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【阿蘇】駱駝の肌着色の草原には雪が残っていた~私の取材旅行記~

食品に関する取材のお仕事をしていた頃に書き留めておいた裏側のメモを手直ししてnoteします。今回は2000年2月早春の阿蘇の旅から短めの風景記です(お店の名前や料理、記事の内容は当時のものです)。


九州自動車道を車を走らせ、鳥栖ジャンクションで大分自動車道に乗り換え、最初のインターチェンジが今回の取材の目的地の『甘木』。

青汁の原料は丁寧に育てられる

取材先を案内してくれるメーカーの担当さんを、待ち合わせ場所のインター入り口で待つ。今回は『青汁』の原料になっているケールを無農薬で栽培している畑の取材。地元ローカルのテレビ局クルーも同行してきた。
しばらく待つと、なんとも『おぼつかない』運転の車がやってきた。テレビ局のクルーと眺めながら『ヘッタクソな運転だよね~』と話していると、それが担当者さんだった。『丁寧な運転だね~』に言葉を替えることに。丁寧な運転をする担当者さんの案内で取材先の畑へ向かい取材行は始まりました。

ダムの上から見下ろす町は黄金色

初日の畑での取材を終え、夕景を撮影するテレビ局の車についていく。行く先は寺内ダム。町を見下ろせる場所にある。


逆光の耳納連山にかかる夕霞。黄金色に町中を包んでいる。その風景をテレビ局のクルーは撮影している。

テレビの撮影を待つあいだに車の中で原稿の下書きをしながら、窓を開け車外の夕景を眺めて大きく息を吸う。ちょっと風気が冷たいが、少しづつ、少しづつ変わる夕景に浸る。
さすがに盆地である。日没はあっという間にやってくる。その日没と一緒に寒さもやってきた。私はあわてて車のエンジンをかけた。
青汁の原料のケールは、こんな風景の中で栽培されていた。

帰りは阿蘇を抜けて

翌日の工場での取材を終え、テレビクルーと別れてちょっとドライブ気分で車を走らせる。

日田から小国町、そして阿蘇外輪山を経て熊本へ向かうことにした。小国町を過ぎると、あたりの風景が一辺する。
それまでは木材運搬の大型トレーラーが多く走る道路。それがいつしか、車の数も減りハイウェイを走っているような風景に変わってきている。

道端にカフェの案内板や木立の向こうにアトリエ風の建物が見える。左後方には雪をいただいた久住の山々が見える。
しばらく走ると、あたりにも溶け残った雪。車の窓を開けると切れる様な冷たさ。「ひゃぁ~~~」気分はどんどんと上がって、一人で大声を出してる。

この風景、すてたもんじゃない

阿蘇大観峰に立ち寄る。
2月下旬とはいえ、風は真横から強く冷たく吹きつけて来る。

日当たりの良い場所にも雪が残っている、手でつかむと氷のように固い雪だ。

ひとすくいし、空にほおりあげる。

キラキラ輝きながらビュンと風に持って行かれる。


平日だからだろうか周囲には観光客もまばらだ。そうだろう、こんな風の中に来る人はいないよね。

阿蘇外輪山。夏の緑の草の海も良いが、冬の風景もすてたもんじゃない。
枯草色の絨毯か駱駝の肌着色の海(どちらも感動的な表現ではないね)の上に広がる青い空を、白い雲がゴンゴンゴンゴン流れる。

『うん、この風景、すてたもんじゃない』。

途中、ひたすらに車を走らせることにハイになる「ドライバーズハイ」。外輪山をおり、温かい飲み物すらも飲まずに熊本から再び九州自動車道にのり帰路へ。
ちょっと心が落ち着いたときに、氷をさわったせいだろうか、冷たい手の感触だけがいつまでも心に残る取材だった。

取材日:
2000年2月23日~24日

◆20年以上前・ミレニアムのお祭り騒ぎの頃に書き留めておいた取材旅行記番外編のひとつです。もしよかったら「スキ(♡) 」を押していただけると励みになります。

※見出しイラストは
カメラマンのイラスト by Loose Drawing 少し加工しました。


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