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オタク趣味は仕事で役に立つ、かもしれない

最近仕事のことばかり書いている気がするが、今回も「仕事と私」的な内容になってしまった。転職して1か月なので、許されたい。

転職してからの1か月が怒涛のように過ぎていった。面接の時から「月末月初は忙しい」「有休を使って長期間休んでもらっても構わないが、月末月初は避けてくれるとありがたい」と言われていた意味がわかった。鬼のように膨大な事務作業が待ち構えていたのだ。私は思った。Excelの勉強をしておいて良かったー!! と。

私のPCスキル的な話をすると、二十代の頃は接客業がメインだったし、三十代で広告制作や取材、ライティングの仕事に携わったが、タイピングはそこそこできてもOfficeソフトにはそんなに触れてこなかった。本当に簡単な入力くらいだったと思う。活用していた記憶がほぼない。

取材の仕事をしていた時は写真撮影も行っていたので、Photoshopには少しだけ触れていた。たとえば、エステの施術シーンの撮影をしたとして、モデルさんの足首に小さく入っているタトゥーを消したりだとか、顔にある吹き出物や目立つ毛穴をなかったことにしたりだとか、その程度のことだけど。

そんな私だが、趣味で同人誌(小説)を発行してきた経験があるので、Wordはそこそこ使えたりする。主にA5の2段組みや文庫サイズの縦書きばかりだが、書式設定やフォントにはそこそこのこだわりもあったりするし、扉や目次や中扉、奥付ページ、サークルカットなどをPhotoshopで作っていたので、オタクが同人誌を発行するために行う一連の作業でこの辺りのスキルは身につけることが出来た(ちなみに表紙は親交のある絵師さんにお願いしている)。

しかし、ExcelとPowerPointと向き合うような仕事はしてこなかった。資料として渡されたものが、それらのソフトで作られたものだという認識くらいしかなかった。

転機は転職活動である。昨年の10月頃から知人を通してエージェントを紹介してもらい、人生で初めてじゃなかろうかというくらいガチで転職活動を行った。エージェントに履歴書と職務経歴書を添削してもらい、私の知識や能力の強みを教えてもらった。また、エージェントと面談をする中で、私は私が「人物タイプ的に人当たりが良く、接客能力も高く、それでいて新たな取り組みについても前向きにチャレンジ可能な方」で、「謙虚で誠実で協調性も高い方」だと知った。真面目で素直な方だとは思っていたけど、エージェントの手にかかると私はこういう人になるらしい。

書類選考を通過したら、次はいよいよ面接である。エージェントから教えてもらった面接対策と並行して、YouTubeで面接対策動画を毎日のように視聴した。その甲斐あって一次面接は無事通過したのだが、二次面接や最終面接の際に面接官からどの程度Excelが使えるかの質問が出た。うわ、と思った。簡単なデータ入力と基本的な操作は出来ると思います……という回答が精一杯だった。その面接内容を会社側から聞いたのだろう、すでにエージェントも把握していた。そして言われたのだ。

「老婆心ながら可能であればExcelスキルは付けられた方が宜しいかと。先方から特にご注文は有りませんが業務で使用頻度が高くなると思われます。レベルは中級程度で構いません」

ちゅ、中級……。

私はそれがどの程度かよくわからなかった。よくわからないけれど、内定をいただくためにも身に付けなければ!

申し込んだ会社全てから内定をいただくことが出来た。私の希望年収より高めに売り込んでくれたエージェントの手腕がまず素晴らしかったこと、そして私も面接対策をあれこれ頑張って挑んだので、それらが報われた思いがした。転職回数の多さや年齢などネックに感じる部分もあっただけに、数社から内定をもらえたという事実は自信にも繋がった。入社したら仕事頑張ろう! 長く勤めるぞ! と、この時の私はやる気に満ちていた。

内定をいただいたのが11月の半ばで、入社は年始からに決まった。それまでに少しでもExcelを使いこなせるようになっておかなければならない。私はPCを立ち上げると、早速Excelを開いてYouTubeの動画で勉強を開始した。金子晃之さんの動画を視聴することが多かったのだが、私のようなExcel初心者にもわかりやすい内容で、チャンネル登録と高評価ボタンを押すのはもちろん、テキストブックも購入して毎日勉強をした。

