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学生服リユースショップさくらや研究【学生服×SDGs編その4】

SDGsとの出会い

 2017年4月、三井住友海上が高松で子ども向けイベントを開催するに当たり、「さくらや」が協力する機会がありました。その準備のために、馬場さんが三井住友海上の東京の本社で担当者と打ち合わせをした際に、「さくらや」の店舗には様々な背景を抱えた家庭が来店することや、店舗の隣の「otomari」と名付けたスペースで、子ども食堂や、養護学校の卒業生向けのイベントなどを行っていることを説明したそうです。

 それを聞いた三井住友海上の担当者は、「誰ひとり取り残さない社会の作り方」(SDGs)の取り組みを馬場さんに紹介しながら、「さくらやさんの取組みは、SDGsの1番(貧困をなくそう)、2番(飢餓をゼロに)、3番(すべての人に健康と福祉を)、12番(つくる責任つかう責任)に値しますよね。特に1番の貧困問題は、世界の問題に加えて日本国内でも支援が必要と言われています。子ども食堂もそのための取組みの1つですよね」という話をしたそうです。

 馬場さんとしては、学生服のリユースにしても、「otomari」でのイベントにしても、地域のお母さんたちの声を拾って形にしただけと思っていたのですが、三井住友海上の担当者の話を聞いていくうちに、自分たちが行っている小さな取組みによって、持続可能な未来に向かうことができるのかも知れないと感じたそうです。

 馬場さんは、日々の店舗運営を通じて、子どもの貧困や、環境問題などの社会課題を肌で感じていました。それを他の人たちにも見える化(視覚化)して、香川でSDGsを広めようと決心しました。高松に帰り、さっそく周囲の人たちにSDGsの話をしてみました。しかしピンと来る人はあまりおらず、「SDGs」の読み方も分からない人が何人もいたそうです。

 そこで、2018年5月、馬場さんは四国で色々な人たちにSDGsを知ってもらうための取組みを行う組織として、「SDGs四国88」を立ち上げました。SDGsは「17」の目標ですが、四国遍路八十八箇所のようにSDGsを馴染みのある存在にしたいと思って「88」を付けたそうです。

広がる取組み

 三井住友海上の担当者に紹介された「日本NPOセンター」の新田英理子さんに講師をお願いして、まず高松でSDGsの勉強会を開催しました。その時には約60名の参加がありました。

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 そして三井住友海上高松店では、SDGs四国88と共同で、企業の社員向けに3回コースの研修を開催しました。その後もSDGsカードゲームを使った勉強会や、SDGsに取り組む企業の見学など、馬場さんはSDGsの取組みを広げていきました。

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 企業が社会貢献についてどうやって社員教育すれば良いのか分からないと相談されることもあり、社員向けにSDGsの基礎的な内容や、自社でどのように取り組めば良いかという実践的な内容の研修を行うこともありました。3回の研修を終えて、

「当社としてどうやったら実現できるのかということを考えている」
「これはボランティアではない、ということを社員全員が知る。そして腹に落とすことが成功させていくための一番のキモである」

といった感想が寄せられたそうです。

 こうした活動が評価されて、2019年11月には、第1回香川SDGsアワード」でグランプリを受賞しました。SDGsをテーマにしたシンポジウムにも、馬場さんがパネリストとして参加しました。

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 また、2020年5月にはBS朝日「バトンタッチ SDGsはじめてます」とテレビせとうち(テレビ東京系列)の「プライド」、7月にはBSフジ「知りたい!SDGs」で「さくらや」のSDGsに関する取組みが紹介されました。

 「子どもはもちろん、おかあさんたちにも、地域のひとにも。障害を持つひとも持たないひとも。すべてのひとたちにやさしい居場所でありたい
その想いが次々とつながって広がっていく、心地いい場所をつくること。それが全国に広がっていくことがさくらやの目標です」と馬場さんは言います。

 それが、SDGsが目指す「誰ひとり取り残さない社会」につながると考えているのです。

この編おわり



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