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制作会社から大企業のデザイナーに転職して気づいたこと——Design Perspectivesイベント登壇レポート
9月7日に渋谷ヒカリエにて行われた『Design Perspectives -不確実な未来を切り拓くキャリア観-』 にてKOELのUIデザイナー 徐 聖喬が登壇しました。
今回のReDesignerさん・designingさん共催による『Design Perspectives』はデザイナーを取り巻く環境の変化の中で多様化するキャリアを考えるイベント。今回「制作会社から大企業のデザイナーに転職して気づいたこと」と題し、これまでの徐さんの経歴や、KOELでのデザイナーとしての仕事を通じて、事業会社でのデザインについてお話ししました。ぜひ本記事を通じてKOELでの働き方や事業会社のデザイナーの面白さ、意義を感じていただけたら幸いです。
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制作会社から大企業インハウスデザイナーへ
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台湾生まれの徐さんは高校時代には広告デザイン学科に進学、大学では商業デザインを専攻し、デザイン史からビジュアルコミュニケーションやサービスデザインまで幅広く学んだ後、上京。「デザインの仕事は東京で」という想いを抱き、2019年に東京の制作会社へ新卒で入社します。
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制作会社では主にクライアントワークを通じて、これまで学んできたグラフィックデザインに加え、デジタルプロダクトのUI/UXデザインを経験。2022年に現在所属しているNTTコミュニケーションズのデザインスタジオKOELにジョインしました。
これまで働いてきた制作会社と、現在働いているKOELを比較して「解決策をデリバリーすること」自体はどちらも同じですが、大企業のインハウスデザイン組織では「関わられる時間の長さ・密度」「組織の内側から支援できる」「専門領域外でも挑戦できる機会」が大きく異なるといいます。
大企業でもデザインに集中できる環境がある
一方で、実際にKOELで働くまでに想像していたのは「もしかしたらデザイナーとして手を動かす時間が減るのでは?」「もしかしたらデザインを行うにも制約が多く、デザイナーとしてこだわる余地が少ないのでは?」という“大企業のインハウスデザイン組織に対する不安” でした。
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しかし実際にKOELで働き始めると「手を動かす機会が溢れている」「自分から提案できる機会が多い」ことを強く感じたそうです。また制作会社での経験が断絶するわけではなく、「制作会社で培った力が活きる」状況も多いとのこと。
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KOELでは「ビジネスデザイナー」「デザインリサーチャー」「UXデザイナー」「UIデザイナー」の4種のデザイナーが在籍していますが、その業務範囲が完全に分けられているわけではありません。徐さんの業務範囲はアプリUIやWebサービスなどのデジタル領域のデザインはもちろん、グラフィックやテキストライティング、ユーザー体験を設計するUXデザインや、ユーザー調査やビジョンデザインなどのリサーチ業務と多岐に渡ります。職種を超えたデザインの関わり方ができるのもKOELの大きな特色です。
ここから徐さんがKOELで手がけた具体的な事例を通じて、UIデザイナーとしての業務を紹介していただきました。
KOELでできた新しいデザインの挑戦
まず心疾患患者のリハビリ活動を支える「みえるリハビリ」ではアプリのUIだけでなく、ロゴやガイドラインなどサービスの世界観の構築まで担当しています。
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心疾患患者には高齢の方も多いため、UIに関しては画面の見やすさを工夫したほか、全体のトーンも「患者の運動習慣獲得」というテーマに合わせ、落ち着いた印象を持たせつつも健康的で前向きなイメージを感じる配色を目指したそうです。
同じくNTTコミュニケーションが提供する「析秘(せきひ)」という秘密計算のサービスのロゴデザイン、サービスサイト、提案書のデザインも手掛けています。秘密計算はデータの保護とデータの活用を同時に行うことができる非常に重要な技術ですが、直感的に価値を伝えづらいものでもあるため『データを「守る」から、「守りながら活かす」へ』というコンセプトがビジュアルデザインからも通じるようなものを目指したということでした。
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またインハウスのデザイン組織として、NTTグループ内でのデザイン活動も業務の一つになります。「NTT Designer Meetup」というグループを横断したデザインイベントのメインビジュアルを担当。グループ全体へのデザイン浸透を継続的な取り組みにするために、電話のカールコードをイメージした「つながるビジュアル」にすることで継続的に活用できるデザインになっています。
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NTT Design Meetupの例が特に顕著ですが、自分から必要なデザインやコンセプトを提案していく余地が大きいのもインハウスデザイン組織であるKOELの大きな魅力の一つ。
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また、先ほどの「UIデザインの領域を超えた活動」として「デジタルの入り口とは」という日本や世界での “社会のデジタル化” 事例をまとめたレポートを紹介していただきました。デザインリサーチのような一見UIデザインに直結しない業務に関しても「挑戦できる機会」があるのがKOELだとのことです。
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インハウスだからできる「内側から・長期の」コミット
最後に徐さんから「制作会社から事業会社に来てどうだったのか?」総括しました。まずデザイナーとして「解決策をデリバーする」役割は、制作会社でも事業会社でも変わらず、KOELでも同様にデザインに取り組める環境があることをぜひ知ってほしいとのことでした。
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一方で、事業会社にある特徴として「内側から」コミットできることは大きな違いであり、例えば事業部の方達と一緒の目線でデザインの提案が行えるのはインハウスだからこそできること。得られる情報の量やスピードなど、やはり外部の制作会社とは比べ物にならない差があります。
そして、ワンタイムのサポートで終わり、ではなく事業に対し長期的にコミットできるのは同じ会社の中にいるデザイナーだからこそできること。デザイナーとして一緒に歩んでいけることは大きな違いだと実感しているとのことでした。
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今回の発表を通じて、現在制作会社に勤めている方がインハウスのデザイン組織で活躍するイメージを持っていただけたら嬉しいです、ということで発表の締めとなりました。
今回の徐さんが発表したスライドはこちらからもご覧いただけます。
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