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マーラー演奏の是非

昨日のハーディング/都響の「巨人」の感想が賛否両論だ。

昔のTwitterに戻ったようで私などは歓迎なのだが、共感できない指摘もある。

「アンサンブルが荒い」……緊急地震速報のあと数分とフィナーレは確かにそうだったかもしれないが、全体的にはむしろ細やかだったと思う(第2・第3楽章なんか特に)。

「熱量が低い」……え!と思ってしまった😅 結構熱かったと思うが。

席によって感じ方が異なるのかもしれない。

そもそもマーラーの音楽に期待するものが人によって違う。
これはブルックナーやブラームス、シューマンより明らかだと思う。

簡単に言えば、「熱情か、精緻か」ということになる。
同じラーメン好きでも、とんこつ好きと塩好きのごとく両者のあいだには大きな隔たりがある。

私の思い出のマーラー演奏会を挙げよう。第10番以外は生で聴いていると思う。

最近聴くことの多かった第5番。

まず、エッシェンバッハ/N響。

これは非常に精緻で、ハイレベルな演奏だった。
しかし、人工的な印象が否めず、予定調和のまま進んでいくスリルに欠けた演奏だった。
家でCD聴いてりゃいいじゃんと思った。

久石譲/新日本フィルの5番は声部がぐちゃぐちゃで、まさにカオス。
マーラーの書いた和声やフレーズの意味が読み取れない演奏だった。

ノット/東響の5番も私にはハズレ。
ノットは好きな指揮者だが、珍しくオケとの連携がうまくいってない様子でアンサンブルが雑に聴こえた。

高関健/シティフィルの5番も、いろいろやりたいことが裏目に出て、音楽の流れが損なわれていた。

反対に素晴らしかったのはCD化もされた、カーチュン・ウォン/日本フィル。
緩急のデフォルメが尋常でなく、人によっては恣意的に感じただろうが、私には人間くさいマーラーで大歓迎だった。

いま私がマーラーを一番聴きたい指揮者は大植英次。

大植/神奈川フィルの「巨人」は賛否両論どころか、否定的な意見が目立った。
同コンビで聴いた「幻想交響曲」のようなテンポの緩急をマーラーでも発揮すれば、一定数の人たちのアレルギーを引き起こすのも無理はない。

昔にハノーファー北ドイツ放送フィルとの9番を聴いたのだが、そこまで印象に残っていない。
最近関係の深い神奈川フィルとまたマーラーをやってほしいものだ。

マーラーとは違う理由で、ベートーヴェンの好みも分かれそうだ。

まず、オーケストラが何型なのかが気になる。

井上道義のコンサートチラシで「田園」(8型)、「運命」(16型)と書かれていたのは斬新だと思った(数字は合ってないかも)。

大編成の巨匠風のベートーヴェンなのか、ピリオド風の小気味よいベートーヴェンなのかは大きな違い。

また食べものの喩えで恐縮だが、鶏の唐揚げだってもも肉なのかむね肉なのか重要ではありませんか?

私はサクサク系ベートーヴェンはCDで十分と思ってるので、コンサートでわざわざ聴きたいとは思わない。

主催者には「運命(○型)」と書いてくれることを願うばかりである😛

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