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ちあきなおみ 歌姫伝説

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ちあきなおみ~歌姫伝説~をまとめました。
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#歌謡界

ちあきなおみ~歌姫伝説~23 新たなる刻印

ちあきなおみ~歌姫伝説~23 新たなる刻印

 一九八八(昭和六三)年、ちあきなおみは「伝わりますか」、「紅とんぼ ちあきなおみ 船村演歌を唄う」、「夜霧よ今夜も有難う ちあきなおみ 石原裕次郎を唄う」と、三枚のアルバムをテイチクから発表している。
 個人的見解ではあるが、当時四十歳のちあきなおみの歌唱は絶頂にあると思われる。
 特に「紅とんぼ」(作詞・吉田旺 作曲・船村徹)は、一九七六(昭和五一)年に発表された「酒場川」(B面・矢切の渡し)

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ちあきなおみ~歌姫伝説~21 最後の一年・前篇

ちあきなおみ~歌姫伝説~21 最後の一年・前篇

 一九八〇(昭和五五)年、戦後からつづいた経済成長も一区切り、時流に乗りに乗った日本人の心の向きも、七〇年代の考え方やものの見方から新しい感覚、感性へとバランスを移行しはじめる。「さて、百恵ちゃんも結婚したことだし」といった台詞を、私は何度も大人の口から聞いた記憶があり、山口百恵の引退は大衆文化の中で、明らかに時代のエポックメーキングとなったのは間違いないであろう。
 この年は、山口百恵と入れ替わ

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ちあきなおみ~歌姫伝説~19 山口百恵という儚さ・前篇

ちあきなおみ~歌姫伝説~19 山口百恵という儚さ・前篇

 子供心にも、私に現実と虚構を錯覚させる心情的影響を及ぼしたのは、山口百恵という存在だった。
 ちあきなおみの「喝采」で幕を閉じた翌年の一九七三(昭和四八)年、山口百恵は歌謡界にデビューした。
 オーディション番組「スター誕生!」からデビューした、同い年の森昌子、桜田淳子とともに、三人は"花の中三トリオ"と呼ばれ、歌謡界の新しい時代の幕を開けたのだった。
 この花の中三トリオは、一年ごとに、花の高

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