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よりよい社会をつくるのは、誰?私にできることを考えるためのヒント

「制度」を切り口に考える

虐待や紛争など「こども」に関する悲しいニュースが途切れることのないこの頃です。危機の真っただ中にいる子どもたちを思って心を痛め、社会に対する危機感を感じつつも、では私に何ができるのか?自問自答することもあると思います。

社会全体をよりよくしていくためには、まずは課題となっている事柄に対し、公的な支援やサポートを投下するための「しくみ」が必要です。その「しくみ」のひとつがいわゆる「制度」と呼ばれるものです。今回は、「制度」に着目してそこに関わる人ごとに整理することで、社会課題に対するアプローチの仕方を考えてみましょう。

①課題の存在を知らしめる人:ジャーナリスト

社会に「課題」の存在を知らしめ、世論を形成し、それに対するアクション(そのひとつが制度の制定)の必要性を喚起する役割を担うのがジャーナリストです。ただ、SNSの普及により、職業としてジャーナリストが発信することの影響だけでなく、一市民の「つぶやき」がバズって世論し、制度の制定につながっていく例もあります。

②社会のビジョンを描く人:政治家・研究者

政治家は、有権者の代表として、市民の声を政策に反映する役割を担います。また、研究者は、制度に関わる事項の歴史的な変遷の整理やその検証、他国の比較、付随する問題の明確化などを通して、社会におけるビジョン策定をバックアップする役割を担います。

③制度を設計する人:官僚(国家公務員)

目指すべきビジョンを実現していくためには、制度の設計が必要です。たとえば、現状の法体系の中でどのように位置付けるのか、必要な財源をどう配分するのかなどを、明確にしていく役割を担います。

④制度を運用する人:自治体の公務員

制定された制度をどう必要な人に届けていくのかは、より必要としている人に近い自治体の公務員がアサインする場合が多いです。制度が必要な人に届くように周知すること、スムーズに活用できるプロセスを組むことはもちろん、適切な活用がされているのかのチェックも担います。

⑤ 制度を活用する人:本人 with 福祉専門職

まず、制度を活用する主体は、必要としている本人です。福祉専門職は、その制度を活用したサービスを提供したり、制度を活用できるようにサポートしたりする役割を持ちます。制度を活用することは「施し」であってはなりません。あくまで本人の自己決定や自己選択を尊重する「砦」となる存在が、福祉専門職です。

⑥制度を支える人:市民

財源の一部となる「納税」を通して制度を支えているのが市民です。また選挙の投票を通して、社会のビジョンを描く政治家を選ぶことも、間接的に制度を支えることになります。また、場合によっては「インフォーマルな資源」などと位置づけられるボランティア活用などを通して、制度を活用する
本人を直接的に支えることもできます。

誰がどこから社会を変えるのか

よりよい社会をつくるための切り口はさまざまです(もちろん、ここで挙げた以外のアプローチもあるでしょう)。時には、対立構造も生む場合もあります(「告発」から新たな制度が実現する場合もあります)。
ただ、大事なのは、本来どのフェーズにある人とも、「社会をよりよくする」という共通の目的で協働可能である、ということです。単なる理想論として片づけることは簡単ですが、今まさに課題に直面しているこどもを救うために、時には利害関係や対立を傍らに置いて「おとなたち」が手を携える社会をつくっていくこと、これが私たちが目指していく未来です。


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