学生服リユースショップさくらや研究【女性の起業支援塾編その2】
試行錯誤しながらさくらやの店舗運営ノウハウを学んでいった馬場加奈子さん。成功したこと、失敗したこと、ビジネスへの思い・・・。自分の体験が、起業を考える女性の課題解決につながるのではないかと、徐々に構想が膨らんでいきます。
融資の話をしない銀行員
馬場さんが試行錯誤を通じて、自分なりの店舗運営のノウハウを習得するとともに、ブレずにお店を運営していく気持ちが強まっていった頃のこと。報道などで「さくらや」を知った地元金融機関の営業マンがお店を訪ねて来るようになりました。
当然のごとく、彼らは融資の話をしてきました。でも馬場さんは接客に忙しく、営業マンの話を聞く余裕はありません。しかも、「さくらや」のお店のことをほとんど調べないままに、銀行の体制の話や融資の話を一方的にしてくる営業マン。
馬場さんとしては、そんな話に興味はありません。あちこちの銀行から営業マンがお店にやって来るので、馬場さんは閉口していました。
そんな中、また一人の銀行員が新たに訪ねて来ました。馬場さんは「いつものことか」と思いながら仕事の片手間に対応していると、お店のことや「さくらや」の仕事の大変なことなど、いろいろなことを尋ねてきたのです。
何となく話しやすくて、馬場さんは起業するまでの苦労や今後のお店の展望など、気が付けばその銀行員と長い時間話し込んでいました。話しているうちに、「私が苦労してきたことや失敗の経験を、これから起業したいと考えている女性たちに向けて教える起業塾をしたい」と伝えていたのでした。
支店長が持参した企画書
当時、事業計画書の作り方や起業者の話を聞く起業講座はありましたが、馬場さんとしては一方的な感じがして、聞きに来る人の問題解決につながるようには思えませんでした。「どうやってお店を運営していけばよいか」を知りたいのに、そんなアドバイスがもらえる講座はなかったのです。
そして数日後、その銀行員は女性向けの起業応援塾の企画書を持って再び来店してきました。
その日までは、お店を訪ねて来る営業マンの名刺は受け取るものの、それをじっくり見ることもせず、机の片隅に置いているだけでした。しかし思いがけず馬場さんが構想する起業塾の企画書を作って持参してくれたその人の名刺を机の上から取り上げて見てみると
高松信用金庫 レインボー支店
支店長 久保 幸一
と書いてありました。「支店長? あらお偉い様だった!」。何も考えず気軽に希望をぶつけたりして、なんと無礼なことをしていたんだと、馬場さんは少しばかり反省したそうです。
銀行は敷居が高いし、支店長ともなる一生関わることがない人だと馬場さんは思っていました。そんな支店長が自分のお店のことをじっくりと聞いて共感してくれて、しかも企画書まで作ってくれたのです。
女性の起業応援塾「キャリスタ塾」が生まれた瞬間でした。
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