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日本政策金融公庫の研究~創業融資

日本政策金融公庫は、サラリーマン根性が抜けない腑抜けた起業家こそ利用すべき金融機関~不動産屋の遠吠え

日本政策金融公庫(略称:日本公庫)とは政府系金融機関の一つで、かつての国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫が一緒になってできました。法人形態が株式会社であることは、意外と知らない方は多いのではないでしょうか。

まだ実績のないうちの創業融資なら、まずは日本公庫へ行くべきだと多くの人は言います。いちばん借りやすい、200万円くらいならすぐに出してくれるよ、などなど。

ですが、結論から申し上げると起業して世の中的に新しいことをやろう、同業者に対して差別化とブランディングで挑戦しよう、今までにない業態を生み出そうなどというような「起業家精神が旺盛な人」や「生意気な人」はやめておいたほうがいいです。

良くも悪くも、日本公庫は官僚的な金融機関だといえます。日本公庫の創業融資を利用できる“資格”のある人は次のとおりです。もちろん、そんなことはウェブサイトにもどこにも書いてありませんが。

①開業する事業、業種の経験があること。

「未経験の世界に思い切って転身して一旗上げてやろう」などという人を、日本公庫は嫌います。勤続や業界歴は長いに越したことはなく、同じ業界・業種で開業するにあたって、良かれと思って業界の常識を変えていくみたいなことを言うのは基本的にアウトです。

日本公庫が望むことは、その人がそれまでの人脈や顧客を引き連れて起業してくれること。1期目の決算書には、起業前の勤務先の顧客だった人や会社からのご祝儀的な売り上げが計上されていれば、それでいいということなのです。

担当者の立場の安全安心を考えれば、借り手が「3年は売上なんてあると思うな!」という苦しい時期を乗り越えて、5年後や10年後に大きく飛躍することなど、どうでもいいことなのです。あくまでも、大事なのは借り手が足元の小銭を一生懸命拾い続けてくれること。

②融資を受ける必要のないほど自己資金が豊富なこと。

これはもう、説明不要です。金融機関はとかく、「晴れた日に傘を差し出して、雨の日には傘を奪う」とよく言われます。「お金が無いから借りたいのに」というのが、借りる側の立場でありながらも、もちろんリスクは避けたい金融機関の立場も理解できないことはありません。

開業のためにコツコツ貯金できることが、一つの基準になるということでしょうが、大げさに言えば時代を変えるアイデアを生み出せる人やイノベーションを起こせるような人というのはとかく、そんな小市民的なことはあまり得意とは言えないのではないでしょうか。

しかしながら、日本公庫はそういう将来の可能性のようなものには一切興味がありません。たとえば、私はある金融機関で8年間、融資業務を担当していた方がその経験を活かして、福祉の世界でイノベーションを起こすべく起業する際、多くの経営者からの融資申し込みに対応してきたノウハウを活用しながら事業計画書を作成し、日本公庫の創業融資を申し込んで否決されたという事例を知っています。

その理由は「そんな事業、前例がないから」。融資のプロでさえ、これなのです。他には、たぶんその方が年齢的にも、見た目にも若いというのもマイナスになったと私は見ています。そういうことでも判断するのが日本政策金融公庫という金融機関です。

だから、不動産業界未経験で、LGBTQフレンドリーな不動産会社を創業するなどという私のような戯け者が相手にされるわけがないのです。

日本公庫は実績も経験もない人には厳しい金融機関~不動産屋の遠吠え

私は2021年4月の創業前から2022年8月までに、5回ほど日本公庫の創業融資に挑戦しましたが撃沈しています。私の会社は東京都東村山市ですが、同じ政府系金融機関である商工中金や西武信用金庫、多摩信用金庫、青梅信用金庫、山梨中央銀行へも行きました。どこで融資を受けられたか、それぞれどういう対応をされたか等々は申し上げませんが、日本公庫の担当者の高飛車な態度や、求められる提出書類の多さ、面談時の失礼な質問のオンパレードというのは特筆すべきものがありました。

日本公庫には、「ソーシャルビジネス支援資金」という商品があります。あるとき「NPO法人や社会福祉法人しか対象にならない」とは書いてなかったので電話で問い合わせると、電話に出た職員から「不動産業は対象になりません!」と言い切られてしまいました。私が「申請も受け付けてもらえず却下という理解で間違いないですか」、「不動産屋がソーシャルビジネスに取り組むということはあり得ないという見解ですか?」と何度も詰問すると、「申請されるのは自由ですが……」というように言葉を濁し始めました。

電話を切ってお客様窓口のようなところで顛末を説明したら(騒いだら)、支店長らしき人から電話がかかってきて「不動産会社様がソーシャルビジネスに取り組まれる場合も対象になります」「対応した者には厳しく指導いたします」とお詫びを言われました。

もちろん、ここまで述べてきたことには苦しいときに足蹴にされたという私憤も含まれていると思います。ですが、日本政策金融公庫にはいろんな融資制度はあるけれど、実績も経験もない中でイノベーションを起こそうとがんばっているような人にはちっともやさしくない金融機関だということはよく覚えておくとよいでしょう。


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