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#9 「供給制約」をビジネスチャンスとしてつかんだ物流業界の事例

木下斉さんのVoicyで触れられていた「供給制約」という新たなトレンドをビジネスチャンスとして活かしている事例を紹介しているニュースについての話です。


供給制約とは

需要と供給のバランスにおいて供給を増やすことが出来ないという制約のことです。そして今日本では少子高齢化により総人口の減少よりも労働人口の減少の方が先にくるために需要は変わらずに供給だけが減るという深刻な「人の供給制約」の時代に突入してします。

2060年までの統計データ上での総人口と生産年齢人口の減少率
・地方圏:総人口は4割減、生産年齢人口は5割減
・東京:総人口は2割減、生産年齢人口は4割減
・3大都市圏:総人口は3割減、生産年齢人口は4割減

「供給余り」から「供給制約」へのトレンドの変化

江戸時代までは日本の人口は横ばいでした。明治20年代後半には産業革命が起きたことで生産性が向上し、さらに化学肥料の登場などの要因で「食」が確保できるようになり人口の増加が始まりました。
そして、日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年に8716万とピークを迎え、現在はそこから1000万人以上減少しています。団塊世代の退陣でさらに一気に減少することが確定しています。
そのため、これからの現役世代には「供給制約」の時代に合わせたキャリア選択が求められるようになりました。

「供給制約」に直面する地方タクシー

地方でタクシーが足りない問題がまさに供給制約によるものです。事前予約は出来ず、当日電話して運が良ければ捕まえらえるという状態はまさに需要はあるのに供給が足りない状況です。
では単にドライバーを増やせばよいかというとそうではありません。

ドライバーが集まらない

ドライバーに限らず地方ではパートやアルバイトの募集をかけても本当に働き手が見つからないのです。
タクシードライバーは長時間労働でかつ賃金面での待遇も良いわけでなく、他の職を蹴ってわざわざ成ろうという魅力が弱いために供給を増やすことは困難です。実際に、コロナ化で解雇になったタクシードライバーはコロナが落ち着いても転職後の方が待遇が良いと知ってしまい、戻らなくなっています。

供給を増やしても利益がでない

仮にタクシードライバーを増やし供給を増やすことが出来たとしても、供給を増やした分の固定費を上回る利益が作れなければ意味がありません。車両の確保、人件費、飲酒運転のチェックなどの安全確保のための業務、燃料費の高騰などのコストを上回る生産性を実現するのは、お客を運んでいない時間の長い地方のタクシーでは難しいでしょう。

余談

需要に対してコストをかけずに供給を増やす方法の一つとして、ライドシェアの導入が挙げられます。「供給制約」時代の地方での移動の課題解決にはライドシェアの導入は待ったなしですね。

「供給制約はビジネスチャンス」の事例

前置きが長くなりましたが、NewsPicksのこちらの記事で供給制約の時代でビジネスチャンスをつかんだ、アセンド社の事例が紹介されていました。

運送会社の抱える深刻な供給制約と経済損失。

残業規制によるドライバーリソースの不足で、2030年にかけて運送会社側の物流供給力が大幅に低下する。それにより、35%の需給ギャップが発生し、これによる経済損失は10兆円にものぼると言われています。

供給を増やすことが難しい業界構造。

運送会社のドライバーは、全産業より労働時間が約2割長いにもかかわらず、賃金は1割から2割低い。その結果として人出不足は慢性化しており、高齢化率も高止まりしています。

供給コストの削減から、労働時間の長さと賃金の低さに代表される業界の構造課題の解決を見据えたSaaS提供。

そこでアセンドが提供するのが「ロジックス」。運送業特化のオールインワンSaaSとして受注から配車、労務管理や車両管理、経営分析まで、運送業の管理業務を一気通貫で支援するサービスです。

SaaSによって業務コストを下げることはもちろん大切ですが、「物流業界の価値最大化」というミッションに向け、ありとあらゆる手段を使って運送業者様の「経営改革」を支援していくつもりです。

ぜひ記事もお読みください。

まとめ

供給制約の時代には多くの需要を取りにいき薄利多売で稼ぐビジネスモデルでは成り立ちません。
ただし、供給制約に悲観的になることはなく、数を絞り、生産性を高め、高付加価値を提供するような利益率の高いビジネスモデルへの転換のチャンス
と捉えることも出来るのではないでしょうか。

供給制約をビジネスチャンスとした事例についての話でした。

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