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【4月2日〜8日は発達障害啓発週間】数字からみる、自閉症支援の現状と課題

この記事は1,708文字あります。個人差はありますが、約3分〜4分でお読みいただけます。

このnoteではVoicy(音声配信)で配信した内容のテキスト版(要約版)です。詳しくはVoicyで聴いて頂ければと思います。

ちなみに、Voicyは下記チャンネルで毎日更新しています!


4月2日〜8日は発達障害啓発週間

昨日は世界自閉症啓発デーでした。
日本では、4月2日〜8日は発達障害啓発週間となっています。

僕自身は啓発デーの時だけでなく、そして一瞬だけで目を向けていただくだけでなく、日常的に、あたり前に目を向けていただくまでに発信を続けていきたいと思っています。

ちなみに、英国では、この1週間は自閉症のためだけの啓発活動をしています。今日は英国自閉症協会が取り上げているテーマについてお話をしたいと思っています。

そこでは以下のような数字が出ています。

英国自閉症協会のHPより

ASDの人で学校が楽しいと感じているのは26%

どうでしょうか。約4人に1人。
以前、英国の当事者の方のスピーチ動画を観たことがあるのですが、そこでも「学校の環境はASDの人にとって過ごしやすい環境になっていないと思う」というようなことが語られていました。

誰しもが環境によって、良くも悪くも影響を受けますが、ASD特性があるとより一層影響を受けると言われています。だからこそ、(関わり方も含めた)環境調整が重要になってきます。

雇用されているのASDの人は29%

英国内におけるASDの人の雇用は約3人に1人という調査結果でした。
これは少ないと感じる方が多いかもしれませんが、それでもこの10年で相当上がったんですね。国として危機感を持って取り組んできた結果の一つでもあります。

日本でも法律の定めにより、障害者の雇用率は上がりました。それ自体は良いことです。でも、雇用率だけをあげたらいいわけではありません。

これは、僕の臨床実感になるので、かなり偏った考えかもしれませんが….。

雇用するけれども、雇用する側の知識が追いついていないという現状も少なからずあるように感じています。

例えば。
仕事現場でもどう関わっていいかわからない、どう仕事を振っていいのかわからないなど。その結果、今ある仕事の中から業務を切り出すのではなく、障害者雇用のためだけに作り出した作業や自習が多くなってしまうこともあります。

次第に、当事者の方もやりがいが薄くなり、これで貢献できているのだろうか、この業務でお金をもらっていいのかと葛藤されることがあります。

雇用の問題はとても大事なテーマであり、雇用した先をどう考えるのが大きな課題と言えるかもしれません。

もちろん、僕の意見が国内における障害者雇用の実態を反映しているものではありませんし、皆さんが熱心に取り組まれているというのは言うまでもありません。

メンタルヘルスの問題を抱えるASDの人が70%

ASDの人の70%がこれまでにメンタルヘルスに関する問題を経験したことがあるという報告です。これは英国に限ったものではありません。他国でも、だいたい同じような報告がなされています。

こうしたメンタルヘルスの問題は、よく「二次障害」と言われます。
でも、全部が二次障害ではないし、僕は二次障害という言葉を臨床上使用することはしないようにしています。むしろ、併存症という言葉を使っています。

上述したように、ASD特性があると、環境から受ける生活上の影響は小さくありません。だからこそ、環境調整に目を向けることで、いかにメンタルヘルスの問題を小さくするのか、将来のメンタルヘルスの問題を予防するのかという視点が大事ではないでしょうか。

15万人以上の待機

最新のデータでは、17万人以上のASDの人たちが、医療にアクセスするまで待っているとされています。日本でも待機が多いと言われていて、大きな問題になっています。

とはいえ、診療さえすればいいわけではありませんし、診断だけつけたら良いわけでもありません。診断と支援はセットです。

自閉症をはじめとする発達障害の診断には時間も技術も必要です。だからこそ、そのための育成が重要になってくるのではないでしょうか。 

佐々木康栄

災害時に役立つさまざまな情報

これまでnoteにまとめていましたが、TEACCHプログラム研究会東北支部のホームページに集約しました。宜しければご活用ください。

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