関数を使って表を作る練習があった。内容は生徒の各科目の点数の表だった。オタクな私は、テキストにあった鈴木さん、田中さん、木村さんではなく、推しジャンルの高校生アイドルたちで表を作った。アイドリッシュセブンの亥清くん、和泉くん、四葉くんである(五十音順)。教科は国数英。亥清くんは海外にいたので英語は得意だろうなとか、和泉くんはパーフェクト高校生だからどの教科も高得点だろうなとか、四葉くんは勉強は不得手だけど天才肌で歌もダンスも上手いしとってもいい子なので点数は低くてもそれはそれでよし! とか、彼らの高校生活に思いを馳せながら勉強をしたらこれが結構楽しくて、中級程度は扱えるようになった。オタクで良かったと思った瞬間である。

MOSの資格こそ持っていないが、もし今PCスキルについて問われたら、Excelに関しては基本操作と簡単な表計算やグラフの作成などは出来ます、と答えられる。それに抽出したデータを元に分析もちょこっとなら……。金子晃之さんありがとうございます! そして私の推したちもありがとう……!

こうして自分なりにスキルを磨いて転職したわけだが、ExcelもWordもPowerPointも使う職場だったので、勉強しておいて良かった〜! と思ったのは言うまでもない。PowerPointについては後述するが、入社時点ではそんなに勉強していなかったので、使う度にネットで調べてなんとか乗り切っていた。

だが、年始に入社したこの会社はなんやかんやあれやこれやありまして、入社して3か月目頃から体調とメンタルが崩れ始め、そこからあっという間にガタガタになり休職する運びとなった。そして復職することなくそのまま退職。その後、再び転職活動をし、以前勤めたことのある会社の採用試験を受け、無事内定をいただいた。10月から未経験の職種に就き今に至る。

この、今携わっている未経験の職種なのだが、事務作業の割合いが多く、毎日Excelシートと向き合っている状況だ。更に、入りたてなのになぜか社内イベントのポスター制作担当になり、休みの日に家でPowerPointの勉強をしまくり、その甲斐あって、会社にてイベント用のポスターを複数作ることができた。突破的に「こういうポスターを今日中に作ってほしい」と振られてもささっと作れるようになってしまった。インプット→アウトプットを怒涛のように行った結果の賜物である。

ポスター制作は素材集めから文字や画像の配置、コピーやテキストなどほぼ私におまかせ状態だったので、これまでのオタク趣味で培ってきたスキルを用いて対応することができた。文章を書くことに触れてこなかったら、同人誌を発行していなかったら、PCスキルを磨いていなければ、無理難題を押しつけられたと苦痛だったかもしれない。生きるのはどうにも下手くそな私だけど、オタクで、真面目で、頑張り屋で良かった〜!! と思ったりしたのだった。

とはいえ、実務をしていると自分に課題ばかりが見つかるのも事実。担当する業務を覚えるのはもちろんのこと、もっとExcelを使いこなせるようになりたいし、ビジネスマナーも業界知識も身につけたいし、市場調査もしたい。情報をたくさん取り入れて、アウトプットできる人になりたい。今、ちょっと仕事に対するモチベーションが前のめり気味だったりする。

しかしそこは一度休職したことのある身、いつだったか医師に言われた「もう少しやれそうと思っても、今日はこれくらいにしておこうかなと区切って、自分に無理をさせないようにしてください」という言葉を思い出し、負荷をかけ過ぎないよう気をつけている。負荷をかけ過ぎるとメンタルの波が大きくなってしまうかもしれない。それだけは避けたい。

自分のしてきたこと、見てきたもの、触れてきたもの、それらの経験ひとつひとつが、思いもよらないところで役に立つこともある。

なんだか人生、捨てたもんじゃないな。そんな気持ちになったりする。

11月もこんな感じで1日1日を過ごして、気がついたら今よりちょっと息がしやすくて、自分にとっていい感じの道を辿っていられたらと思う。

今年も残すところあと2か月を切り、日に日に寒さも増してきた。

年末に「人生頑張ってて今日も生きてて私ってばえらい! 来年もこの調子でいこ!」と自分に乾杯できる人になるのが今の小さな目標だ。

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