原作が同じだけど作風がかなり違いました。
こんばんは。
できるだけ外出したくないので、60年代について参考になりそうな本をネットで買って時間を過ごそうと思います。
今回、取り上げる映画はこちら!
「四つの恋の物語」(1965)
▪️配給:日活
▪️形式/時間:カラー/89分
▪️監督:三木克巳
▪️キャスト:吉永小百合、芦川いづみ、和泉雅子、十朱幸代
1965年12月29日から公開された作品。
ようは、1966年のお正月映画ですね!
だから、これだけの豪華キャストが集結したわけです。
原作は源氏鶏太「家庭の事情」。
定年した父親から4姉妹が50万円ずつ受け取り、そのお金でそれぞれの人生を切り開いていく話。
実は1962年に大映が配給の「家庭の事情」という作品があり、原作は同じながらかなり内容、作風が異なるので比較していきましょう。
原作は同じですが別物ととらえたほうがよいと思います。
それぞれの良さがあります。
【比較①】作風
▪️1962年大映版
60年代前半らしい地味な色味のホームドラマ。四姉妹と父親の恋模様がしっかり描かれていて面白い。
▪️1965年 日活版
豪華キャストによる華やかなアイドル映画。カーレースやグライダー(タコのような形の飛行機)などのエンタメ要素が入り、人物ひとりひとりの描写が薄くなる。四姉妹の恋愛映画。
【比較②】設定を比較
▪️長女 一代(かずよ)
・大映:若尾文子(あやこ、主役)
未婚で彼氏と別れたばかり。
・日活:芦川いづみ
四姉妹で1人だけ黒やダークトーンの服で地味。
バツイチ。出番は少ない。
▪️次女 二美子(ふみこ)
結婚を前提に付き合ってる男性がいる。
ただ、彼氏の人物像が2つでかなり異なる
・大映:叶順子
OL。準主役といえる。
・日活:十朱幸代(とあけ ゆきよ)
OL。こちらも準主役といえる。
▪️三女 三也子(みやこ)
・大映:三条魔子
勤めには出ておらず、家事手伝い。一番出番が少ない。
・日活:吉永小百合(主役)
電話交換手。出番が多く、恋愛面で揺れ動く。
▪️四女 志奈子(しなこ)
性格が活発なところは2作とも共通している。
・大映:渋沢詩子(うたこ)
OL。手にした50万円で高利貸しを始める。恋愛が描かれる。
・日活:和泉雅子(いずみ まさこ)
花屋の店員。競馬で遊んだり、グライダーにハマったり天真爛漫。四姉妹のなかで唯一、恋愛が描かれない
▪️父親 平太郎(へいたろう)
・大映:山村聡
定年後に嘱託(しょくたく)に。会社での様子が描かれる。2人の女性に揺れ動く。
・日活:笠智衆(りゅう ちしゅう)
定年後に嘱託に。仕事の様子が全く描かれない、一人の女性に夢中に。
【比較③】特徴
▪️大映版
・地味な雰囲気ながら、作品としてしっかりしている
・四姉妹の自宅が吉祥寺で当時の街並みが楽しめる
・それぞれが人生を切り開き、気持ちのいい後味
・不思議なラストシーン
▪️日活版
・とにかく華やか。今で言うガーリーな雰囲気
・とくに四女の和泉雅子の衣装がチェックを使ったスタイリングが多く、かわいらしい
・グライダー、カーレースなど娯楽要素がぬかりない
・吉永小百合に時間を使いすぎて他の恋愛の描写が薄い
・四つの恋の物語というタイトルだが、実際は三姉妹+父親で四つの恋。四女は遊んでばかりいる 笑
まとめ
✔ストーリーを楽しみたいなら、断然 大映版
・
✔娯楽として華やかな60年代スターの共演を楽しみたいなら日活版
わたしは大映版のほうが好きかな。
ではまた次の更新で。
🔽映画とはまったく関係ない、ファッション誌やモデルを観察したブログも運営しています。