場合、例えば教室の中に座っていれば、「大勢の中の一人」という意味で、多くの人は不安を感じることが少ないです(そうでない方もいらっしゃいますので、その点は注意が必要ですが、今回はあえて多くの人の話をします)。教室の中で一人だけ注目されると、急に緊張します。
 大勢の中で自己紹介をするのは非常に緊張しますが、大勢を「同じ空間の中で」小グループに分け、その中で自己紹介をしあうのは、少しハードルが下がります。多くの人が同時に自分と同じことをしているという安心感があるからかもしれません。

 一方ZOOMでは、そもそもが別空間にいるので、感覚的には一人でいるように思えます。ZOOMの画面上には多くの人がいるので、同じ参加者同士とはいえ、常に教室の前に立って全員に向かって話をする、というような感覚になります(と、私は分析しています)。そんなことはないのですが、常に他の人に見られている感覚になるといっても良いでしょう。
 さらに、急にブレイクアウトルーム(のちに説明します)などで少人数に分かれても、それは「同じ空間の中」の少人数になったのではなく、最初から「少人数の空間」に放り込まれた感覚になります。他の人の声や動きを感じられないからです。その時に「さあ、自由に話して下さい」と言われても、特に人見知りをする方にとっては地獄の時間と言っても良いでしょう。

 以上のことをふまえると、ZOOMの場合の集い方は、対面の時と考え方を変えなくてはならないということに気づきます。つまり

・対面の時は、大勢の中にいる感覚になれるので、少人数に分かれて意見を言いやすくする場を作る必要がある
・オンライン(ZOOM)の時は、注目されてる感覚になるので、大勢の中にいる感覚にする場を作る必要がある。

という逆ともいえることをしなくてはならないのです(と私は思っています)。そこで投票機能が有効に使えると私は考えたのです。投票機能は

・参加者の顔の前に「投票画面」が出てきて「投票画面」を見るため、教室の前に立ち注目を浴びてるような感覚がなくなる
・投票結果は個人が特定されない、いわゆるビッグデータに近いものになるため、「大勢の中の一人」という感覚になれる
・そもそも、物を媒介にすると人は話しやすい
・初めてあった人同士でも、比較的簡単な方法で共通の体験を得ることができる
・質問に対して(不思議なことに)参加者が誠実に答えることが多い

という側面を持ち合わせています。他にも、授業の導入のきっかけとしてのクイズや、前回のふりかえりを簡単にするということもできるでしょう。
 長々と書いてしまいましたが、投票機能は、オンラインワークショップで素晴らしく活躍してくれる機能だと思いますので、ぜひ試してみて下さい。

 ただし、投票機能は、思いつきでやれるものではなく、少し準備が必要です。次のnoteでは、どうやって投票機能を設定するかお話します。

<前 (4)最初のポイント!協働作業するということ
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